第39話 国家的大事業?
皆様、明けましておめでとうございます。
調子こいて深夜二時までワイン飲みながら遊んでいたために激しく眠いです。
拙い作品群ですが、今年も頑張って書いていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
<第39話>
やあ、オレの名前はANDREW!
パンプキンとコーンならコンポタが大好きな方、アンドリューです!
やはりコーンポタージュ。
最高に美味い。
これも即座に再現せねばならぬな。
「話は聞かせて貰ったぞ!!」
そういって部屋に乱入してきたのは、中世貴族風の衣裳である緑色のダブレットと赤いマントを身につけた、坊ちゃん頭の細身の若い男だった。
多少貴族っぽさが感じられないでも無い。
「げ、マーフィー・・・」
「こんな楽しそうなイベントに親友である僕を呼ばないとかどういう了見なんだね、アンドリュー!!」
「いや、なんつーか、別にオレら親友じゃ・・・」
「みなまで言うな。分かっている、分かっているとも、君の心の内は!!」
ホント人の話聞かねえよな、コイツは!
「すごいハイテンションね」
「私とは別の意味ですごい」
「シルヴィアも自覚あんならどうにかしろ」
「すまない無理」
マーフィーはその間もなんやかんやと喋っているが、とりあえずスルー推奨。
どうせ大したこと喋ってねえしな。
「9ヶ月ぶりに帰ってきたというのに、親友に挨拶も無しとはさみしいじゃないか!」
「帰ってきたばっかりでゆっくりしたかったんだよ! このテンション疲れんだよ!」
「照れなくてもいいじゃないか、親友よ! いや、もはや心の友で心友よ!!」
「うぜええええええええっ!!」
はっ、咄嗟にあごをかすめるようにして右フックを打ち込んでしまった。
マーフィーは白目を剥いてパタンと倒れてしまった。
「ご主人様ぐっじょぶ」
「さすがです、アンドリュー様」
「つーかゴルド、どうにかしろよ」
「彼と接するのは非常に私にとっても苦痛でありまして・・・」
「仲良しのピエロ君は?」
「おそらく地下10層をうろついていることでしょうな」
「よし、マーフィーを10階に放り出してこよう」
「そこまで!?」
ソラが驚いているが、無視しよう。
マーフィーがいると話が進まん。
どうせ勝手に戻ってくるだろうが、しばらく時間が稼げればいい。
ピエロ君が上手く相手をしてくれれば忘れてくれるかもしれんしな。
「まぁ、さすがにそれだけだと可哀想だから、プレゼントと手紙をくくりつけておいてやるとするか」
そういって収納空間から色鉛筆24色セットと12色のクレヨン、それと水彩絵の具セットを袋詰めして、手紙に「プレゼントだからありがたく受け取って、お前の好きな絵でも描いていろ byアンドリュー」と書いておく。
世にも珍しい異世界の画材だ。
貧乏画家の幽霊には過ぎたプレゼントだろ。
「よし、ゴルド。捨ててこい」
「了解いたしました」
これで平和が訪れたな。
「うむ、正義は必ず勝つ」
「むしろ勝った方が正義?」
「そうともいうな」
さて、話を戻そうか。
懸念であった調味料の作成はひとまず成功をもって終了した。
次はこの世界の高級食材を手に入れて、ソラに料理して貰って食う、それが終着点だ。
「ゴルド、お前に非常に重要な任務を与えよう」
「は、何なりと」
気をつけの姿勢から腰だけを軽く折り曲げる完璧な礼だ。
「この迷宮にいるどのような戦力を用いても構わん。必ず成功させろ」
「どのような戦力を用いても、でございますね?」
「ああ、そうだ。それほどに重要な任務だ」
「アレ、でございますね?」
「そうだ、アレだ」
オレとゴルドの重々しい雰囲気に、ソラとシルヴィアが表情を改める。
「トラ・・・。何をする気なの?」
「ご主人様、まさか地上世界を征服する気では」
「くだらん。地上世界などに興味は無い」
一言の元にバッサリと切り捨てる。
そう、オレが興味があるのは・・・
「世界の果てまでも探索し、この世界の高級食材を全て集めるのだ!!」
何という一大事業。
まさに国家レベルの作戦と言っても過言ではあるまい!!
「・・・」
「・・・」
あれ、なんでそんな目でオレを見るんだ?
ゴルドみたいに感涙にむせび泣いてもいいんだぜ?
「そんなことだろうと思っていた。意外にご主人様は残念系」
「そうよね。トラが考えることなんてそんなものよね」
あるぇ~?
「いや、別に世界征服してから素材を集めてもいいんだけど、面倒だろ?」
「そうね。その方がいいわよね。世界平和のためにも」
「ご主人様はそのぐらいがちょうどいい」
何かけなされてる気がしないでもないが、別にいいや。
「ついでだ、ゴルド。各地に散っているだろう迷宮制覇の勇者達に情報を提供させろ。地域毎に特色ある料理素材があるはずだ。情報収集は基本中の基本だからな!」
「了解でございます。すぐさま作戦を遂行いたします」
「うむ。頼んだぞ。お前の働きに全てが掛かっている。見事成功した暁には、某有名純米大吟醸を一本くれてやろう」
「・・・可及的速やかに作戦を遂行いたします。では失礼を」
あっという間にいなくなってしまった。
すでにゴルドは日本酒の暗黒面に囚われてしまったのか・・・。
「ご主人様、私にも可及的速やかに魔力を注ぐことを推奨。ご主人様の収納している酒にも限りがある。物資の補給を軽視しては戦争には勝てない」
「まだ結構貯めてあるが、お前の言うことももっともだな」
酒が飲みたい一心で無ければだがな!!
「うーん、何ていうか、すごいダメな人たちを見ている気分になるわ・・・」
「シルヴィアを見てるとオレもそういう気分になるぜ?」
「自分を棚に上げるのは良くないと進言する」
なんでやねん。
あれ、ソラさん、可哀想なものを見るような目でオレを見るのは何故?
「さて、気分転換にスイーツでも作ろうかしらねぇ」
「オレはプリンが食いたいぞ。果物もたくさんあったはずだ」
「はいはい。じゃ、プリン・ア・ラ・モードでも作るわ」
「私もご相伴にあずかりたい。ソラの秘術をもっと味わいたい」
「大丈夫よ、みんな分作るから。多めに作っても大丈夫よね?」
「冷蔵庫入れときゃ大丈夫だろ」
ソラはキッチンに消えていった。
さて、シルヴィアに魔力でも充填するか。
「一晩中でも注ぎ込み続けてくれていいのよ?」
「うるせえ、銀髪ロリBBA」
シナ作ってんじゃねえよ・・・。
お読みいただきありがとうございます。
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