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第89話 何が釣れた?

約二ヶ月ぶりだったことに愕然とした葉月です。

多忙のため次はいつになるか分かりませんが、忘れた頃には更新したいです……orz

<第89話>


 やあ、久しぶりだな!

 オレの名前はANDREW!

 ザンギならモモよりもムネのが好きなほう、アンドリューです!


 いや、モモだって当然好きなんだけどな。

 でも、某弁当屋のザンギ弁当食って以来ムネ好きに。

 超腹一杯になるしな!!

 コスパいいぜ。






「よっしゃ、釣れたぁ!」


 オレの竿の先にぶら下がっているのはなかなかイイ型のカレイだ。

 誰だ、「竿の先」に反応したヤツは。

 若いなあ。


「なかなかやるじゃない、トラ」

「さすがオレ様。何やらせても一流だな」

「言ってなさいよ。ほら、こっちも来たわよ!」


 ソラの竿にもかかったようだ。


 今オレたちは某漁港に秋のカレイ釣りに来ている。

 秋も深まっては来たが、まだ海水温はそれなりに高い。

 日差しも柔らかく、風が無ければ十分暖かい。

 いや、むしろ暑い。


「ほれ、焼けたぞ」

「お、サンキュ。ノンノ」


 岸壁にセッティングされたバーベキューコンロにて黙々と肉を焼いていたノンノが声を掛けてきた。

 さすがに火興しだけはオレがパパッと魔法でやってやったが、それ以外は全てノンノの管轄だ。

 もちろん缶ビール片手にいい気分で仕事していたようだ。


「ふうむ。天気のいい日に肉を焼きながら釣りとはいい身分じゃのう!」


 ぐいっとビールをあおると、新しい缶のプルタブを引き起こす。


「オレにも一本くれ」

「もちろんじゃ」


 クラシックの500ml缶を放ってよこすノンノ。

 落っことしたら大変なことになるな。


「くぅ~っ、うめえなあ」


 一息にビールをあおると爽快なのどごし。

 焼き肉にビールは正義だな。


「ソラも食うが良い」

「うん、ありがと」


 ちょうど良く焼けた肉を皿に取り分け、割り箸付でソラに渡す。

 オレは直接焼き台からゲットだ。

 直に食うのが美味いんだよ、これが。


「いやー、こういう釣りもいいわよねー」

「だなあ。どっちがメインか分かんねえのがまたいいよなあ」

「北海道ではよくあることよ」

「ホントかよ」


 今日は無風快晴。焼き肉にはいい日だ。

 釣りにはどうだろう。


 まあ、ボウズって訳でもねえし、肉もビールも旨いからいいか。


 そんなとき、チリリンと竿の先に付けた鈴が音を鳴らす。


「お、アタってるなあ」

「焦りは禁物よ」

「分かってるよ。がっついた男は嫌われるってのは一般常識だぜ」


 ゆっくりと竿に近づいて、神経を集中させる。

 小さくアタリを繰り返すのをじっくりと待つ。

 ここだっ!


「ヒット!」


 秋田県の某町に住民登録されている日本一有名な釣りキチの少年になったつもりで竿をしゃくる。


「そんな思いっきりやらなくたって……。針呑まれるわよ」

「気分出したかったんだよ」


 カリカリとリールを回す音が鳴る。

 そんなでかいサイズじゃねえな……。


 案の定、小物だった。


「唐揚げにはちょうどいいわね」

「そうだな」


 っていうか、カレイの唐揚げって珍しいよな。

 骨ごと食えちゃう美味さだぜ。

 ビールにはもってこいだな!


