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第22話 人の姿になって最初にした事は、お金を手に入れる事でした!?

この話にしては長めかも。


まぁ、アンドリューもアラフォー親父だってことですwww

<第22話>


 やあ、オレの名前はANDREW!

 牡蠣を食べるなら牡蠣フライが一番な方、アンドリューです!

 生牡蠣は苦手なんだよな、オレ・・・。


 牡蠣鍋も好きだぜ!



 さて、暦も師走に突入し、朝晩超寒い。

 冬毛になっていようがいまいがそんなことは関係なく、超寒い。

 大事なことなので二回言いました。




 さて、ここで、大事な報告があります。


 日々の地道な訓練の結果がようやく実を結び、遂に、当初の目標である「人間変身」の魔法を使えるようになったぜ!!

 つまり、ようやく上級魔法に手がかかったって事だぜ。


 元の世界に帰るための「門」を開くための魔法は、上級よりも上位の「禁呪」指定魔法だ。上級の上には「最上級」「究極」の2ランクあるが、「禁呪」はちょいと特殊で、ランクよりも内容によって指定されることが多い。

 ちなみに、世界間移動を可能にするようなゲートは、間違いなく「究極魔法で禁呪」に指定される。

 よって、まだまだオレには使えないって事だ。


 残念だが、まず第一目標であった「人間の姿になる」ことが達成されたことを喜ぶことにしよう。


「というわけで、人間変身だぜ!」


 時間は深夜。

 誰にも見られていないことを確認し、なおかつ魔法で結界を張っておく。


「よし・・・。【変身(メタモルフォーゼ)】!」


 人間だった頃の姿を細部までしっかりとイメージしていく。

 ただし、今生きている世界に合わせて、髪の色と目の色は黒っぽくなるようにする。


「おし、成功だ」


 魔法で自分の姿を映し出して、変なところはないか確認していく。


 身長は180cmちょいで、筋肉質なわけじゃないけど引き締まった感じ。

 髪は黒で、やや長めで首に掛かる程度。ちょっとぼさぼさっとした感じかな。

 目も同じく黒。少し茶色っぽいかな?

 年齢は40前には間違いなく見えるはず。見る人によってはもう少し若く見てくれるんじゃないだろうかな。


 ややエキゾチックな感じだが、ギリギリ日本人に見えるか。

 我ながら中々いい男だぜ?


 う、嘘じゃないんだからね!?


「ふう。変身できることが分かったんで、ちょいと落ち着いたなぁ」


 八ヶ月前、この世界に飛ばされてきてからの第一目標だったからな。

 喜びもひとしおだ。


 ま、だからといって何かできることが増える訳じゃない。

 身分も確かじゃないオレがこの世界で定職に就けるわけでなし。


 問題はだ。


「このことを誰かにバラすかどうかなんだよな・・・」


 例えばソラ。

 ソラのことだから、なんだかんだ言っても目の前で変身してみせれば納得してくれそうな気がしないでもない。


 例えば大地。

 うん、むしろ喜ばれそうだ。

 ネタにされるのも困るんで、大地には教えない方が良さそうだ。


 例えば親父さんとお袋さん。

 ・・・・・・。

 大丈夫そうな気もする。何せおやっさんとお袋さんだからなぁ。


「じゃあ、ばらしちゃえ・・・とはならんよなぁ、普通は」


 元の世界でも、身分や種族を偽って生活していたヤツらもたくさんいた。

 バラして上手くいくこともあれば、見事にダメになることもある。


 結局は相手のいることだからなぁ・・・。


「ま、急いでバラすこともねぇ、か。ちょいと先延ばしにさせてもらうかね」


 やはりというかなんというか、そういうことになった。

 いや、そういうことにした。


 禁呪までは先も長そうだし、現状維持でもいいだろ。

 ネコ生活の心地よさに甘えてしまっている気はするが、とりあえずそういうことで。



 それで、だ。


 今、オレは街の「パチンコ店」というところにいる。

 定職に就けないオレが金を稼ぐ=ギャンブルだろ!


 親父さんの話の中によく出てくるんで、情報は集めておいたんだ。居間によくそれに関する雑誌が置いてあったしな。


「つーか、うるせえところだな、おい」


 とにかくうるさい。

 そんでもって、昼間だというのに結構人がいる。


「仕事してねぇのか、コイツらは。夜の仕事か?」


 ま、オレも人の事は言えねえんだが。

 猫だからしゃーないよな!?


「親父さん曰く、楽に金が稼げるそうだが。まずは情報収集だな。何でも情報収集が基本だぜい」


 店にいる奴らの行動を観察していく。

 何かみんな切羽詰まったような顔してるな、おい。


「なるほど。この金属の玉を特定のポケットに入れると、液晶画面のスロットがスタートする。そして、同じ数字や絵柄が3つ揃えば当たりってことか」


 しかも、その揃った数字や絵柄によって出てくる玉の量が変わったりするようだ。

 随分簡単な仕掛けだな。

 しかも、コンピュータ制御されているんだから、こっち側で出来る事は玉を打ち出す事だけってか。純粋に運の勝負ってことになるな。


「ふふん、嫌いじゃないぜ、そういう賭け事(ギャンブル)


 オレの豪運、見せてやるぜ!


