第21話 Let's ばんえい
ひとまず動画シリーズはここまでと考えています。
TV局どうするか悩みましたがやめましたw
せいぜいOCTVかなあw
<第21話>
やあ、オレの名前はANDREW!
ホッケフライにはソースより醤油をかける方、アンドリューです!
勿論ソースを掛けても旨いんだぜ!
いやあ、ホッケって旨いよなぁ・・・。
焼いて良し、揚げて良し。
元の世界では魚ってのはあんまり食べなかったからな。
帰ったら海沿いにでも迷宮作ろうかな。
さて、いよいよ計画を実行に移す時がきた。
そう、「猫が輓馬の騎手の件」動画である。
「おうい、クロとベイにソリつけるの手伝ってくれやあ」
「あいよ~」
親父さんがそんなことを言い出した。
お袋さんも大地も、早速ツナギを着て、分厚い軍手を装着だ。
どうでもいいけど、あれ、防御力高そうだよな。
ソラは力仕事にはあまり手を出さない。
ぶっちゃけ危険だし。
ちょっと天然入ってるしな。
「うにゃ~お」
オレもみんなの後をソラと一緒について行く。
「ソラ、カメラ頼むな」
「分かった。でも、ちょうどいいのが撮れるかどうかは分かんないわよ?」
「分かってるって」
大地とソラがひそひそ話している。
ふふ、任せとけって。
クロとベイが馬房から出されて、馬そりの置いてある倉庫までぽっこぽっこと歩いて行く。
すでに肌寒い季節だが、天気はいいので結構気持ちいい日だ。
「うし、ガンガン引くぜえ」
「やっぱりソリ引かないと体が鈍っちまうぜ」
久し振りのソリらしく、クロとベイも気合いが入っているようだ。
装着予定のソリには、牧草ロールがどどんと乗っかっている。
「ま、重機で運んでもいいんだけどよ。クロとベイも鈍っちまうといかんしな」
「ばんば馬だもの、やっぱしソリは引かせんとね」
1tもの重りを引いて障害登るんだもの、このくらい余裕だろ?
クロとベイも涼しい顔だ。
「もっと重くてもいいぜ」
「だなぁ。7,800kgくらいはあってもいいべさ。平地だし」
「すげえな、お前ら・・・」
ソリ装着を見計らって、ひょいひょいとクロの上に登る。
「あ、トラ」
ソラが驚いたように声を掛けてくる。
「にゃ~?」
「落ちるなよ。踏まれたらぺしゃんこだべ」
「うにゃ」
親父さんも心配してくれているようだ。
大丈夫だって。
鬣を引っ掴んで、頭の上までよじ登ると、一鳴き。
「うにゃ!」
前進開始!
「ようし、いくべさ」
「トラ、爪立てんでくれよ?」
「任せとけって。そんなヘマしねえよ」
ずず、と音を立てて重いソリが動く。
「おお、トラが騎手やってるわ」
「ソラ、カメラカメラ!」
「う、うん」
親父さんが面白そうに言うので、大地がソラに指示を出した。
よし、オレの勇姿をバッチリ収めてくれたまえ。
「にゃ!」
オレの泣き声と首の動きにあわせて、クロとベイが馬房へと動き出す。
ホントは指さし確認したいが、さすがに不思議過ぎだろうと言うことでやめておいた。
妖怪認定されちまってもなぁ。
「あはは、トラの言う通りに動いてるわ~」
「単に馬房に向かって進んでるだけだべ?」
「いやいや、お袋の言う通りかも知れねえって。よくトラとクロとベイで話してることあるしなぁ」
「トラも馬房とか鶏舎によくいるわよね」
ふはは。
オレ達が会話しながら働いているとは夢にも思うまい。
この世界にも「動物会話」スキルとか持ってるヤツいるんだろうけどなぁ。
魔法もそうだが、この世界の奴らはスキルとか全然持ってねぇよな。
だから、極稀に発現してる奴らは、みんな凄え有名人になってることが多いようだ。
スキルやステータスを確認出来るのもいないみたいだから、きっとスキル持ってても全く活用出来ずに埋もれていってる奴らもいるんだろうなぁ・・・。
オレがスキル鑑定士でもやってやるか?
占い師みたいな感じで「あなたの進むべき道はこっちです」とか言って。
大儲け出来そうだな。
「うん、人間変身出来るようになったら考えよう」
「なんか言ったか、トラ?」
「うんにゃ、なんも」
途中にゃーにゃー言いながら、オレ達はあっさり馬房へ辿り着いた。
「よし、もう一往復頼むぞ~、クロ、ベイ」
「ぶひいん!」
クロ的には「おっしゃ、まかしとき」的な感じで喋ってるんだけど、やっぱり馬の嘶きにしか聞こえてないんだよな。
この世界にもスキルとかもっと浸透すればいいのにな。
余談だが、やはりこの動画も結構人気だったらしい。
「ちょwwwトラ進行方向指示してるwww」
「馬と猫の会話が成立するとはwww」
「誰か面白吹き替え字幕plz」
「ほっこり!」
「ほっこり!!」
「ほっこり!!!」
「わはは、見ろソラ。ウケてるウケてる」
「何ていうか、今更よね・・・」
ふふふ。
またオレの人気が上がっちまったようだな。
オレも罪作りな男・・・いやオスだぜ!
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