第63話 居酒屋ノリって嫌いじゃねえぜ?
<第63話>
やあ、オレの名前はANDREW!
ヒゲを剃る時は泡よりもジェルが好きなほう、アンドリューです!
まあ、電動シェーバーの方が楽でいいんだけどさ。
ブラ○ンの高いヤツはやっぱり違うよな。
替え刃が高いのが難点だぜ。
「ではまず、食前酒代わりにこれをどうぞ」
総料理長であるソラの指示によって、迷宮のウェイトレスさんたち(ぶっちゃけ夢魔メイドさんモードだ)が透き通った硝子製のグラスを客たちのテーブルに並べていく。
「おお・・・。なんと透明度の高いガラス器か」
「これだけのものをこの数そろえてくるとは・・・」
こんなんあっちの世界ならニ○リで大量に買えちゃうけどな。
ちなみに中に入っているのは梅酒だ。
「これは・・・」
「なんと芳醇な味わいと香りだ!」
「食前酒だと? おかわりはないのか?」
ほんのわずかを口に含んだだけの貴族たちが騒然としている。
こんなもんで驚いてちゃあ体がもたねえぜ?
「これから先、もっとすげえものが出てくるんだ。我慢してくれよ」
「ぬう・・・」
次は渋い色合いの三連仕切り皿に載せられた前菜だ。
どっちかっつーとお通しか?
「これは美しい・・・」
皿に載せられているのは、生ハムとタマネギのマリネ。それと里芋の餡かけ。鶏ささみの燻製だ。
ソラが作りたいものを作りたいように作って出せと言ってあるので、組み合わせとか順番とかはいわゆるコース料理とは違ってくると思う。
だけど、そんなご立派なコース料理は今はいらない。
とにかく、ここにいる連中に「オレの言う通りにすれば美味いもんが食えて美味い酒が飲める」ってことが分かってもらえりゃいいんだ。
「おお、肉の旨みが・・・」
みんな、味わいつつも箸が止まらないといった感じだ。
「次はこの酒を飲んでくれ」
オレが合図を出してジョッキに入ったビールを配らせる。
グラスも冷凍庫に入れてキンキンに冷やしたヤツだ。
美味くないわけがない!
「なんだ、エールではないのか?」
「グラスが凍り付いているように見えるが・・・」
「とにかく飲んでみろ。世界が変わるぞ?」
ロバートがニヤニヤと笑いながら連中に勧める。
確かに、この世界の人間にとっちゃあそうかもしれねえなあ。
「王がそこまで言うのであれば・・・」
冷えたジョッキに口を付ける。
「!?」
さらにもう一口。
そして一気に冷えたビールを自らの喉に流し込む。
『うーまーいーぞー!!!』
みんな味○様になって口からビームを出しているようだ。
「もう一杯くれ!」
「これは我々の知っているエールではない!!」
次々に空のジョッキをウェイトレスさんに押しつける客たち。
そうだよなあ。
おかわり欲しいよなあ。
「どんどん飲んでくれ・・・とはいっても限りはあるんでな。飲み過ぎないようにしてくれよ?」
相当な量を持ってきてはいるが、こいつらなら飲み尽くしちゃいそうでなあ。
オレたちが飲む分もあるからな?
「ソラ、料理もどんどん頼むわ」
「了解。一気に出しちゃってもいいかな?」
「いいんじゃねえか。ビール出たし、このあとは居酒屋風味で行こうぜ」
つ○八的な感じで行こうぜ!
ウェイトレスさんたちが、次々と焼き物やら揚げ物やら居酒屋メニュー的なものをテーブルにジャンジャン並べていく。
どれもこの世界にはない代物ばかりだ。
似たようなものがある料理もないわけではないが、こんな風に洗練されてもいなければ美味くもない。
素材の問題もあるが、とにかく料理人・・・じゃない、料理法がショボい。
現代日本の料理がどれだけ素晴らしいかってことだな。
だって、ぶっちゃけ冷凍食品のがうまいもん!
「なんだ、これは・・・」
「こんな美味いものがこの世にあるとは・・・」
「っていうかビール、ジャンジャン持ってきて!」
完全に職場の飲み会のノリになってきてるな。
だが、このノリについてきてない連中がいる。
位の高い貴族どもだ。
頭の固い管理職みたいなもんだな。
どうせ「これだから下級貴族は」とか「最近の若いもんは」とか思っているに違いないんだ、きっと。
どこの世界でもこういう連中の考えることは一緒に違いない。
「おうおう、暗いなあ」
そこにオレは堂々と近づいていく。
揶揄されたことに腹を立てたのか、じろりとこっちをにらみつける爺ども。
「なんじゃ貴様」
「大魔術師で王の親友かなんだか知らんが気安い口をきくな」
「おっとっと、ご挨拶だねえ。年を取ると頭が固くなっていけねえよ」
ま、貴族なんてこんなもんだろ。
だが、そんなことでオレは腹を立てたりしないぜ。
オレは度量が広いからな!
「ふん。ビールとかいう酒も喉ごしは、まあ認めてやらんでもない」
「だが、あんなジャブジャブ飲むような酒は酒ではないわ」
「はっはっは。まあ、言いたいことも分からんではねえよ。だが、ああいう酒も大事だろう?」
潤滑油だよ、潤滑油。
酒だけど。
「それこそ若いもんはいいのかもしれんな」
「じゃが、ワシらのような位の高いものには合わん」
「そうだろうと思ってな。酒の話はこいつを飲んでからにしねえか?」
そう言ってオレは持ってきた一升瓶を見せつけるように掲げる。
「なんじゃそれは?」
「こいつはな、日本酒ってんだよ。オレが今回のプロジェクトで作らせようとしている米って作物からできる酒だ」
「ほう?」
「こいつを飲んでみてから、話そうじゃねえか。なあ?」
爺どもの目が、オレの持つ一升瓶に注がれる。
さあ、こいつを飲ってからでも同じ様な口がきけるかな?
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