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第41話 今一度の帰還

とりあえず一時帰還です。

次はいつかな。

<第41話>


 やあ、オレの名前はANDREW!

 焼いた餅には砂糖醤油が好きな方、アンドリューです!


 いや、お雑煮だってお汁粉だって好きなんだけどな。

 そうか、お汁粉や串団子も早く作らなくちゃならねぇな。

 そのためにはもち米栽培か・・・。




「よう、起きたかソラ」

「うん・・・。寝ちゃってたんだ、ごめんね」


 ぼけーっとした顔で客室から出て来たソラ。


「迎え酒でも飲むか?」

「さすがに遠慮するわ」

「私はもちろん飲む。迎え酒とは素晴らしい文化。日本人の生み出した文化の極み」

「日本人全部が飲兵衛な訳じゃねえからな!?」


 とりあえずお茶を入れてやる。

 食い物は何がいいかな。

 オレでもパッと作れそうなのは卵がゆくらいなもんかなぁ。


「王様はちゃんと帰ったの?」

「ああ。ちょいと男同士の話をしてからな」

「男同士の・・・。何やら卑猥。ご主人様は両刀?」

「んなわけあるかっ!」


 ホント頭沸いてるなこいつ。


「朝から切れのいいツッコミありがとう。とりあえず朝の魔力を注ぐといい」

「おう、でも、だいぶ貯まったんじゃねえのか?」


 昨日からポーション使って何回も注いであるから、それなりには貯まってるはず。

 MP10あたり1貯まる計算だから、MAXの1000貯めるのに10000MP注ぎ込めば満タンになるはずだ。


「実のところ、すでに500近く貯まっている。二往復出来る計算」

「そうか、そりゃ良かった。早めに一回帰っておいた方がいいな・・・」


 昨日の今日だから、時間回帰の魔法もそんなに難易度高くねえし、記憶操作で済むならそっちの方が楽だ。

 幸い今日帰れば、まだ旅行日数は残ってる。

 ソラの友達二人を、あの店のジジイが上手く誤魔化してくれてるといいんだが・・・。

 さすがに一晩くらいじゃ警察に届けたりはしない・・・と思いたい。


 何より魔力さえシルヴィアに貯まってればこの世界【ウィザリィ】に戻ってくるのは簡単だ。界を渡る時の目印になるようなものをここに設定して、シルヴィアに魔力パターンを登録すればいい。まぁ、カーナビの地点登録みたいなもんだな。


 それに、ちょっと情報仕入れたり準備もしたいしな。

 色々なものの作り方をプリントアウトして持ってくるとか。

 出来合のものを複製するだけじゃ絶対に満足出来ないだろうからな。


 何より、この世界に職人を育てるためには製法を伝えることが必須だ。


「もう帰るんだ?」

「一旦な。何せオレ達はあの店から突如消えたことになってるはずだ。まずは一回帰って友達二人組の記憶をいじる必要がある。それが無理なら時間を巻き戻すことになるんだが、その時もあまり長時間経過していない方が難易度が低いんだよ」

「なるほど~っていうほど分かってないけどさ。とにかく、シルヴィアちゃんさえいればどうにかなるんでしょ?」

「ああ。ひとまずそう思っといてくれればそれでいい」


 魔法の話とかソラに分かるわけないよなあ。

 そうと決まれば早いほうがいい。

 昔の人は言いました。善は急げと。

 急がば回れとも言ったけどな。


「そうと決まれば」


 ゴルドに念話で連絡を取る。

 オレがもう一度こっちに帰ってくる前に、食材を集めておくようにと。


 ついでにロバートにも電話しておく。


「と言うわけで、一回帰るわ。また戻ってくるから心配すんな」

「心配なんぞするか。土産を期待しているぞ」

「おうよ。色々頼んだぜ」

「任せろ」


 よし、これでひとまず帰る準備は出来た。

 次に戻ってくる時は、きちんと用意してからだな。

 ある程度の日数、こっちにいられるようにソラのスケジュールを調整する必要もあるからな。


「よし、じゃあ地球に戻るか」

「分かったわ。でも、海外旅行のついでにこんな不思議体験することになるとは思わなかったわー」

「海外旅行のついでに異世界旅行もしちゃいましたってか?」

「あはは。そうね。また来られるみたいだから楽しみにしておくわね」

「任せて欲しい。だが、この世界に戻ってくる必要性を感じなくなりそうな私がいる」

「働かないヤツ(シルヴィア)には酒は飲ませんぞ?」

「わかった。今から本気出す」


 うん、酒で釣れるな、このロリBBAは。


「じゃあいくの。出発進行。黄色い線の内側までお下がり下さい?」


 シルヴィアから光の奔流が。

 そしてオレ達はまた世界を越えた。


「っとと・・・」


 オレ達が出たのは、例の骨董屋の奥の部屋だった。

 どうやら無事に転移出来たようだ。


「着いたみたいだな」

「私にかかれば造作も無いこと」

「ちょっぴりドキドキするよね」


 勢いよくドアを開けてジジイが部屋に飛び込んでくる。


「おおお、戻って来おったか!!」

「おうよ。一日振りだな爺さん。ところで連れの二人はどうなった?」

「二人の娘なら、ワシが魔法で眠らせてある。さすがにどこか異世界に行ってしまったわい・・・とは言えんでのう」

「グッジョブだ、爺さん。それなら記憶操作だけで済みそうだ」


 ややこしいことにならずに済みそうで良かった。

 まずはホテルに連れて帰るところからだな。


「世話になったな、爺さん」

「ああ、こっちこそ迷惑を掛けたのう」

「爺さんのせいじゃねえ。この考え無しの暴走ロリのせいだからな」

「カッとなってやった。今は反省している」

「そやつは魔鏡の精霊か・・・。よくも手懐けたものじゃな」

「まあな。そんじゃ行くわ。もう会うことは無いかもしれんが、達者でな」

「お主もな。折角じゃから、また顔を出してくれると嬉しいのう」

「気が向いたらな」


 オレ達は爺さんに別れの挨拶をし、転移魔法を使ってソラの友達二人を連れてホテルへ戻った。


 骨董屋で気分を悪くした二人を連れてホテルに帰り、昼までぐっすりだったということにした。

 記憶操作とはいっても大した操作じゃないので、特に問題も無いだろう。

 起きた二人と話を合わせてもらうために、ソラにも少し具合の悪い振りをしてもらったりしたしな。


「骨董屋さんだけあって、何だか空気悪かったしね」


 とかいって、自分たちで勝手に納得していた。

 良かった良かった。



 しかし、界渡りの魔鏡に水の精霊付きの耳飾りか。

 不思議なもんがこの世界にもあるもんだなぁ。

 地球も捨てたもんじゃないな。


お読みいただきありがとうございました。


良ければ、評価やランキングリンク、感想などなんでもお待ちしております。

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