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第76話 呪いの麻雀牌 その6

次で終わるはずです。


飛行機の時も思いましたが、大魔術師に「ギリギリの大勝負」なんてのは不可能ですね。やはりほっこり路線が一番でしょうかねw

<第76話>


 やあ、オレの名前はANDREW!

 どうせ勝つなら完全勝利したいほう、アンドリューです!



 何ていうんだろうなあ。

 オレって超がつくほどの大魔術師様なわけじゃん。

 仮に自分の力を使わずに勝負に望んだとしても、どこかで安心感があるわけよ。


「どうにでもなる」っていうさ。


 いや、それダメじゃんって思うだろうし言われるけど、ホントに力を持ってるヤツってのはどこかでそういう気持ちがあると思うんだ。

 ヒリつくような勝負を求めていても、どこかでそれを楽しみきれないっていうか。


 持てるものの贅沢だってのは分かってるからツッコミは不要だぜ。

 だからこそ「好敵手(ライバル)」を人は求めるのかも知れねえなあ。






「そろそろ全開で行こうじゃねえか、巳道さんよ」

「いいぜえ、辰」


 半荘五回戦。


 残り二回戦でトップはなんとソラ。僅差で巳道の爺さん、辰ときて親分さんだ。

 親分さん、頑張らないと死ぬぞ?


「ここまでの順位なんざ何の関係もねえ」

「そうだな。残り二回戦がホントの勝負だな」


 辰と巳道が剣呑な笑みを浮かべる。

 いよいよ本気になるってわけか。

 オレもなるべく手は出さねえでおきたいが・・・。

 さて。


「オレが親だな」


 辰が賽を振る。

 出目は8。

 さあ、どう出る?


 普通に配牌を取っていくわけだが、別に何かやった様子もない。

 警戒させることが目的なのか?


「おっと、悪いな。上がってらあ」

「え?」


 親分さんの間抜けな声が聞こえた。


「・・・」


 巳道も黙ったままだ。


 すり替えた、はずだ。

 積み込みはありえねえ。となればすり替え以外は考えようがない。


 オレが気づかなかっただと?

 あり得ん。

 だが、あり得てしまっている。


『ソラ。次に配牌取る時、牌起こすときに一牌わざと手を滑らせたふりして落とせ』

『いいけど、どうするの?』

『それは秘密だ。次も同じ技なら親の役満二連発で終わっちまう』

『分かった。やるわ』


 連荘だ。

 辰が賽を振る。またしても出目は8。

 やる気か?


 全員が配牌を取り終わり、牌が立ち上がるその瞬間。


「きゃっ」


 ソラが牌を落とす。

 一瞬、場が止まる。


 時よ、ってな。もしくはザ・ワー○ドだ。


 時間停止魔法を発動し、オレだけが動ける世界を動く。

 辰の手牌をみれば、確かに上がっていた。

 信じられん・・・。


 いつすり替えてるんだ?


 まあ、いい。

 今のうちに仕込んでおこう。

 辰の手牌から二枚抜いて不要牌とチェンジ。

 ソラの手牌を一向聴にしておいて、第一ツモで聴牌するようにしておく。

 ついでに辰の前の山も上下くらいは入れ替えとくか。


 時間停止を解除。

 再び時は動き出す。


「大丈夫かい、嬢ちゃん」

「すみません。チョンボとまでは言わないですよね?」

「ああ。いちいちチョンボとってちゃつまらんだ・・・ろ?」


 気づいたな。

 平静を装っちゃいるが、動揺しているのがオレには分かる。

 くくく・・・。


「良かった。お待たせしてすみません」


 辰は何事もなかったかのように第一捨牌。

 続いてソラがツモ。


「あ、リーチです!」

「ダブリーかい!?」


 ソラがリーチ棒を置くと親分さんが目を丸くする。


「そんなわかるかい!」


 親分さんは自棄になったのか不要牌を強打。


「ポンだ」


 何かを感じたんだろう、辰が鳴く。

 一発ツモ消しか。

 だが、それもオレ様には想定内だぜ。


「あ、ツモりました!!」


 ダブリーツモ、メンホン一通中ドラドラに裏3で数え役満だな。


「・・・やるじゃねえか、嬢ちゃん」

「たまたまです。運だけです!」


 親分さんも巳道も残り千点で生き残ってる。よしよし、計算通り。

 なぜならソラに親が回ってくるからだ。


 そっちがその気ならやったるでえ。


「あれ、上がってますね?」

「なんだと!?」


 ソラの天和炸裂に辰が思わず声を上げた。


 いや、もちろんオレがやってるんだけどさ。


「辰、嬢ちゃんは何もしちゃいねえ」

「そんなこたあ分かってる!」


 何かしてた方がよっぽど納得できるだろうよ。

 こいつらには、ソラが本当に運だけで天和上がったように見えるだろうからな。


「よりにもよって、オレの前で天和だと・・・」

「天和の辰なんて呼ばれたお前も、ホントのツキの前には形無しか?」

「くそっ、馬鹿な。こんなはずは・・・」


 鬼の形相である。

 まあ、天和二連発で終了のはずが、反対に天和で逆転されたんだからな。

 すり替えは完璧だった。


 相手がオレじゃなければな!


「それじゃあ、最後の半荘。やりましょうか」


 ソラが笑う。

 まあ、笑いが止まらない状況ではあるわな。

 数え役満に天和だもん。


 洗牌が始まる。


「泣いても笑っても最後だなあ」

「オレは勝つ。オレが負けるわけはねえ。麻雀なら・・・」


 ぶつぶつと辰が何か呟いている。


 そうか、麻雀じゃなく鉄砲玉にやられたからな。

 「麻雀ならオレは無敵だ」ってプライドが辰の成仏を邪魔してるわけだ。

 なら、ここで成仏させてやろうじゃねえか。


 辰が起親だ。

 どんだけ天和したいんだ。

 しかし、ここで天和決められちまうと、辰が最下位にならねえ。

 確実に阻止しねえとダメだ。


 時間遅延。

 停止ではなく、時間の流れを遅くする魔法だ。

 要するに超スローだ。


 それで初めて気づくほどの早業。手が霞んで見えるほどだ。

 この速度でそれなら、普通は誰も気づけないだろうな。


「なっ!?」


 ガシャン。

 音を立てて辰の前の山が崩れる。


「・・・チョンボだな」

「馬鹿な・・・馬鹿な馬鹿な馬鹿なっ!?」


 辰の表情が絶望に染まる。

 失敗などするわけがない、神速のすり替え、燕返し。


 オレの念動魔法によってあっさりと邪魔されてしまったわけなんだが。




 ・・・すまんな、辰さんよ。


お読みいただきありがとうございます。


良ければ各種ポチッとしていただけたら嬉しいんです。

ええ、嬉しいんですよ?<(_ _)>

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