第5話 初めての旅?
そろそろこのペースは不可能になりそうです・・・。
でも、こっちの方が短めで筆が進んだり進まなかったり・・・。はは・・・。
<第5話>
やあ、オレの名前はANDREW!
アンドリューだ!
拾われてきてから約二ヶ月が経過した。
今日は6月12日だそうだ。
壁に掛けられている「かれんだあ」とやらの見方も覚えた。なんせ遠見の魔道具(てれびと言っていたな)やら伝声の魔道具(らじおと言っていたぞ)から「今日は○月○日○曜日です」とまず間違いなく聞こえてくるので、さすがに理解するのは簡単だった。
便利だな、「かれんだあ」
元の世界に帰ったら作ろう。
さて、地道に牛舎や周辺の害虫を駆除しながら経験値を稼ぎ続けた結果、オレのレベルも僅かではあるが上昇した。
名前:アンドリュー 種族:猫(雑種)
性別:オス 年齢:生後二ヶ月
L V:3
H P:30
M P:30
力 :3
器用さ:4
素早さ:3
賢さ :9
生命力:4
精神力:4
運 :100
どうだ、すげえだろ。
とりあえず、スライムには負けないくらいになったぜ。ゴブリンあたりだと肉弾戦では勝てねぇかな。
ま、オレには魔法があるからゴブリンくらいなら大丈夫だぜ!
しかし子猫の体なのに、ステータスは人間と変わらんなぁ。
数値が同じでも、人間の体と同じ効果を発揮するとは限らんからな。要検証だな。
生後二ヶ月というと、この世界の猫なら躾も済み、狩猟本能を発揮する頃だそうだ。
猫と同列に扱われるのは困るが、世を忍ぶ仮の姿と思えばまあいいだろう。
「トラ吉~、どこ~?」
「にゃあ~」
おっと、ソラが呼んでる。
返事をしようと口を開けば猫の鳴き声だ。しゃあねえんだけどなぁ・・・。
「あ、いたいた。ほら、今日は予防接種の日だからね。病院行くわよ」
「うにゃあ?」
「よぼうせっしゅ」とはなんぞや?
そして「びょういん」とはなんだ?
なんせ、この二ヶ月、清水家の敷地をうろついてトレーニングしたり、チョロい害虫共を狩っていただけなんでなぁ。
む、そう考えると初めての旅だな。
ソラと一緒に行くのか。大丈夫なんだろうか。
魔法も使えないし剣も使えるようには見えん。かといって、体術に秀でたようでもないしなぁ。
まぁ、いいトコのお嬢様なんだから、護衛の一人や二人連れてくんだろうな。
「はい、とりあえずこれに入っててね~」
そういってオレの目の前に置かれたのは、籐製の見事に編み込まれたカゴだった。作ったヤツはなかなかの細工師だな。
ん、オレにこれに入れってのか?
「うにゃっ!!」
「怒んないでよ~。病院行くんだからしょうがないでしょ。帰ってきたらご褒美にプレミアム猫缶あげるからさ」
むう。「ぷれみあむ」か・・・。高級な魚の風味がたまらんよな。
仕方ない、我慢してやるか。
のそのそと勿体付けてカゴに入ってやる。
「よしよし。いい子ね。ホント人の言葉が分かってるみたいよね、トラってば」
分かってるんだけどな!!
オレからの意思疎通は試してない。多分やりゃあ出来るんだろうけど、さすがに変だろうからなぁ。
あまり目立つようなことは避けておかないと。
カゴに揺られて外に出ると、バンッと音がして何かに乗せられた。
ソラが鍵らしきものを入れて回すと、ゴーレムから聞こえてくる駆動音と同じような音がした。
「気になるな・・・」
カゴのドアを開けると、外に出る。
そこは、小さいながらも一つの部屋だった。
「にゃあ?」
「あ、トラ、勝手に出ちゃダメでしょ。もう」
こ、これはゴーレム馬車か?
何という内装だ。狭いながらも高級感に溢れているし、実に快適だ。
しかも馬車に比べると全くと言っていいほど揺れない。
凄まじい技術だな、これは。
「病院着いたらカゴ入ってよ~?」
そう言ってソラはパネルに無数に着いているスイッチを押す。
すると、突然聞こえてくる歌声。
なんと、魔法で吟遊詩人の歌を記録して再生しているのか!?
こんなところにまで高級な魔道具が惜しげもなく使われているのか・・・。
恐るべし、この世界!
ソラは魔道具から聞こえてくる歌に合わせて気分良さそうに歌っている。なかなか上手じゃねえか。
大体30分近く移動しただろうか。
「さ、トラ。着いたからカゴ入ってね~」
「にゃあ」
約束なので、大人しくカゴに入る。
オレはカゴに揺られてゴーレム馬車を出た。
さて、「びょういん」ってなぁ一体何なんだろうな。
「よぼうせっしゅ」ってのは何者なんだ。
好奇心が抑えられねえぜ!!
お読みいただきありがとうございます。
やはり猫で二ヶ月なら必須な話かと。
次話でアンドリューは痛い目に遭いますw