「今晩の飯も楽しみじゃなあ」

「そうだなあ」


 焼き肉食いながらもう晩飯の話とか業が深い。


「あ、私のも引いてる」


 ソラの竿にもアタリだ。

 あの竿のしなり具合からすると結構大きそうだな。


「いい型なんじゃねえのか?」

「うん、重いわね。でも、カレイとは引きが違うような気がするわ」

「ほう。何だろうな」

「さあ、あげてみないと分からないわね……」


 カリカリと一定のリズムでリールを巻くソラ。

 さて、何がかかってるのかねえ。

 ソラのことだから変なもん釣ってネタを提供してくれるんだろうなあ。ぷぷぷ。


「な、なにこれ・・・」


 海から上がってきたソレを見て、ソラは絶句。

 オレたちも絶句。


「か、蟹?」

「見た目は蟹だな……」

「蟹じゃのう」


 糸の先についていたのは、全長30cmはあろうかという蟹だった。

 ただし、甲羅に人の顔が着いていた。

 憑いていた?


『なぁ~に見てんだよぉ~』


 妙に間延びした野太い声が甲羅の顔から発せられる。


「喋った!?」


 手に持った竿を下ろすこともできずにソラが仰天の声を上げる。

 良かった、そばに釣り客がいなくて……。


『ま~さ~か~釣られると~は~』


 別段怒った風でも諦めた風でもなく、野太い声で話し続ける蟹。


「と、トラ?」


 焦った顔でオレを見るソラ。

 困った時のドラ〇もんならぬトラえもんってか。


「うーん、化け蟹ってんじゃなくて、蟹に霊が取り憑いてる感じだなあ」

「霊!?」

「今さら驚くようなことじゃねえだろ、ソラ」

「そうは言っても……」


 ウィザリィでさんざん人外と触れあっただろうがよ。


『べつに~うらみつらみはねえ~よ~?』

「そいつは良かった。しかし、なんでそんなことに?」

『よくぞ~聞いて~くれ~ました~』


 蟹が言うには、なんでも蟹の密漁中に事故で死んじまった漁師の霊なんだそうだ。

 あんまり情けなくて死ぬに死にきれず、死体も上がらずで、気がついたら蟹に取り憑いてしまったらしい。


「なんつーか、不憫な話だな」

『だ~ろ~?』


 何となく甲羅の顔が笑ったような気がした。

 自分でも何だか情けないような、そんな気持ちなんだろうなあ。


「ソラに釣り上げられたのも何かの縁だろう。おっさん、アンタ成仏したいか?」

『そりゃあ~できる~もんなら~したいさあ~』

「そうかい。死体は今さら上げれねえが、成仏くらいはさせてやんよ。どうする?」


 今頃骨が出てきたって困るだろうからな。

 とはいえ、ずっと蟹に取り憑いたままってのもさすがにかわいそうな気もする。


『やってくれ~』

「よし、分かった。来世は密漁なんてすんじゃねえぞ?」

『わかった~』


 神聖魔法を使って、蟹に取り憑いていた霊は昇天していった。

 うむ。

 達者でな。


「トラのくせに何だか立派に見えるわ」

「オレを誰だと思ってんだ。大魔術師様だぜ?」


 オレに出来ねえことはねえよ。


「ところでお二人さん。その蟹はどうするんじゃ?」


 ノンノの声に、糸の先にぶら下がっている蟹を見るオレとソラ。


「どうする?」

「どうするっていっても……」


 顔を見合わせるオレとソラ。

 まあ、蟹に罪はねえんだけどなあ。


「蟹に罪はあるまい」


 神妙な顔で頷くノンノであった。






 もちろんスタッフ(ノンノ)が美味しく頂きました。


 カレイの唐揚げも煮付けも旨かったぜ!


「しかし、ソラは変なもん引き寄せるよなあ」

「ちょ、私のせいにしないでよね。トラのせいでしょ?」

「いや、もとはと言えばオレだってソラに引き寄せられたと言えなくも無い」

「濡れ衣だわ!」


 ぷんぷんなソラ。


「まあ、よいじゃろ。そのお陰で今があるんじゃ。ありがたい話よ」

「ま、それもそうか」


 そういう意味では感謝しねえとな!


お読みいただきありがとうございます。


良ければ各種ポチッとしてくれたら嬉しいのです。

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