 とはいえ手持ちの資金がないので、ちょいと卑怯な事させて貰うかな。

 魔法を発動して、落ちている玉をこっそりと拾い集める。

 何だかんだ言って100発近い玉が集まった。


「ま、こんぐらいありゃ十分だろ」


 適当なイスに座ると、その玉を上皿に流し込む。

 最初の数発でハンドルを調整し、それなりに見えるように玉を発射する。


「で、こっからが本番だ」


 魔法を発動。玉の動きを僅かにコントロールして、スタートチャッカーに金属の玉をまとめて数発叩き込む。

 液晶画面の数字が回転し始める。


「ビンゴ!」


 数字は777を示して止まった。

 オレの幸運ステータスなめんなよ!!


 後は流れ作業だ。

 出てくる玉をプラスチックケースにじゃんじゃん詰め込んでいく。

 当たりが終了したところで何も困る事はない。

 どうせすぐにまた当たるからな。

 オレの足下やイスの後ろにどんどんとプラスチックケースが積まれていく。


「おお、よく出てんなぁ。あやからして貰うべか」


 げ、この声は。

 やっぱり親父さんじゃん!?

 まさか鉢合わせとはな・・・。


「お、おうよ」

「俺も調子よくでるといいなぁ」

「きっと出るぜ、おやっさん」

「ホントか。期待するかあ」


 ここはオレの出番だ!


 オレの方は放っといても出続ける。

 そこで、親父さんの玉の動きを微妙にコントロール。スタートチャッカーに入る玉の量を増やすと同時に、親父さんに魔法を掛ける。


 その名も「幸運(ラック)」。


 対象の幸運値を3時間引き上げる上級魔法だ。

 地味だけど、迷宮探索の必須魔法なんだぜ!


「おお、早速だぁ!」

「な、出るっていったろ?」


 親父さんの画面にも777の数字が。

 もともと親父さんの幸運値は人間にしては高めだ。そこをさらに上昇させたんだから、このくらいの勝負には余裕で勝てるはずだ。


 結局、その後もオレと親父さんは馬鹿みたいに出続けた。

 あんまりにも出続けたんで、午後7時くらいに二人揃って切りあげて、一緒に飲みに行く事にした。


「いやあ、儲かったなぁ。兄ちゃんのおかげだわ」

「んなことねぇよ、おやっさんの運がいいんだろ。それとオレももうすぐ40だ。兄ちゃんは止めてくれよ」

「そんな歳かぁ。見えんけどなぁ。俺は清水ってんだ」

「オレはアンドリュ・・・じゃない、えーと、安藤ってんだ。安藤虎吉だ」


 おっとっと。日本人風だった。

 アンドリューもじって安藤。虎吉は・・・まんまだな。


「虎吉か。ははは」

「何かおかしかったか?」

「いや、うちの娘が拾ってきた猫がよ、トラ吉っつーんでよ。気ぃ悪くしたか?」

「いんや、別に。奇妙な事もあるってこったな」


 そんなこともあって一気に打ち解けた親父さんとオレは、その日儲けた金でしこたま食って飲んだ。

 こんな楽しい酒は久し振りってくらいにな。


「あんだぁ、安藤ちゃん、携帯持ってねぇのか」

「おう。あんまり好きじゃねえんだわ」


 身元不明じゃ契約も出来ねぇっての。


「わかるわー。俺も仕事とかで使わんかったらいらんわ~」

「使ってみてえと思わないでもないんだがなぁ。契約とか面倒だろ」

「だべなぁ」


 あったら便利だとは思うけどな。

 非合法な手段で色々とゲットしてみるか?


 このへんじゃ無理だろうけどな。平和だから。


「いやあ、しかし楽しい酒だったわ。また会えるといいなぁ、安藤ちゃん」

「オレも楽しかったよ、おやっさん。あの店によく来んのかい?」

「色々だぁ。あ、そっか、俺の番号教えとくわ。飲みに行きたくなったら誘ってくれや」

「おう、わかった。また馬鹿勝ちしそうだったら連絡すらぁ」

「じゃあ、そろそろ帰るわ。もう日が変わっちまうんでな」

「そんな時間か。じゃ、オレも帰るとすっかな」


 親父さんを見送ると、オレは人気の無い所で魔法を発動。

 転移魔法のおかげで移動は一瞬で済むからな。


 あれ?

 もしかしてまた何かの原因で失敗したら別な世界に?


 考えるのは止そう。せっかくの酔いが醒めちまう。


 慎重にやればそんな事ねえだろ。


 ・・・ねえよな!?


お読みいただきありがとうございます。

良ければ各種ポチや感想などいただけるととても喜びます。



これ系統の話はあんまり重ねると面白くなさそうですね。

親父さんと接点を作ってしまったので、飲みに行くような話はまた書くかも知れません(^^;

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