第80話 勧誘ですか? 新聞なら間に合ってます。
現実世界にもこんな精霊王いませんかねえ。
自分がファンタジー的な精霊使いだったらいいのに!w
<第80話>
やあ、オレの名前はANDREW!
魚肉ソーセージをそのまま食べるほう、アンドリューです。
美味いんだ。
軽く焼いても美味いんだけど、パッケージむいてそのままバクッといくのがいいんだ。 筋トレ中にもお薦めだぜ?
「何と美味い……」
「長い時間を生きてきたが、初めて味わう美味じゃ」
「おい、もっとこの酒くれよ」
「アタシ、この肉じゃがってのおかわりー」
順番に地の精霊王、水の精霊王、火の精霊王、風の精霊王である。
ちなみに地と火が男性形で、水と風が女性形だ。
今オレたちがいるのは、農地の側に作られたお社だ。
鳥居のある日本式の神社を参考にしている。
え、奉っているのは神様じゃなくて精霊王だろって?
いいんだよ、この世界では神様に等しいもんなんだからさ。
「お主がこの酒を醸した杜氏であるか?」
「そう。私が筆頭杜氏シルヴィア」
「そうか。こんな酒は初めてじゃ。これからも奉納してくれい」
「任せる。弟子も育成中」
地の精霊王は日本酒がいたくお気に入りのようで、シルヴィア相手にガンガン呑んでいる。一升瓶がずらりと並ぶ様は壮観だ。
火の精霊王は、同じく日本酒をあけながらノンノを口説いている。
ノンノも悪い気はしないらしく、意気投合している。
そのうち火の精霊王に嫁ぐとか言い出しそうだ。
それはそれでめでたいことだから良いんじゃねえかと思うぜ、オレは。
「飲兵衛は飲兵衛同士でいいことだぜ」
「トラ、運ぶの手伝ってよ」
「へいへい」
「あのアンドリューをあごでこき使う人間がいるなんてちょーウケるー」
にゃろう。風の精霊女王め。
精霊女王って肩書きが似合わないちびガキのくせに!
あとで痛い目見せてやる。
「でも、ソラちゃんのごはんちょー美味しー。うちの巫女様にしてあげるから精霊界においでよー」
「待たぬか。ソラには我の一族が憑いておるのがわからんか?」
水の精霊女王が風の奴を牽制する。
つーか、別にお前さんの一族じゃないだろ。
確かに水の精霊ではあるけどさ。
「その憑いてるって字面がなんか嫌だわ」
はあとため息をつくソラ。
「精霊巫女なんぞになったら大変だぞ」
「そうなの?」
オレの言葉に反応するソラ。
「そんなことないよー。風の精霊はみんなソラちゃんに絶対服従になるし歳も取らなくなるしー」
「そんかわし精霊と同じ存在に昇華されるから人じゃなくなるけどな」
「うーん、それはちょっと遠慮したいかなー」
「邪魔しないでよ、アンドリュー!」
「詐欺まがいの勧誘はお断りだ!」
油断も隙も無いぜ。
精霊力消去するぞ、この野郎。
「とりあえず食べてね。はい、じゃがバターと追加の枝豆ね。あとはサンマの炊き込みご飯とキノコのお味噌汁よ」
「うまうまー」
「もう食ってるし!」
このサンマの炊き込みご飯が絶品なのよね。
とにかく、四大精霊王もご飯の魅力にメロメロのようだ。
白飯に各種ふりかけ。
基本を抑えた後は各種飯の友をそれぞれ試して自分の好きな味を探しているようだ。
「この卵かけご飯っていうの最強ー」
「おちびはTKGが好きか」
「ちびって言うなー。TKG?」
「そう。TKG」
風の精霊女王は卵かけご飯がお気に入りのようだ。
「ご飯がいくらあっても足りないわねえ」
「心配すんな。調理師候補生が練習を兼ねてひたすら炊きまくってるからな」
社の外には即席のかまどがずらりと並んでいる。
そこでは今もひたすら米を炊いているはずだ。
集中的に練習するのはいいことだぜ。
「この味噌汁という奴も美味じゃのう」
「だろ。おっちゃん、山にこんなキノコ生えてねえか?」
そう言ってオレは三大キノコを見せる。
もちろん「松茸」に「舞茸」に「本しめじ」だ。
多分似たようなキノコならこの世界にも生えてると思うんだよな。
「それらは美味いのか、アンドリューよ」
「保証するぜ」
「よし、ちょっと待っとれ」
そう言うと、地の精霊王は目を閉じながら、うんうんと時折頷いたりしている。
何やってんだ?
「今届くぞい」
「は?」
突然、社の扉からぞろぞろと各種キノコを担いだ下級の地精が行列でやってきた。
「そっくりなキノコをこの辺りの山から届けさせたんじゃ。同じ物かどうか確かめてくれんかのう。そうすれば次からは確実に届けさせるぞい」
「めっちゃ精霊の無駄遣いじゃねえか! ブラック企業だよ!」
これだから王様って奴らは……。
だが、それがいい。
「舞茸は間違えづらいよな。しめじもこれであってる。これはどう見ても違うだろ。あと、松茸はフウセンタケに騙されんなよ」
選別していくと、たいそうな数のキノコが残った。
これで次からはキノコ食い放題だぜ。
やったね!
「よし、焼こう」
七輪に炭火をおこすと、薄く切った松茸を炭火焼きにする。
この香りがたまらんわ。
「なんとも芳しい香りじゃな」
水の精霊女王が鼻をひくつかせている。
「香り松茸っていうくらいだからな」
土瓶蒸しとかはいずれだ。
今日はとりあえずこれで酒を飲もう。
「美味い」
「もっと酒くれよ、ノンノ」
こんなに松茸食えるとかなんちゅう贅沢だ。
そこにすっと差し出される舞茸の天ぷら。
「塩でどうぞ。わさび塩もお薦めよ」
「やっぱりソラちゃんウチの巫女になんなよー」
「何と美味い。山に生えているこのへんなのがこれほどの美味とはのう」
そうして奉納と称した宴会は翌朝まで続いた。
さすが王様。
底なしだわ。
それを後で知ったロバートが「オレも宴会する!」と駄々をこねまくったので、このとき料理係になっていた連中がさんざん働かされたというオチ。
でも、そのお陰でお抱え料理人になったんだからそいつらにとっても良かったんだと思うぜ?
とにかくこれで、ウィザリィに新しい食文化が受け入れられる下地は整ったわけだ。
なんせ精霊王のお墨付きだからな。
ちゃんと収穫祭をやって奉納神事を行えば必ず豊作にしてくれるって四人とも約束してくれたことだし。
この世界での農業はもう成功を約束されてるんだ。
だから、農家がもっと増えるといいな!
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