第29話 狐たちの跡目?
お久しぶりでございます。
12月頭まで忙しく、更新間隔が延びると思われます。
見捨てずにいていただけると嬉しいです(°_°)
<第29話>
やあ、オレの名前はANDREW!
数の子なら「塩もいいけど醤油もね!」の方、アンドリューです!
いやあ、正月っていいよな。
しかし、あの餅ってのは危険だな。
のど詰まらせちゃうのがいるのもよく分かるぜ!
みんな、良く噛むかサイズを考えてから出したり食ったりしようぜ!
さて、正月だ。
「やっぱ初撃ちだよなぁ」
「だよなぁ、虎さんよぅ」
オレは親父さんと並んでパチンコしてた。
正月早々それかよとか言わないで欲しい。
親父さんが、
「ちょっと運試ししてくるべさ」
っていなくなっちまったからよ・・・。
偶然を装って隣の席に収まり、景気付けとばかりに二人で出しまくる。
オレの力があれば余裕だぜい。
まぁ、そればっかりでも困るが。
「いやあ、新年早々縁起がいいナァ」
「おう。親父さん吹いてたなぁ」
「自分でもびっくりだべさ。ここは奢るよ」
「悪ぃなぁ」
午後だけで十分出したので、また二人で飲んで帰ることにした。
正月早々パチ屋で儲けて居酒屋とかもうね。
笑いが止まらんよな。
「じゃ、またな、親父さん」
「おう、虎さん。またな」
親父さんと別れたオレは転移でそのまま山に。
コン蔵師匠と新年初稽古を終えて、隠れ湯でのんびりだ。
「虎の字よ」
「なんすか、師匠?」
いつの間にか虎の字なんて呼ばれていた。
まぁ、ちょっと格好いい気もするので問題ない。
「この半年足らずで強くなったなぁ」
「何言ってんすか、師匠。まだまだっすよ」
「謙遜すんねぇ。オレにはよぅく分かってるぜ」
む、何かをよく分かられているようだ。
「おめぇさん、実力を隠してるだろう?」
「何のことっすかね」
「今更隠すんじゃねえよ。なりぁそんなんだが、動きも頭も一級品だ。ただの猫じゃねえのはすぐに分かる。そして、まだ底を見せちゃいねぇ。だろう?」
「そんなに買ってもらってありがたい話っすねぇ」
魔法の話とか迂闊に出来ねぇしなぁ・・・。
師匠クラスなら妖怪みたいなバケモノと遭遇したこともあるかもしれんから、案外納得してくれんのかも知れんけど。
「まぁいい。手の内を全部晒すヤツぁ長生きできんからな」
「あざっす」
そんな感じで天然温泉を楽しんでいたオレ達だったが、乱入者が現れた。
「おう、コン七か」
「ちっ、老いぼれかよ」
ああん!?
師匠に向かって何て口の利き方だ。
ただじゃおかねぇぞ、ゴルァ!
「相変わらず威勢のいいこった。銀狐の」
「とっととくたばりやがれ。よりにもよって猫なんぞ弟子に取るたぁな。見下げたぜ」
「ふふ。今一番の楽しみよな。お前さんにもひけは取らんぞ、この弟子は」
おいおい、師匠。あんまり煽ってくれるなよ。
ほら、凄え目でこっち睨んでるじゃねえか。
「このちび猫がオレと同等だと?」
「見た目で判断しちゃいけねえよ。痛い目見るぜ?」
「羆や全盛期のアンタならともかく猫にか・・・。オレも安く見られたもんだ」
「はん、こっちこそ勝手に格下に見られていい迷惑だぜ、コン七さんよぅ」
猫猫っていちいちうるせえんだよ、こいつ。
絶対師匠の方かコイツよりは強え。
「なんだと・・・。その喧嘩買ったぜ?」
「随分安く買われたもんだな、おい」
にらみ合うコン七とオレ。
「新年早々いい見せもんじゃねえか。やるがいいよ。儂が見届け人だァ」
「師匠?」
「そいつぁ、勝った方がこの辺の主って事でいいんだな、コン蔵さんよ」
「構わねえよ。儂ゃあそんなもんに興味はねえが、何か見返りがあった方がやる気が出るってもんだろうさ」
おいおい、師匠。何を大事にしてくれやがりますかね?
