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第8話 初の防衛戦

何とお気に入りが40を突破していてびっくり(つД`)ノ

感謝を捧げます!


今回はアンドリュー君の勇姿をお届けします!

<第8話>


 やあ、オレの名前はANDREW!

 アンドリューだ!


 あの悪夢の日から1週間ほど経過した。

 数日、ソラの言いつけに従って大人しくこの世界「にほん」の言葉を勉強していたオレは、あっという間に基本的な言語体系をマスターしていた。


「さすがオレ様。天才だぜ」


 おかげで、テレビやラジオ、新聞、雑誌といった媒体からある程度自力で情報収集することが可能になった。

 この世界にもいくつも国があるようだ。


 この国「日本」は海に浮かぶ巨大な島国で、海洋国家であるようだ。

 ただし、海を挟んだ巨大な大陸にある国「中国」との関係があまり良くないらしい。同じく大陸から突き出した半島にある二つの国とも表面上はともかく、あまりいい関係ではないようだ。


 この世界は「地球」という大きな星の中にあるらしい。

 その星の中で、たくさんの国々が同盟を結んだり、敵対したり、戦争したりしているらしい。


「はー、規模はともかく、どこの世界でも一緒なんだなぁ」


 どうしても生物というものは「争い」という業から抜け出せないらしい。


 そして、この世界とオレの元の世界とでの最大の違いは、


     この世界には「魔法」がなく


     この世界には「科学」がある


 ということだった。


 オレが魔道具だと思っていたモノは「機械」という「技術」が生み出した道具なんだそうだ。

 この世界の「技術」は、オレの記憶にある「魔術」とほぼ変わらない。

 それどころか、魔力の有無にかかわらず、誰にでも使えるということを考えれば、魔法よりも優れているかも知れない。

 ただし、魔力の代わりに「電気」というものを基本的に使う。

 電気がなければ一切動かないという危うい状況にあるのが「機械」だ。


「そう思うと、魔法の方がどこでも制限なく使えるって点では優れてるかもな」


 オレは独りごちる。


「電池ってのは、魔晶石ってことか」


 どこでも電気を使うために、電気を溜めておくための「電池」や「バッテリー」というものをこの世界の人間は使う。

 元の世界ではMPを溜めておくためのものがあったので、やはりどこでも考えることは一緒だなぁとまたまた思うのだ。


 ちなみにゴーレムだと思っていたのも「機械」の一種で「石油」という燃える水を使って動かすのだそうだ。

 この石油というものが、この世界での争いの中心なのだそうだ。

 なんせ、機械を動かすための電気も、基本的にはこの石油を燃やして作っているというんだから、どれだけ重要か分かるってもんだよなあ。


 なんでも、石油が取れる場所と取れない場所があり、その権利を巡って争いになるのだという。

 元の世界でも、ミスリルやオリハルコンといった稀少な金属を巡って争ったりするが、それと同じようなもんなんだろう。

 どこの世界でも資源には敏感だってことだな。


 さて、かくいうオレも、争いの真っ只中だ。


「よう。それ以上悪さしようってんなら、オレが相手になるぜ?」

「ふん。まだまだ子猫の分際ででかい口を叩くもんだなぁ?」


 オレの目の前には、畑に植えたばかりの苗や種に悪戯しようとしている野鳥がいた。

 茶色い体に白を散らしたような模様。

 確か「雀」という種のはずだ。


「しかも地べたを歩き回るしかないような羽無しが、どうやって相手になるんだ?」


 ヤツは、オレを見ながらあざ笑うように鳴いた。

 小さい割にすげえ自信だ。まぁ、体のサイズ=強さじゃねぇのはオレもよく分かってる。


 飛行能力を持つ魔獣に、人間が戦いを挑んで勝てる確率は果てしなく低い。

 いかな弓の名手とて、容易なことではない。


 だがそれは、魔法を扱えない場合だ。

 この世界には「魔法」が存在しない。弓のような飛び道具は色々なものがあるようだが、鳥を撃ち落とせるほどの腕前の者は極稀だという。


 だから、ヤツはオレを侮っているのだ。(←だけど雀)


「世の中には、お前が知らないこともあるってことよ、羽有り君よ」

「はっ! ハッタリか、小僧?」


 会話で時間を稼いでいる間に、オレはステータスチェックの魔法を使う。

 HPは20。

 能力値的にはオレよりも若干強い相手だが、HP20ならどうにでもなる。


「ハッタリだと思うなら、かかってこいよ」


 ちょいちょいと手招きしてやる。


「痛い目見ないと分からないようだな!」


 ヤツは翼を広げると、ふわりと宙に舞い上がる。


「命まではとらねぇ。痛い目見て学ぶんだな!!」(←だけど雀)


 こっちを鋭く睨みつけると、一気に急降下。

 さすがのオレ様もアレを喰らっちまうとダメージは免れない・・・。

 だが!!


「喰らえ! 【雷撃(サンダーボルト)】!!」


 魔力を放出すると同時に魔術としてその魔力を変質、生成。

 オレの目の前に、小さなスパーク。


「な、なにっ! ぐああああああっ!!」


 ヤツは悲鳴を上げて、地面に落ち、ぴくりともしない・・・。


「お、お前・・・。一体何をした・・・?」

「言ったろう? お前には知らないことがあるのさ。ちょっと体が痺れてるだろうが、命に別状はないはずだ。これに懲りたら、この畑には手を出さないことだな」


 HPが半分くらいには減っているだろうが、出血したりしているわけじゃないから、放っとけばいずれ回復するだろうさ。


「ま、待て! 俺を殺さないのか!?」

「言ったろう。命に別状はないってな。オレも、殺そうなんて思っちゃいないさ」

「情けをかける気か!?」(←だけど雀)

「ああ。無闇に生き物の命を奪うのは好きじゃないんでな。別に恩に感じて欲しいなんて思っちゃいない。ただの自己満足だよ」

「くっ・・・。せめて名を聞かせてくれ」(←だけど雀)

「オレか? オレはアンドリュー・・・じゃない、今はトラ吉だ。トラって呼んでくれていいぜ?」

「・・・分かった。この借りは、いずれ返す・・・」(←だけど雀)

「別に返さなくていいぜ。清水の畑に悪ささえしなけりゃな。じゃあな~」


 オレはヤツを置いて畑をあとにした。

 ふ・・・。

 いいことしたぜ。


 レベルも上がったしな!!

お読みいただきありがとうございます。

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