21「時の神トッティ」
01ナキリ「神の数はあと3人だ。だが、わしが案内できるのはここまでなのだ。」
02クワン「どういうことですか、ナキリさん」
03ナキリ「残りの三人、時と魂と闇の神は、かなり特殊な場所にいる。そこには使いとその神しか立ち入ることを許されないのだよ。」
04クワン「そうなんですか・・・」
05ナキリ「そんな不安そうな顔をするでないよ。大丈夫だ、三人の話を聞いたらまた会える。そうしたらコーヒーでもご馳走しよう。この小屋に時の神がいる。ではしばしの別れだ。」
06アーナ「時の神がいるっていってたわよね?」
07グア「ああ確かにいってたな・・・」
08ローラ「ええ・・私も聞きました。けど・・いらっしゃいませんね・・?」
09クワン「あるのは暖炉とロッキングチェアだけだね?一体どこに・・・」
10トッティ「よく来たね」
11クワン「うわああ!いつのまにロッキングチェアに?!さっきまでいなかったのに・・!え、えっと・・君が時の神トッティ?」
12トッティ「そう。ここまでは随分と遠かっただろう。少し疲れも感じられる。君が今回の時の使いだね。前の使いとよく似ている。」
13ドラク「似てるって・・・顔みれへんやろ。だってお前・・」
14トッティ「そう、僕は目が見えない。だけど感じることに必要なものではない。長くはここにいられないようだから要件だけ話そう。時の使いのことだよ。」
15クワン「僕の・・・」
16トッティ「君は知りたがっていたね?誰の命を犠牲にして悪魔を封印するのか。君の傷とはなにか。」
17グア「時の神様はなんでもお見通しなのか」
18クワン「うん、知りたいよ・・。そんな酷い話、ないじゃないか。世界を救う為とはいえ、人の命を差し出すなんて・・誰がそんなことするっていうんだよ?」
19トッティ「君の言っていることはわかる。けれど、・・・・選ぶのは君だよ、クワンジュ。」
20クワン「え?」
21トッティ「君が、誰の命を犠牲にするのか、決めるんだ。それが君の傷だよ。」
22クワン「そ・・・そんな・・僕が・・?」
23アーナ「クワン・・・」
24グア「・・・・」
25ローラ「・・・っ・・」
26ドラク「クワン・・・」
27トッティ「君の力は、僕がなにかをあげるだとか、触れて授けるだとかそういうものじゃない。僕と出会って、この傷を知ることで、自分自身で目覚めさせる思いの力だ。時を操ることができる。けれど、その分リスクもある。7人の使いの中で、力を持ってしても、最も戦闘能力が低く、役に立たない。」
28クワン「・・・・・・っ・・」
29トッティ「力が目覚めないこともある。そうなれば、100分の1でも役にたてたはずがその1も使えずに終わる。仲間の足を引っ張って。それなのに、誰かの命を犠牲にして。世界を救ったヒーロー扱いされるんだ。」
30アーナ「ちょっとあんた?!さっきから一体何なの?!クワンに・・・クワンに謝れ!!酷いことばかり言って・・!!!ふざけないでよ!!!」
31トッティ「ふざけていたつもりはないし、本当のことを言っただけだよ。時の使いには皆、同じことを伝えた。」
32アーナ「だからって・・!!!!」
33クワン「ねえ、」
34トッティ「なに?クワンジュ」
35クワン「僕の・・・前の、時の使いは・・・」
36トッティ「・・うん」
37クワン「・・・結局、選べなかったってことなの・・・?」
38トッティ「いや」
39クワン「・・・え?選んだの?それなのに・・今・・」
40トッティ「失敗したんだ。彼は。自分の命を差し出そうとして。失敗した。」
41クワン「それで・・・・どうなったの。」
42トッティ「・・・・彼は、・・死んだよ。」
43クワン「・・・・・っ・・」
44トッティ「君の前の時の使いは、彼自身の命を犠牲にして封印しようとした。だけど失敗して、死んで、悪魔は今の時間にとんだ。」
45クワン「・・・そん・・な・・」
46トッティ「さあ、時の使いの話は終わりだよ。魂と闇の神がいる場所に君たちをとばすね。」
47クワン「ちょっとま・・・っ!!!!・・・あれ?僕だけなんで残って・・・」
48トッティ「君にだけ、少し、話しておきたくてね。」
49クワン「うん・・」
50トッティ「悪魔を封印しなくていい。」
51クワン「え?・・」
52トッティ「君が壊れてしまうなら、その選択をしなくていい。この選択をしたほうが絶対にいいとか、その方が皆は幸せだとか、そういうものは確かに存在する。だけど、その選択をすることで、君が君でなくなってしまうなら、その正解であるはずの選択は間違いだよ。」
53クワン「・・・・」
54トッティ「いいかい。君はさっきも伝えた通り、力はない。だけど、そうじゃないものを持っているから、力が必要ないんだ。そして、その、そうじゃないものを誰かのために、本当に最大限に使うとき、力が必要になるから目覚める。それは、君が君じゃなければ、絶対に使えないんだ。」
55クワン「・・・わかるよ。」
56トッティ「君には生きてほしいんだ。・・・彼が・・・死んでしまって、僕は本当に・・」




