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第62話 宴会には準備も必要です

<62話>


 やあ、オレの名前はANDREW!

 アメリカンドッグにはケチャップをかけるほう、アンドリューです!


 しかし、アメリカンドッグとフレンチドッグはどっちが標準的なんだろうな。

 そして北海道では砂糖をかけるんだぜ。

 某7時から11時のコンビニは、店員さんが「ケチャップマスタードですか? 砂糖ですか?」って聞いてくれて、その場で砂糖をかけてくれたりするんだ。

 最初は驚いたんだけど、アレはアレでありかな~って思うようになったら北海道陣の仲間入りなんだろうかねえ・・・。


 あれ、こんな話、前にもしたっけ?






「お帰りなさいませ、アンドリュー様」


 転移魔法で迷宮(ウチ)に帰ってくると、ゴルドが恭しいお辞儀で迎えてくれた。


「おう、ただいま。なんだかキッチンが騒がしいみたいだけど?」

「いま、ソラ様とプラティナが調理用の設備を作らせておりますので」


 なるほど。

 まあ、必要なのは調理台と刃物類、それと大容量のオーブンと高火力のコンロ、あとは冷蔵庫と冷凍庫ってところか。


 電力なんてものはこの世界には当然無い。

 その代わりと言っちゃあなんだが、この世界には「魔法」がある。

 火を点けるのも、ものを冷やすのも凍らせるのも、魔力さえあれば可能なんだ。


「そうか。シルヴィアとノンノは?」

「物作りを得意とする種族に、調味料と酒類の製法を叩き込んでおります」

「さよか。それは重畳」


 手先が器用な連中と時空系の魔法使いども、それと精霊使いが手を組めば作れぬものなど無かろう。

 これでこの世界の食生活の劇的な改善が望めるな。


「アンドリュー様の御用はお済みですか?」

「もちろんだ。早速明日からでも田植えとジャガイモは始めたいところだな」


 早いに越したことはない。

 せっかく持ち込んだ大事な種籾と種イモだからな。

 現地の魔法使いと精霊使いを総動員してやっちまうぜい。


「明日からか。急だな」

「善は急げだそうだぜ、ロバート」

「分かっているとも、アンドリュー」


 それに、西の方面の甜菜とサツマイモも明日片付けちまわねえとだからな。

 オレにはそんなにのんびり事を進めている時間がねえんだよ。


 それはそれとして宴会の準備だ。


「おうい、ソラ~」


 オレがキッチンへの扉を開けると、そこは戦場だった。

 何が何だか分からねえが、オレが見たありのままを話すぜ・・・とか言ってる場合じゃあねえか。


 ドワーフだったりエルフだったり悪魔だったりNINJAだったり、とにかく色んな連中が、ソラにアゴで使われていた。


 炎の魔石や氷の魔石を作るために、悪魔族が魔力を搾り取られている。

 ドワーフがオーブンや冷蔵庫の形を作るために石材や金属材を加工させられている。

 エルフやNINJAが醤油や味噌を作るための製法をスパルタで叩き込まれている。


「ううん、すげえなあ」


 思わず呟くオレ様。

 っていうか、ソラはああいう人外平気なのな?


「あら、トラ。お帰り」

「おうよ。ずいぶん働かせてるな」

「必要なものを作らなくちゃいけないからね。おかげではかどってるわ・・・あ、ほらそこ、サボらない!」


 ツッコまれた悪魔が慌てて魔石に魔力を注ぎ込み始める。


「ソラ、悪魔とか平気なのな?」

「いちいち気にしてられないわよ。トラやゴルドさんの言うことには逆らえないみたいだし。何かあってもウンディーネが守ってくれるっていうし」


 なるほど。

 水の精霊もちゃんと働いているようでよかったよかった。


「とりあえずコンロとオーブンと冷蔵庫さえできればどうにかなるしね」

「頼むわ。今晩はせっかくだから宴会しようぜ」

「本気で? じゃあ、設備もだけど料理できる人たちを手配してもらわないと・・・」

「そっか。ゴルド、プラティナ、手配よろしく」

「承知いたしました」

「分かりました~、アンドリューさま~」


 どんな大宴会だよ。宴会場確保しないとダメだな。


「ロバート、各地域の責任者とか呼んどいてくれ」

「む、突然だな」

「自分たちのやってることが何につながるか、早めに理解してもらおう」

「・・・なるほど。やる気が出るだろうな、きっと」


 お、悪い笑みだな、ロバート。

 そのへんは王様らしいや。




 ざわつく宴会場。

 さすがに迷宮内にそんなスペースはなかったので作った。

 空間魔法で。


「こ、これを魔法で・・・」

「さすが大魔術師様だ」

「この計画がアンドリュー様の発案だというのは真だったのか」


 綺麗なテーブルとイスが置かれ、呼ばれた全員が着席している。

 テーブルの上には日本から持ってきたスナック菓子とお茶。

 ポテト○ップスとかポッ○ーとかな!


「この菓子の美味いこと・・・。この世のものとは思えぬ」

「うむ。この甘いものでコーティングされた細い菓子が素晴らしい」


 ハリウッドスターも大好きらしいぜ!


「皆の者。急な呼び出しにもよく応じてくれた。どうしても都合がつかず欠席した者もいるが、おそらく激しく後悔することになるだろう」


 ロバートが王様らしく話し始める。


「ここに来てもらったのは、現在性急ともいえる速度で推し進められている国家プロジェクトのためだ」


 集まった面々をゆっくりと見渡しながら言葉を紡いでいくロバート。

 その威厳ある王の姿に、集められた連中も緊張の面持ちだ。


「このプロジェクトは、我がアーレイン王国をさらに豊かに、さらに高みへと導くこ疑い無しの素晴らしいものだ。発案者は皆もよく知っておろう。我が盟友にして迷宮【試練場】の主、大魔術師アンドリューだ」


 振られたので、立ち上がって軽く手を上げてみんなに応える。

 中には余りよく思っていない顔をしている連中がいるな。

 まあ、貴族でもないオレがロバートの友達面してんのが気にくわねえんだろう。


「今ロバートに紹介されたが、オレがアンドリューだ。知ってる連中も多いと思うが一応言っておく。今回のプロジェクトは、オレが持ち込んだ」


 ざわざわと会場が一気に騒がしくなる。


「確実にこの国にとってプラスになることは間違いない。だが、いくら口で言ってもわからん奴らがいるだろうと思ってな。ロバートに頼んでこうして集まってもらったわけだ」


 ロバートの名前のあたりでムカッとした顔をする奴らが多数。

 そりゃそうか。

 だけど、オレはこのへんの態度を改める気はねえんだなあ。


 確かにロバートは王様になったのかもしれん。

 だが、オレにとってはタダの友達だ。


「オレがこの国でやろうとしていることは、簡単にいうと農地改革と食糧事情の改善だ。この計画が成功するとどうなるか、みんなに分かって欲しくてな」

「その通りだ。このプロジェクトでここまで我が国の食生活は変わるのだということを皆に知って欲しい」


 ロバートが「早く出せ」と目で訴えてくる。

 仕方ない、とっとと出してもらうとするか。


「まあ、難しい話は抜きにして、まずは味わってもらおうか」


 手を軽く打ち鳴らして合図をする。


 さて、宴会の時間だぜ。

 

お読み頂きありがとうございます。


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