22「ホロハンス」
01アーナ「クワン・・・・大丈夫?」
02クワン「大丈夫だよ、ありがとうアーナ。君こそどうしたのそんな顔して。」
03アーナ「なんでも、ない。それよりなんなのここ?」
04グア「うーん、俺たちがとばされた場所から右は真っ白で・・・」
05ローラ「左は真っ黒ですね・・・・」
06ドラク「気味悪いわ・・どこまで続いてるんかもわからん・・」
07セディ「どこまでも続いてんのよ、永遠とね」
08ドラク「うわあ?!いやせやから急に現れるんなんとかして・・!」
09ヨディ「すまぬ・・・急ぎであったものでな・・・。」
10クワン「君たちが魂と闇の神?」
11セディ「そう、あたしが魂の神セディ」
12ヨディ「わらわが闇の神ヨディじゃ。」
13アーナ「この場所はなんなの?」
14セディ「ここはホロハンス。トゥルハンスと天の境にある場所よ。トゥルハンスの中心部であり心臓。メディアさまの魔力が最も集まっていて、ここが傷つけられたらトゥルハンスも傷つく。まああんたたちとあたしたちしか入ってこられないから、傷つくことなんてないんだけど。」
15ヨディ「わらわとセディはふたりでこのホロハンスを守っているのじゃ。ここでの話は外には漏れぬ。だから大切な話はトッティの小屋とここですることになっておるのだ。」
16クワン「大切な話・・・」
17セディ「まず、魂と闇の使いについてだけど、こいつらほんとにダルいの。」
18ヨディ「これセディ、言い方に気を遣わぬか。」
19セディ「だって本当のことなんだもん。毎回決まってんのよ、魂と闇にどんな奴が選ばれるのか。魂は心に大きな病を負った、生死が隣あわせの使い。闇は人間が憎い、生死を操る使いってね。ほんとめんどくさい。」
20ローラ「そういえば、リュックさんがおっしゃってましたね、闇の使いさんは悪魔も人間も見境なく・・」
21グア「人間が憎いから、人間も殺していたのか・・・」
22ヨディ「魂と闇に関しては、トゥルハンスに入った瞬間力が目覚めるようになっておる。じゃから、わらわたちにも彼らがどんな人物なのかわからぬのだ。」
23アーナ「結局はっきりしたことは実際に会わないとわかんないってことね・・」
24セディ「次に、竜についてだけど・・・・残念だわ。もう死んでんのよ。」
25ドラク「はあ?!死んでる?!」
26セディ「ちょっと!おっきい声ださないでよちび!」
27ヨディ「これセディ!そうなのじゃ・・おそらく悪魔に殺されたのだろう・・、本当に可哀想なのだがな・・・そなたらは竜たちと出会っておるな?やつらに伝えてやってくれぬか。」
28クワン「わかった・・・」
29ヨディ「そして最後に。これが最も重要なことじゃ。セディ」
30セディ「そうね、ヨディ。いい?あんたたち。耳をかっぽじってよく聞くの。今メディア城にいるのは、あんたたちの大切なメディア様じゃないのよ。」
31ドラク「は?それどういう意味や?」
32セディ「そのままの意味よ。メディア様はもともと城にはいなくて、別のところにいるのよ。実際にどこにいるのかは誰も知らないんだけどね。その空っぽの城に悪魔の親玉が住み着いて住処にした。」
33アーナ「うそ・・でしょ・・?」
34ヨディ「親玉の名はデッダ。その姿は誰も見たことがない。だが、バオールとバロールを生み出しているのはたったひとりのその親玉じゃ。魔力はおそらくメディア様より上じゃろうな・・。なぜそれほどの力がありながらこの世界をすぐに滅ぼさないのかは謎だが・・」
35グア「そんなやつと俺たちは戦うのか・・」
36アーナ「待って・・・じゃあ・・私の両親は・・・悪魔に殺されたの?」
37クワン「・・・アーナ・・」
38アーナ「そう・・そうなのね・・・絶対に許さない・・・デッダ・・・」
39ドラク「ほんならあれか?俺が雷の城で会ったメディア様もその親玉やっていうんか?」
40ローラ「え?ドラクくんメディア様に会ったことがあるんですか?」
41ドラク「ほんまに小さいときやけど、おっきい絵を描いて額縁に飾ったんや。皆が幸せに暮らしてる絵やねんけど、そしたらメディア様が来てくれて、その絵が消えないように魔法かけてくれたんよ。そんな悪魔の親玉みたいな人には見えんかったはずやけどな・・。」
42クワン「グア、それって・・・!」
43グア「ああ、これのことじゃないか?!」
44ドラク「あ、それやそれや!ってなんでお前ポケットにそんなもん・・」
45クワン「メディア様の絵だし縁起がいいだろうからって持ってたんだよ。まあなんでかこれを奪い返そうとするバオールに襲われたんだけど・・」
46セディ「そりゃそうでしょ。その絵にかかってる魔法、本物のメディア様のものだもん。」
47ドラク「やっぱ本物やったんか!」
48ローラ「でもあの絵、バオールに落書きされてましたよね・・」
49ヨディ「その絵にかかっているメディア様の魔法を、自身の魔法で消そうとしたんじゃろうな。その絵も悪魔にとっては危険なものじゃろうから、取り返そうとしたのも無理はなかろう。じゃがその分我らにはキーになるものかもしれぬ。持っておくのもよいかもしれんな。さて・・・我らの話すべきことはすべて話した。わからぬことはもう自身の目で確かめるしかない・・・。」
50セディ「ちょっとまずいわね・・・できるだけ遠くに飛ばしてあげるから、はやくこの村から離れるの。」
51クワン「え?どうして?だってナキリさんと会う約束を・・」
52セディ「そうも言ってられなくなったのよ。たぶん、あいつらに勘付かれた。」
53グア「あいつら・・・・バオールか・・」
54ヨディ「さあ。ゆくのだ。そしてここには戻るな。」
55クワン「待って勘付かれたって・・じゃあ君たちは・・・!!!」
56セディ「うっさいわね、今はあんたたちが生き残ることだけを考えなさい。じゃあねえ」
57ヨディ「さらばだ」




