表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忌児  作者: 真崎麻佐
111/129

第百十一話:素質

手違いで小説削除をしてしまったために書き直しました。大筋は変わっておりませんが、細かい部分まで前回と同じにすることは出来ませんでした。ご了承ください。

 草人は縁側に座り、先程兄から譲り受けた刀、焼尽(しょうじん)に目を奪われていた。色々な角度から見てみる。光を受ける度に、嵌め込まれた碧い石が綺麗に輝いて、その姿は本当に美しい。研ぎ澄まされた刃、精密な装飾、どれをとっても草人にはこれが人間を殺すための道具には見えなかった。

「あれ? (そう)さんが刀を持ってる」

後ろから声を掛けられて、草人はハッと振り替えると、そこには誉杉(よすぎ)が居た。誉杉は凩の部下に当たるが、年が草人に近いため、二人は何となく仲が良かった。誉杉は草人の隣にゆっくりと腰を下した。この場所から庭がよく見える。青柳の屋敷の庭は背の高い木々が多く、華やかさはないものの壮大さがある。

「……ビックリするじゃないか」

ボソッとそう呟くと、誉杉は頭を掻きながら、ごめんごめん、と謝った。戦闘経験のほとんど無い草人は人の気配を感じることが出来ないのだ。

「草さん、それ、焼尽じゃないかい?」

「有名なのか?」

「ああ、勿論さ! へえ、草さんが持つことになったんだね!」

有名だと知らされた焼尽に改めて目を向ける。刀に興味の無い草人なのに、無意識に手にしてしまう魅力がある。

「兄貴がくれたんだ」

「良かったね!」

ニコニコと笑顔の誉杉を見て、草人はハァと溜め息を吐いた。

「……お前は本当に気楽だな」

すると誉杉は面白そうにケラケラと笑った。草人はそれを不思議そうな目で見ている。

「気楽なのは草さんだよ! だってまだ人に手を掛けたこと、ないんだろう?」

誉杉はまだ笑っている。楽しそうに、ではなく、嘲笑しそうに。

「草さん、そいつを持てば、草さんの世界は変わっちまうよ」

「……」

誉杉にそう言われて、草人は焼尽を恐ろしく感じ、同時に早く使ってみたいという衝動に駆られた。ギュッと刀を握る。

「草さん、俺は草さんに人殺しになれとは言わないよ」

草人はゆっくり誉杉に目を向けた。誉杉もジッと草人を見ている。そして次の言葉で草人は目が覚めた。



「だけど、草さんにその素質はあると思うよ」



そうだ、俺は青柳の最終兵器なんだ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