第1話 温かいミルクみたいだ
序盤は状況説明回が長くなってしまいますね・・・。
<第1話>
やあ、オレの名前はANDREW!
アンドリューだ!
しかし、一体どうしたってんだ、オレは・・・。
何だか寒いぞ?
それに目もよく見えないし、体も自由に動かないみたいだ。
どうしたんだ。
もしかして転移酔いか?
そんなことを考えていたオレの頭上に巨大な人影。
バカな!
オレだって身長は180以上あるんだ。オレの頭上に影なんてありえねーだろ!?
まさか巨人族か!
「うそっ!? 今時子猫捨てる人なんているんだ!!」
巨人にしては随分と可愛い声だな・・・じゃなくて!
待てっ、オレなんぞ喰っても美味くねぇぞ!
ちっ、上手く声が出ねえ。
仕方ねぇ!!
巨人族なら死なねえだろ。もし死んだら生き返らせてやるよ。
特大の雷撃魔法を喰らえ!!
バチィッ!
稲妻が迸った・・・はず。
「痛っ! 静電気かしら。春よねぇ。」
あれ、なんで効いてねぇんだ!?
まて、なんだこれ、力が抜ける・・・。
意識が・・・。
こりゃあヤバいかも・・・。
そこでオレの意識は途切れた。
伝説の魔術師と呼ばれたこのオレが、こんな死に方なんて、ざまぁねぇな・・・。
次に目が覚めたのは、暖かで四角い狭い空間だった。
「知らない天井だ・・・ってか、周囲が壁に囲まれてる。まさか閉じ込められてんのか!?」
オレは体を起こすと思わず叫んでしまった。
「お、目ぇ覚ましたべ。」
「ホント! 良かったぁ!」
聞こえてくるそれなりに年喰った男の声と若い女の声。
うーむ、何を喋ってるかよく分からんな・・・。
この世界の言語でオレが知らないものはないはずなんだが・・・。
まぁいい、とりあえず【翻訳】で大丈夫だろ。
急激に体の力が抜けていく感覚。
これはついさっきも味わった感覚に似てるな。今度は意識を失うほどじゃないが。
MP消費するときにこんな感覚を味わうのは、初めて魔法の修行を始めた時以来か?
「大丈夫、子猫ちゃん。丸一日近く目ぇ覚まさなかったのよ?」
む、この女の声は結構可愛いじゃないか。
オレに向かって子猫ちゃんとはいい度胸だぜ。
むしろお前の方が子猫ちゃんだな!!
「よしよし、今ミルク持ってくるからね~。今朝絞りたてだけど、ちゃんと沸かし殺菌してあるからね~♪」
ミルクだと?
絞りたて?
そんなもんより酒持ってこい、酒!
じゃなかったらお前のミルクでもいいぜ・・・なんてな!!
「は~い、どうぞ。た~んとお飲み♪」
オレの目の前に置かれた皿には冗談抜きでミルクが。
っていうか、なんでオレの目線こんなに低いんだ?
その時、オレの腹がぐぅっと鳴った。確かに腹は減ってるけど。
とりあえず皿に手を伸ばす。
え、オレの手、なんか変じゃね?
何で毛が生えてんの?
ちょっと待て?
比喩とかジョークじゃなくて・・・
「オレ、マジで猫になっちまったのかあああああああああっ!?」
オレの絶叫は、「にゃああああああっ!?」っとしか聞こえなかったようだ。
アンドリュー君のモデル、もう分かりましたよね?w
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