第15話 これがホントの「猫の手も借りたい」?
書き出しを、某ヒーロー風にしてみました。
が、突っ込みは無しの方向でお願いしますw
<第15話>
やあ、オレの名前はANDREW!
暑い夏にはビールで乾杯の方、アンドリューです!
ま、ビールは一年中美味いんだけどな!
いやあ、今日もいい天気だ。
夕べも師匠との稽古だったから朝日が目に眩しいぜ。
「トラ~、いつまで寝てるの。起きなさい!」
「うにゃ~」
ソラの声に怒り成分が混じっている。
猫に何を期待をしてるんだ、アイツは・・・。
ま、さすがに午前9時を回るほど寝てりゃあ、流石に怒るか。
「お、やってるやってる」
窓枠に飛び乗ると、ポテトハーベスタが元気に走り回っているのが小さく見える。
ジャガイモを収穫しているのだ。
アレをゴーレムだと思っていた頃が懐かしいぜ。
「たまの日曜日なんだからさっさとしてよね!」
「ソラ~、子猫相手になに独り言いってんだべ」
「お母ちゃん! いや、なんだかクセみたいなもんでさ・・・」
オレがあまりにもお利口さんなもんだから、ソラはオレによく話しかけてくる。
もちろんオレは人の言葉が分かるのでそれはそれでありがたいんだけどな。
「ソラもヒマなんだったらジャガイモの手選別手伝え~」
「え~。せっかく学校休みなのに~」
「農家の娘に休みなんてあるわけないべさ」
「それは家によると思うんだけどな~」
ぶつくさ言いながらもゴム手袋をはめて倉庫へ向かうソラ。
なんだかんだいっても、ソラは偉いんだよなぁ。
どれ、オレも手伝ってやるか。
ベルトコンベアの上を流れてくるジャガイモを、サイズと重さで選別していくだけの簡単なお仕事です!
「なんだぁ、トラも手伝ってくれるんか?」
「うにゃっ!」
「はは、傷んでるヤツはそっちのコンテナに落としといてな~」
任せろ!
鑑定スキル発動!
これでダメイモをばっちりキャッチだぜ!
ダメなイモを猫パンチ(筋力・敏捷アップ済み)でコンテナに叩き込む。
端から見たらジャガイモを転がして遊んでいるだけに見えるかも知れないが、オレの仕事はプロフェッショナルだぜ!
「ね~、お母ちゃん」
「なんだべ?」
「トラの選別速度が尋常じゃないんだけど・・・」
「丸くてよく転がるからいい遊びになってるんだべさ」
「いや、だってさ・・・」
ソラの見つめるコンテナの中には、傷んだ芋がどんどんたまっていく。
もちろん、傷んでない芋は一個も入ってないはずだ。
ほんの小さな痛みでも、周りのジャガイモを巻き込んでダメにしていくから、細心の注意を払って選別しなくちゃいけないんだぜ!
お母ちゃんがそう言ってたからな!
「うーん、ソラの言う通り、トラは人の言葉が分かってるんかねえ・・・」
ソラに釣られてコンテナに目をやったお母ちゃんがそう呟いた。
ふふふ。
プロフェッショナルだろ?
「そうだ!」
ソラがスマホを取り出す。
これも初めて見た時は「何てスゲえ魔道具を持ってるんだ!」って思ったもんだ。
元の世界じゃ、どんな王様だってこんな魔道具は持ってなかったからなぁ。
「よーし、トラ。トラの仕事ぶりを私に見せてご覧なさい!」
そう言ってソラは画面にタッチした。
多分動画モードにしてるんだろう。
オレの勇姿を動画に収めようってんだな?
「にゃにゃっ!」
期待されちゃあ応えないわけにはいかないな。
プロの仕事ってヤツを見せてやるぜ!
おらおらおらおら!!
「あら~、ホントに凄いわ~。裏側まで見えてるんかねえ」
「信じられない・・・」
これがホントの「猫の手を借りる」ってやつだな!
あれ、「猫の手も借りたい」だったか?
まぁ、どっちでもいいか。
誰かの役に立つってのはいいことだぜ!
お読みいただきありがとうございます。
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