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第81話 ファンタジーin釧路 第一夜

しばらくぶりです。

続きがいつになるか不明ですが、ひとまず投稿します。

別な拠点の妖怪登場ですw

<第81話>


 やあ、オレの名前はANDREW!

 缶コーヒーを飲むときはだだ甘な奴を飲むほう、アンドリューです!


 缶コーヒーってのは別ジャンルだよな。

 ドリップコーヒーとは違う。

 だから、缶コーヒー飲むときは、敢えてめちゃくちゃ甘い奴が飲みたくなるわけさ。

 自分でドリップするのも楽しいもんだ。

 でも、淹れ方であんなに味に差が出るもんなんだなあ。奥が深い。






「つーわけでブレンドくれ」

「何がつーわけなのか分からないけれど、注文は分かったわ」


 サキが目の前で呆れた顔をしていた。

 うん、最初を読んでくれた人は分かるな?


「サキさんのブレンドが美味いって話さ」

「それはどうも。年季が違うから」

「自分で言っちゃう?」

「おっと、それもそうね。聞かなかったことにしてちょうだい」


 手慣れた手つきでドリッパーにペーパーフィルターをセットして、デジタルスケールで粉の分量を図るサキ。

 この分量って奴はかなり大事らしい。

 お湯の温度とか。

 プロフェッショナルほど目分量をしないってのはホントだな。


「ついでにミックスサンドも」

「はいはい」


 だいぶ十勝も冷え込むようになってきた。

 この間ウィザリィでご飯の素晴らしさを布教してきてから大して時間も経ってないのに、すでに冬の足音が聞こえてくる感じだ。

 ご飯の魔力はウィザリィを虜にするだろう。

 そして、ソラは初代調理師学院の長として絶大な信仰を集めてしまうだろう。

 生き神様だな。


「そうだ、トラさん。ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけど」

「話くらいなら聞くぜ?」

「とりあえずそれで良いわよ」

「分かった。じゃあ、話してくれ」


 サキが話し始めた。


「これは私の知り合いの話なんだけど。その人は釧路で喫茶店をやってるのね」

「喫茶店仲間なのか?」

「そういうわけじゃないんだけど。いろんな人が出入りしてても不思議じゃないってのが良いところなのよね。夜はバーになるっていうのが一番良いわね」


 確かに。

 夜は酒も出すって店ならいつ開いててもおかしくないし、どんな客が出入りしてても変じゃない。

 そういうや東京に行った時もバーだったな、ナインテイル。


「それで、不思議な事件が起きてるっていうのよね」

「不思議な事件? またアレか、呪いの麻雀牌とかそういうやつか?」

「それはどうかしら。でも、何らかの超常現象が関わっているのは確かだと思うわ」


 またか……。

 まあ、サキの仲間なんだから、きっとその釧路の喫茶店のマスターも人じゃないんだろう。そうに違いない。


「で、どういう風に不思議な話なんだ?」

「綺麗になるのよ、人が」

「綺麗になるならいいじゃねえか」

「ちゃんと聞いてよ。突然、ある日を境に人格が一変するらしいの。とっても善良で正直な真人間にね」

「ますますいいじゃねえか。不思議は不思議だけど何も困らねえんじゃねえのか?」

「まあ、そう言ってしまえばそうなんだけど。でも、不思議でしょ。考えてもみて。ある日突然善良で正直な自分が現れてキラキラした目で見られてご覧なさい?」


 ……。

 うん、とりあえずぶっ飛ばそう。


「そいつはいただけねえな」

「でしょ。確かにいい人に変貌するなら悪いことじゃないのかもしれないけど、要するに全くの別人になってしまうってことだもの」

「そうだな。犯罪者とか異常者ならそういう風に矯正された方が社会のためかもしれんがなあ。個性が無くなるってことだよな」


 むしろ洗脳か?


「まあ、それがいいかどうかは置いておいて。何か裏があるんだろうって思ってるわけ」

「まあそうだな。何かあると考えるのが普通だよな」


 そんなことがほいほい起きるほど、こっちの世界は不思議に満ちてないはずだ。

 ウィザリィなら魔法でどうにでもできるだろうけど。

 生憎、地球ではそんな特別な力はそうそうお目にかかれねえ。


「で、どうしろと?」

「別に。解決に力を貸して欲しいとか言われたわけじゃないから。そんな不思議なことが釧路で起きてるって、それだけの話よ」

「意地が悪いなあ、サキさんは」

「あら、そうかしら?」


 ふふっと笑うサキ。

 そんな風に言われたら気になるじゃねえか、なあ?


