第19話 日本中をメロメロだぜ
そろそろトラの魅力を日本中の皆様に…
すみません、嘘です。ようつべしてみたかっただけなんですw
<第19話>
やあ、オレの名前はANDREW!
オムライスは薄焼き卵が好きな方、アンドリューです!
もちろんふわとろだって大好きだけどな。
中身はチキンライス以外却下だぜ!!
ところで、ソラには兄ちゃんがいる。
ちなみに名前は「大地」だ。
兄が大地で妹が大空。
うん、なんつーか、この地域にはピッタリの名前かも知れないなと思った。
オレは兄弟姉妹なんてのはいなかったから、血の繋がった兄妹ってのはちょっとだけ羨ましいかもしれない。
別段仲も悪くなさそうだし。
いい訳でもなさそうだが。
大地は、いわゆる「オタク」ってヤツらしい。
大地曰く、「自らの心の赴くままに、深淵を極めんとする崇高な職業」とのことだが、ソラには「ただの変態です」とバッサリ切り捨てられていた。
ソラの言いたいことも分からないではないが、大地程度の変態なんて可愛いもんだ。
あっちの世界には、真性の変態が結構いたからなぁ・・・。
まぁ、変態論議はさておき。
この清水家のケースの場合は、オタク=マンガやアニメが好きで、趣味のために何かを捨てられる兄・大地ということでおおまかにはOKらしい。
世間一般の話はよくわからんが。
よくわからんよ?
大事なことなので二回いました。
大体、大地の定義で言うならオレは差し詰め「魔法オタク」かな。
まぁ、大地は特に誰かに迷惑掛けまくってるわけじゃないし、別にいいんじゃないかなと思わないでもない。
家業の農業はちゃんとやってるようだし。
きちんとそれ専門の学校でも学んだらしいし、もっと上級の学校にも通ったらしい。
「唯一の問題は、三次元より二次元で婚活してるとこなのよね」
ソラはそういって悲しそうな顔をしていた。
まぁ、家業がある以上、長子が嫁を取って家を継いで欲しいと願うのは当然と言えば当然か。
次善の策として、娘に実力のある婿を取るという手もあるわけだから、そこまで大地に嫁を取ることに固執しなくてもいいのに。
この世界ではそうではないってことなんだろうな、きっと。
さて、その大地だが、非常に興奮した様子でパソコンの画面を指さしている。
「ははは、すごいPVだろ!」
「またそういうことして・・・」
「うにゃ~お」
ようつべという動画サイト(?)だそうだが。
なんだ、オレが映ってるじゃねえか!
「トラのジャガイモ選別が大受けでさ~」
「そりゃあ、あの速度で猫パンチ繰り出されたら受けるでしょ」
「こんなにアクセス数伸びるとか! 別動画求む言われてるからなんか頼むよ」
「そんなのトラに言ってよ・・・」
ソラは額に手を当ててげんなりしている。
さすが大地だ。ソラをこんなにげんなりさせれるのは大地しかいねえ。
「にゃ~あ」
「トラ、日本中で大人気になれるぞ。なんかまたすげえ事やってくれよ!」
「にゃ」
すげえ事って言われてもなぁ・・・。
農期終わっちゃってるしな。
あれか。
クロとベイに協力してもらって「ウチの猫が輓馬に乗ってソリ引っ張る件」とかいいんじゃねーかな。
馬の頭にオレが乗っかってるだけで十分ほっこり動画じゃね?
もしくは、オレと師匠の修行シーンとかな。
「ウチの動物たちとトラのふれあい動画とかいいんでないの?」
「手選別ほどインパクトはない気がする」
「そう? インパクトもだけど、和み系もいいんじゃない?」
「ふむ。そういう考えもあるか。タグ付けすれば続編っぽいかな」
せっかく農家なんだからそういう系統に走る方がいいよな。
「そう思うと、仔牛の蘇生猫パンチを録画しておかなかったのが悔やまれるぜい」
「そんな余裕無かったってば・・・」
なに、任しとけって。
撮影準備だけ忘れないでいてくれれば、これからまだまだいけるって。
オレ様の魅力に国中がメロメロだぜ!
お読みいただきありがとうございます。
良ければ、評価や勝手ランキングなどポチッとしていただければ幸いです。




