表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/97

第77話 呪いの麻雀牌 その7

ようやく終わりました。


麻雀に興味ない方、すみませんでした(´ω`)

<第77話>


 やあ、オレの名前はANDREW!

 おしぼりは熱いのが好きなほう、アンドリューです!


 親父くさいと言われようが、熱いおしぼりで顔を拭くのは気持ちいいんだぜ。

 見た目より実利。

 それを言い出した時点で、昔の自分とは違うんだろうな。

 見た目の方が大事な時期ってのも確かに必要なんだろうぜ。






「馬鹿な、オレがそんな失敗をするわけが!!」

「ああん、そりゃあ何かやらかしてたって受け取っていいのかい、辰よぅ」

「うるせえ! そんなわけねえんだ。絶対にねえんだよ!!」


 取り乱す辰。

 その気持ちはよく分かる。


「チョンボ親流れで東二局突入ですね」


 ソラの無情な発言。

 ナイスだソラ。

 そこにシビれる。


「そんなはずはねえ・・・。ねえんだ・・・。オレが麻雀で・・・」


 虚ろな表情でぶつぶつと何かを呟いている辰。

 いっそ可哀想なほどだ。


 そりゃそうだ。

 死んでまで諦めきれなかった麻雀の強さ。

 それが露と消えてしまったわけだからな。


 罪悪感はないのかって?

 オレがか?

 無いと言ったら嘘になるかもしれんが、無いことにしておきたいなあ。

 勝負事でそれを言い出しちゃあダメだぜ。

 自分の持てる力を、技術を全て出して戦うのが勝負だ。辰だって自分の技術を使ったじゃねえか。

 たまたまオレは異世界の魔法って技術を使った、それだけのことだ。


『何だか可哀想ね』

『気持ちは分かるよ。だけど、それはここでは言っちゃダメだぜ、ソラ』

『うーん、分かるんだけどね』


 それが普通で、オレが普通とはちょっとちがうってだけだ。

 命の価値が、戦いの意味が、この平和な国とは違っているんだよ。


「リーチです」


 そこでソラのリーチ。

 まあ、オレが色々仕込みをしてるわけなんだけどな。

 とはいえ、山を開けて見てみると、ソラの運が異常にいいことはよく分かる。

 持って生まれたものなんだろうな。


 辰は虚ろな表情だ。

 心なしか体が透けてきているような気もする。

 幽霊みたいなもんだ、ココロのエネルギーが減少すればそんな見た目にもなるか?


「コイツで決まっちまうか?」

「だといいんですがねえ」


 巳道と親分さんが顔を見合わせる。

 まあ、このままソラがツモっちまえばさっきのチョンボ分と合わせて辰がラスだ。


 当然ベタおりするする二人。

 ・・・巳道はそれでいいのか?


「・・・・・・」


 ただツモ切る辰。

 哀れなもんだ。

 マンガだったらこれで終わったらブーイングもんだろうが、現実は厳しい。


「ツモです」


 ソラが当然のように一発でツモった。

 山を開けて見たら普通にツモってたのでオレは何もいじっちゃいねえ。ソラが自分の運を最大限に発揮した結果だ。


「リーチ一発ツモ、ダブ東チャンタイーぺードラ3裏2でギリギリ数え役満ですねー」


 あ、ドラと裏ドラはオレが仕込みました。

 確定チャンタになるようにツモも1牌仕込んだけど、後はソラの運だ。


 ・・・そう考えると凄まじいな。

 確かに清水家のみんなは基本運がいい。

 悪いのは大地の結婚運くらいなもんだなあ。


「すげえもんだな、お嬢ちゃん」

「いえ、たまたまですよ。運が良かっただけです」


 謙遜するソラ。

 だが、ギャンブルではその「運」が一番ものを言うのだよ。


「辰、おめえも年貢の納め時だなあ」

「オレは負けねえ・・・。麻雀なら・・・」


 いまだにブツブツと呟きながら放心状態の辰。

 その体がみるみるうちに透けていく。

 自らの定めたルールに従って、最下位が消える定めなのだろう。


 こういった存在は、本来あり得ないが故にルールには絶対に従わなくてはならない存在だ。辰もそうして消えていくのだろう。


『生まれ変わったらまっとうな人生を・・・と思うんだがなあ』

『生まれ変わっても絶対ギャンブルで破滅するタイプだと思うな、私』


 違いない。


 そうしているうちに、辰はすっかり消えてしまった。

 卓も椅子も、そして牌も消えていく。

 壁が消え、景色が戻ってきた。

 現実から切り離されていた空間そのものが消えて、オレたちは現実へ戻ったのだった。




「無事だったかえ、ソラ」

「うん、ちゃんと勝って退治してきたよ!」


 Vサインでノンノに答えるソラ。


「オレの因縁のせいでずいぶんな迷惑をかけたな、お嬢ちゃんたち」


 そういって巳道の爺さんが頭を下げる。つられて親分さんも。

 確かにそうなんだが、そのおかげで呪いの麻雀牌も処分できたんだから結果オーライって事でいいんじゃないだろうか。


 ま、オレがいなかったら絶対勝てなかっただろうけどな。


「このへんで何かあったら言ってくれ。受けた恩は返したい」

「覚えておきます。でも、そんなことにならないのが一番ですけどねー」

『全くだ。ヤクザに助けを頼むような揉め事には首を突っ込みたくねえぜ』


 念話で相づちを打っておく。


「はは、そりゃあそうか。何にしても済まなかったな」

「いえいえ、もう終わったことですから」

「あんがとよ。親分さん、行きやしょう」

「へい。行くぞ、野郎共」


 親分さんと巳道の爺さんは手下を引き連れて去っていった。

 店への詫びは後日だと言って。


「しかし、びっくりじゃったのう」

「ですねー」

「本当ですよ。ヤクザは押しかけてくるし、いきなり消えたと思ったら現れるし」

「店もいい迷惑じゃったのう。のう、ナイン?」

「なに、昔は荒事も多かったものよ。結果的に色々片付いたんじゃからいいじゃろう」


 まあ、そう言ってもらえりゃ罪悪感も減るか。


 ん、まてよ。

 元はといえば巻き込まれたのはオレたちの方じゃねえのか?


「こっちこそお主らに余計な手間をかけさせて済まんかったのう」

『ま、仕事は片付いたんだ。これでみんな手打ちといこうや』

「さっきおっしゃってた通り、色々片付いたんだからいいんじゃないですか?」

「そう言ってもらえれば助かるのう」


 明るい笑い声が店内に響く。


 何はともあれ、こうしてオレたちの一晩の勝負は終わったのだった。


 やっぱりオレが最強だって事でいいわけだな!!

 

お読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