表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忌児  作者: 真崎麻佐
18/129

第十八話:裏庭

 私と雅は、学校の裏庭で出会った。クラスからどうしても浮いていた私は、いつも一人裏庭でお弁当を食べていた。そんなある日、雅がやって来たのだ。彼女は両親を早くに亡くし、奨学金で学校に通う苦学生だった。初め、私は彼女が裏庭に来るのを嫌がった。一人になりたかったからだ。しかし、少しずつ話すようになって友達になって行った。



 椿に問い質されて、私は渋々青柳草人のことを話した。椿は始め顔を歪めたが、次第にその眼は強くなり、何も言わずに教室の中に入って行った。私も教室に行くと、草人がニコニコと私に向って手を振っていた。私はそれを軽く無視し、席に着いた。気になるのは草人ではない、雅なのだ。兄を護るのとは違い、彼女を護るのは難しい。雅は何も知らない上に、彼女に関する情報が全く無いのだ。私は違うクラスの雅を、どう護るか思考を巡らしていた。とにかく、草人に自由な行動をさせてはいけない。



 千歳が雅の教室に着くと、彼女は前のドアから中を覗いた。授業の間休みのため、教室内はざわついている。千歳は雅の位置を確認すると、その場を去ろうとした。その時、草人とぶつかりそうになる。千歳は実に嫌そうな顔をした。

「ストーカー?」

「人聞きの悪い。君の後をついて行っただけだよ」

ニコリと笑う草人を横目に、千歳は内心ヒヤリとした。草人の気配に全く気付かなかったのだ。羅水程ではないが、人の気配をある程度察知することが出来ると思っていたのに、だ。

「そこ、邪魔」

「悪いね」

「……アンタの好きにはさせないわよ」

千歳はポツリと本音を零した。するとそれを聞き取った草人はニヤリとする。

「楽しみだね」

そして千歳とは反対方向へゆっくり歩いて行った。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