「しかと聞いたぜ、金狐の」
ギラリと目を光らせてオレを睨みつけるコン七。
けっ、大人げねえ狐様だぜ。
「兄貴、喧嘩ですかい」
茂みから数頭の狐が現れた。どうやらコン七の手下のようだ。
「おう。金狐のコン蔵さんが、勝った方にこの辺の縄張りを任せてくれるんだとよ」
「へぇ! そいつはいい話ですね」
「猫なんかにコン七兄ぃの相手が務まるんですかね?」
うぜえ。
うぜえヤツってのはどこの世界にもいるもんだな、おい。
「すっこんでろ、三下ぁ。てめえらからぶちのめすぞ?」
「んだと、猫の分際で!」
「トラの言う通りだ。すっこんでろ。邪魔すんなら儂が相手してやらぁ」
師匠の一睨みでブルッちまう手下共。
さすが師匠。
「いいからお前らはひっこんでろ。オレが負けるわけねぇ」
「へ、へい、兄ぃ!」
「はっ、随分余裕だな?」
「猫如きに本気なんぞ出すまでもねぇ」
「五秒だ」
「ああ?」
「五秒でテメエの思い上がりを矯正してやるよ」
鼻で笑ってやらぁ。
「やってみろ」
お、なかなかいいプレッシャーだな。
師匠程じゃねえが。
「やってやるよ」
「話はついたか? そんじゃあ始めるか」
師匠があっさりと合図を出す。
「始めいっ!」
コン七が一気に間合いを詰めんと前ダッシュ。
それを読んでいたオレも、当然ながら前ダッシュ。
すれ違いざまに繰り出されたコン七の爪を皮一枚で軽く見切ると、逆に爪を脇腹に立ててやる。
場所を入れ替えてにらみ合うオレとコン七。
この間、きっかり五秒。
「大したことねえなぁ、銀狐の?」
「ちび猫が・・・」
「分かってんだろ。オレが殺る気なら、アンタは死んでたぜ?」
はっはー。いい顔だ。
大物ぶってるヤツを叩きのめすのは気分がいいな、おい。
「まぁいいや。続きといこうじゃねえか、コン七さんよ?」
「油断しただけだ。次はそうはいかん!」
「自分が油断できるほどの大物だと思ってんのか。とんだ自信過剰野郎だな」
クイクイと猫招きしてやろう。
「黙れえっ!!」
怒りに任せた突進なんぞ目を瞑ってても避けられるが、それじゃあつまらんからな。
ヤツの前足を自分の前足で巻き取るようにして、後方に反り投げを撃つ。
アレだ、陸奥ナントカ流的な投げ技だな。
体格差はあるが、オレも最近の猫としてはそれなりのサイズだ。
体はともかく、足の一本くらいなら極めれるぜ。
「ぐおおおっ!?」
「ホントなら関節極めて折るんだけどなぁ。前足なんぞ折っちまったら、アンタ生きていけないだろう?」
野生動物が骨折なんて、明らかすぎる死亡フラグだからな。
「くっ・・・」
「まだやるってんなら別に構わんが、そろそろ無傷じゃ済まないぜ、アンタ?」
軽く手合わせしてみてはっきり分かっただろう。
ヤツの実力はオレの足元にも及ばない。
何で師匠がこんなヤツに好き放題言わせてるのかがよく分からん。
「かかっ。そのへんで止めといてやれ、虎の字。これでコン七も目が覚めんだろ」
「師匠?」
師匠が如何にも可笑しそうに笑う。
そういうことか。
「師匠~。オレを当て馬に使うの止めて下さいよ~」
「ははは。すまんすまん。だがこの辺一帯の狐どもにゃあ必要なことだったんでなぁ。勘弁してくれや」
「いや、いいっすけどね。所詮オレは余所者ですからね」
しかも異種族だしな。
師匠なりの親心ってやつかねぇ。
「コン七よ」
「・・・なんだ」
「オレはお前さんの言うとおり老いぼれだぁ。ま、そう簡単にゃあくたばってやらねえがな。だが、生きてる以上は必ず死ぬ。そうなりゃあこの辺一帯を仕切るのはやっぱりお前だろうよ」
「・・・」
ネコが仕切るのはまずいよな、うん。
「だが、お前さんは自惚れがひどい。そのくせ変なとこで臆病だ。セコいしな」
師匠、それただの煽りっすよ。
「何が言いてぇんだ!?」
「それでもお前さんが次の頭だってことよ。虎の字に負けて分かったろう。まだまだ修行が足りねえってな。心を入れ替えて欲しいんだよ」
真顔で師匠がいう。
出来の悪い息子を諭すみたいに。
コン七も黙って師匠の話を聞いている。
「言いてえことはそれで終いか?」
「おう。爺の話に付き合わせて悪かったなぁ」
ニヤリと師匠が笑う。
「・・・行くぞ、お前等」
「兄い!?」
子分共を引き連れてコン七は去っていった。
「あれでいいんですかい、師匠?」
「いいんだよ。アイツだって阿呆じゃねえ。きっと伝わってると信じたいねェ」
そう言って師匠は笑った。
食えねえ爺さんだよ、ホントによ。
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