第44話 まさかそんなところに
ルート進行のための新キャラの匂いが…
はてさて?
<第44話>
やあ、オレの名前はANDREW!
日本茶はほうじ茶が好きなほう、アンドリューです!
当然どんなお茶でも好きなわけだが、やっぱり高いには高いなりの理由があるんだなと思うようになったよ。
嗜好品って偉大だな!
「なんてことがあった訳ですよ、師匠」
「ふうむ。そういう年かよ、お主も」
師匠との朝稽古のあと、昨日のことについてちょっと相談してみた。
「まぁ、師匠に猫同士の色恋の話なんかしても迷惑なんでしょうけどねえ」
「他人の色恋話はおもしれえもんだぜ、トラよ」
「オレも他人のならもうちょっと面白いんですがね?」
オレだってまさか自分が恋バナ、しかも猫になってからするとは思ってなかったわ。
「トラは、その嬢ちゃんのことをどう思ってんだい」
「どうっていわれても。好きとか嫌いとか論じられるほど知らないんすよ」
「そんな細けえことはいいんだよ。好きか嫌いか二つに一つっていわれたらどうよ」
「うーん・・・」
嫌いじゃねえ。
なら好きかといわれりゃどうなんだ。
「嫌いじゃあねえっすよ。綺麗な毛並みの猫だなぁとは思います」
「じゃあいいじゃねえか。他人同士、つながるきっかけなんてなぁ、その程度で十分じゃねえのかい」
そういうもんなのかなあ。
師匠に言われると何となくそんな気がしてくるから不思議だぜ。
やっぱ貫禄ってやつかな。
「そんなもんですかねぇ」
「そんなもんよ。何を悩んでるのか知らねえがまずはくっついちまえばいいんじゃねえのかい、トラよ」
「いやいや、師匠はオレがもと人間だったって知ってるじゃないっすか。なんで、さすがに猫と番うのは抵抗があるっつーか」
「元々は人間だったっても、今ぁ猫だろうに」
「体はそうなんすけどね・・・」
うーん、なんと言ったらいいのか。
本来なら現在の肉体に引っ張られるのがいいんだろうとは思うんだよな。
でも、オレの自意識がそれを邪魔するというか。
その折衷案的なものが、獣人化なんだよなあ。
「じゃあ何か、その嬢ちゃんが逆に人間になれりゃあお前さんも納得できるんだな?」
「手っ取り早い解決策だとは思ってますよ。好みならなお良しですが」
「ふうむ・・・」
そう唸ったきり師匠は何かを考え込んでしまった。
何を考えているのだろうか。
師匠のことだから何かオレが知らないこの世界の知識を?
「大婆様に相談してみるか」
「大婆様?」
不思議な単語が出てきたぞ。
長老ポジションってことだよな。
その者、青き衣を纏いて・・・とか言ってくれんのかな?
「日高、大雪の御山よりも東を縄張りとする狐たちの長老みてえなもんだ」
「師匠よりも?」
「強いとかどうとかじゃねえんだよ。あの方は、狐じゃねえのよ」
「?」
狐じゃねえのに長老?
さて、いったいどんな謎かけなんですかね、師匠。
「ああ、狐は狐かもしれんな。他言無用だぞ、虎の字」
「はい、師匠」
「あの方はな、『妖怪』なのよ」
「妖怪!?」
おいおい、話がぶっ飛んできたぜ?
そりゃあ話としては溢れるほどあるが、本当に存在するのか。
「おめえがそれを言っちゃあお仕舞いだろうがよ」
呆れたようにため息をつく師匠。
うん、それもそうか。
この国で一番非常識な存在かもしれんからな、オレってば。
「それもそうっすね。とはいえ師匠。そんな簡単に会える人なんすか?」
「会おうと思えばいつでも会えるってもんよ。ただし、オレは行けねえんでな。一人で行ってもらうことになるぜ?」
「オレがいけるところならどこにでも」
浅黄の人化云々を抜いても、本物の妖怪変化に会えるチャンスをみすみす逃す手はねえだろうに。
生まれはどうあれ、言ってみればオレとは『同類』みたいなもんだ。
現代世界における異物。
親近感もあれば興味もあるわな。
「そうか。詳しい場所は知らんから、調べていってくれ。大婆様は、市内の広小路というアーケード街で【アンバー】ってな喫茶店をやっとるそうだ」
「はい?」
ちょっと待て。
妖怪が喫茶店?
広小路って、あの広小路か?
「さすがに狐の身じゃあ迂闊にゃあ近づけんのでな。お前さんならちょいちょいと調べりゃあいけんだろう」
「ま、まあ、多分大丈夫だと思いますがね・・・」
なんだか意外なところに意外な大物が潜んでたもんだな!?
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