「しばらくソラも忙しそうだしな。ちょっと晩秋の釧路でも行ってくるかあ」

「それなら、私からマスターに連絡しておくわ。あ、別に解決してきてくれなくてもいいんだからね?」

「へいへい」


 住所や連絡先だけ教えてもらう。

 場所なんかはスマホで調べれば済むしな。




「つーわけで、ちょっと釧路行ってくるわ」

「何が『つーわけ』なのかしら?」


 よく分からないという顔のソラ。

 そりゃそうだろうな。

 かいつまんでソラにも説明してやる。


「ふうん。ま、いつものお仕事みたいなものね?」

「みたいなもんだ。だから、しばらくは『トラ』の身代わりに魔法生物置いてくんで上手くごまかしといてくれ」

「魔法生物って……。私の日常はもう遙か彼方に飛び去ったわけね」

「今さら何言ってやがるよ」


 魔法生物を召喚してトラに変化させる。

 外見はともかく、中身はさすがにどうにもならないので違和感有りまくりだろうが、そこはソラにごまかしてもらうしかあるまい。


「私もたまに釧路に買い物でも行きたいわね」

「帯広で十分だろうがよ」

「そうなんだけどさ」


 ウィ〇ーウィ〇ーとかオレは好きだな。

 ニュー〇クリッ〇とかマコ〇ヤとか藤〇とかな。


「なんじゃ、どこかへ行くのか?」

「おう。ちょっと釧路行ってくるわ」

「釧路か。名物はなんじゃったか?」

「スパカツだろ。ザンギだろ。ザンたれもいいよな」


 B級グルメで一躍有名になったスパカツはソウルフードだよな。

 ザンギ発祥の店で生ビールもいいな。

 ラーメン食ってくるのもありか。


「うむ、ワシも行こう」

「なんでやねん」


 思わず関西弁になってしまった。

 きっとザンギ+ビールの誘惑だろう。

 そうに違いない。


「いいけど、全裸は禁止だぞ」

「分かっておるわい。ワシも最近は空気を読むようになったのじゃ」

「そこは素直に褒めてやろう」


 ま、男一人の釧路もアレだからよしとするか。

 酒を飲む時は相手がいる方が楽しいもんだ。

 時と場合によりけりだがな!




「カンパーイ!」

「乾杯なのじゃ!」


 さて、ここは釧路ザンギ専門店。。

 すでに生ビールで出来上がっているオレたちですた。(誤字じゃ無いよ?)


「いい飲みっぷりだな!」

「ザンギ美味いから! ビール無しなんて不可能!」

「のじゃ!」


 お代わりしまくりの飲みまくりである。


「こんなに飲んでくれる客も最近珍しいんだよな」

「そうなのか? ザンギにビール無しとか何の嫌がらせかって話だよ」

「全くじゃ。骨付きザンギ追加じゃ」

「あいよ」


 つーか、ノンノはどんだけ喰うんだ。

 オレもだが。

 二人ですでに6人前は喰って飲んでるな。


 新しく入ってきた客もオレたちがめっちゃ飲んで食ってるのをみて驚いている。

 そこでこのノリに入ってこようとするか、引いちゃうかで人間性が分かるな!


「かんぱーい!」


 3組目の釧路在住カップルがオレたちと同じノリだった。

 意気投合して飲んで食う。

 さすがに食う方は腹一杯だったので飲む方で。


「そういや、最近釧路で変な事件が起きてるの知ってます?」

「ん、何のこった?」


 これはあの話じゃねえのか。

 こんなところで情報収集か?


「なんか、いきなり人が変わるんですって。すっごくいい人になるんだって」


 顔を真っ赤にしてケラケラ笑いながら女の方がそんな風に言う。


「いい人になるんならいいんじゃないって思うよねー」

「いい人かー。でも、友達が全然別人に変わっちゃったら気持ち悪くないか?」

「それもそっかー。アレだ、宇宙人に洗脳とかされちゃうんだー」


 またケラケラ楽しそうに笑う女。

 男の方もそんな感じだ。

 いい感じに酔っ払ってるな。


「何でも、満月の晩に起こるって話っすよ。洗い清められるんだって」

「洗い清められる?」

「ええ。人が変わっちゃった奴が自分でそう言ってるらしいんすよ。『自分は洗い清められて生まれ変わったんだ』って」

「へえー」


 満月の晩に起きる。

 そして、洗い清められる……か。

 何か引っかかるな。

 とりあえず覚えといたほうが良さそうだな。


「いやー、今日は楽しかったっす!」

「こっちこそ。旅先で知らない人と楽しく飲めるのはありがたいぜ」

「またどっかで飲めるといいっすね!」


 べろんべろんに酔っ払った釧路在住カップルと別れた後、もう少しってんでオレとノンノはカクテルの店で軽く飲み直した。


 とりあえず、最初の夜は楽しく飲めて良かったぜ!


お読みいただきありがとうございます。


ますます謎のお話になりますが完全に作者の趣味ですw

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