表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/38

全知全能者への質問

 雄平は可憐たちのいる談話室へ戻る前に、スマホを操作し、所有するアイテムを確認していた。


「これが気になるんだよな」


 雄平はアイテムの一つを選択し、説明書きをまじまじと見つめる。


『Sランク:全知全能者への質問』

 なんでも一つだけ知りたいことを知ることができる。古今東西・過去現在未来を問わず、どんなことでも必ず知ることができる。


「折角だし使ってみるか」


 雄平がアイテムを使用すると、質問したい内容を入力しろとのメッセージが現れた。


「聞く内容は当然あれだな」


 雄平は入力ボックスに、「ゾンビ化を治す方法について」と記入する。すると質問に対する回答がスマホに表示された。


『ゾンビ化を治す方法』

 Sランクアイテム『神の奇跡』を使うか、将軍ゾンビの血を飲ませる。


「要するに金か実力が必要な訳だ」


 課金ガチャを回し『神の奇跡』を引き当てるも良し、実力を上げ、将軍ゾンビを討伐するも良し。


「まだ余裕はあるんだ。焦る必要ない」


 焦って勝てない将軍ゾンビと戦ったり、『世界樹のしずく』を買えなくなるほど課金してしまっては取り返しがつかない。


 雄平は深呼吸し、皆のいる談話室を目指す。彼が部屋に戻ると全員眼を覚ましており、雄平の顔をまじまじと見つめている。


「ゆうちゃん、木崎って男の人は?」

「殺した。邪魔だったからな」

「さっきの銃声はゆうちゃんのモノだったんだね」


 雄平の言葉には感情が籠っていなかった。殺すことが日常化していたからだ。可憐はそんな雄平を見ると、悲しくなってしまった。


「可憐、起きたならこれを飲んでおけ」


 雄平は『世界樹のしずく』を手渡す。可憐は「ありがとう」と一言礼を告げ、『世界樹のしずく』をゴクリと飲んだ。


「さて、邪魔者は消え、武器も手に入ったんだ。花原の家を目指そう」


 雄平たちは警察署を後にし、花原の家へと向かう。道中ゾンビが何人も現れるが、武装した雄平たちの敵ではなかった。


「ゆうちゃん、ゾンビって随分呆気なく感じるね」

「機関銃で攻撃しているからな。バットだともっと苦戦していただろうな。それにこいつらはゾンビの中でも雑魚だ。俺たちがショッピングモールで会ったようなゾンビが現れれば、機関銃でも心もとないさ。それに……」

「それに?」

「いや、なんでもない」


 雄平は木崎を食ったゾンビのことを口にするのを止める。下手な心配を掛けたくなかったからだ。


「見えてきました。あれが私の家です」


 花原が指差す先には豪邸があった。いや豪邸というよりは要塞と表現した方が正確かもしれない。


 刑務所のようにコンクリ壁と鉄格子で守られ、外敵から身を守るような作りになっていた。玄関から住居までは三百メートルはあるだろう。家の前にはパンチパーマの屈強な男が、機関銃を手にしながら仁王立ちしている。


「ヤクザじゃねえか」


 武装した召使いが何人もいるとは聞いていたが、ヤクザの娘なら納得である。


「雄平さんのおっしゃる通り、私は三代目花原組組長の娘なのです」


 可憐はそう言ってニコリと笑うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