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第12話 これが噂のツンデレってやつか!?

アンドリュー君が、午前7時をお知らせします。

<第12話>


 やあ、オレの名前はANDREW!

 アンドリューだぜ!!


 前の話で助けた仔牛もすくすく育っている。

 え、メタな発言はやめろって?


 幸いにも雌だったので、即、肉送りは避けられたようだ。

 強く生きろよ、せっかくオレが助けてやったんだからな!


 ちなみに、敵を倒さなくても、回復したり、病気を治したり、補助魔法を掛けたりしても経験値は入るんだぜ。

 敵を倒すのに比べれば微々たるもんだけどな。


 さて、暦はすでに八月だ。

 八月も死ぬほど暑い。

 今も朝だというのにすでに暑い。


 秋蒔き小麦の収穫も無事終わったし、見回りの箇所が減ったな。

 次は芋だな。

 この世界の芋はホント美味い。元の世界の芋が石ころに思えるくらいだ。

 ぜひとも持って帰りたい逸品だな!!


「トラ~」

「にゃ?」


 ソラが呼ぶので、寄っていってみる。


「暑いし、今日は昼に猫カフェ行こうか~」

「うにゃ」


 猫カフェか。

 ペット同伴OKの喫茶店なんて珍しいよな!

 あ、でも、元の世界でも使い魔OKの酒場もあったから似たようなもんか?


 車で走ること30分。

 帯広市内にある猫カフェにオレたちはやってきた。


「いらっしゃいませ・・・あら、ソラちゃん」

「こんにちは~。今日も暑いですね~」

「にゃ~お」


 前にも連れてこられたことがあるが、店長とは顔見知りのようだ。


「何飲む?」

「クリームソーダ下さい。トラは?」

「うにゃ!」


 メニューのビールと書かれたところを迷わずぺしぺしする。


「ビールはダメ~」

「トラくん、本気で人の言葉と文字分かってない?」

「うーん、少なくともビールって単語は覚えてる気がします」


 覚えてるよ!!

 だって、こんな暑い日に冷えたビールとか最高だろ、お前ら!?


「水でいいかしらね」

「にゃにゃにゃっ!!」

「ジュースだと糖分捕りすぎになっちゃうしねぇ・・・」


 大丈夫だって!!

 いざとなったら魔法でどうにかするからさ!!


「アイスミルクでお願いします」

「了解~」

「うにゃあ・・・」


 オレ様がっくり・・・。

 まぁ、水よりマシか。

 牛乳美味いしな!


「トラ、遊んできていいよ?」

「うにゃん」


 何が悲しくてこんな暑い日に猫用ジャングルジム的な物で運動しなきゃなんねぇんだよ・・・。

 せっかくエアコン効いてるんだから、のんびりさせてもらうぜ。

 誰も居ない遊び場で、ごろりと寝転がり、冷たいミルクを飲む。

 ま、これはこれで贅沢か・・・。


 からーんとカウベルが鳴り、新しい客が来たことを告げる。


「いらっしゃいませ~。あら、みどりちゃん」

「こんにちは。アイスコーヒーとアイスミルク1つずつお願いします」

「こんにちは、みどりちゃん」

「あら、ソラちゃん。来てたのね」


 どうやら知り合いのようだ。

 年格好も似た感じだし、専門学校とか高校の同級生とかそんな感じだろうか。


 みどりと呼ばれた女の腕には、立派な毛並みのロシアンブルー。

 う、絶対雌猫だな、あれ。


「ほら、浅黄(あさぎ)。ソラちゃんとこの猫ちゃんと遊んでおいで。浅黄のがちょっとお姉さんなんだから」


 うえ、勘弁してくれよ。

 お前んとこの猫だって嫌そうな面してるじゃねえかよ・・・。


 そのロシアンブルーの雌は、すたすたとわざとらしく歩いてくると、オレの隣にお淑やかに寝そべる。

 ち、沈黙が気まずいぜ・・・。


「あ、あなた、お名前は?(なかなかワイルドで格好いいじゃありませんか!)」

「オレか? オレはあんどりゅ・・・じゃなくって、トラ吉だ。トラでいいぜ」

「トラ吉・・・。面白いお名前ね(トラ・・・。名は体を表すですわね!)」

「んだよ、喧嘩売ってんなら逃げるぜ、オレは」


 こっちにいい感情を向けてこない相手のそばにいても苦痛なだけだからなぁ。


「べ、別に喧嘩なんか売ってませんわ! 私、身元も確かな高貴な猫(血統書付き)ですの。喧嘩だなんて野蛮なことは致しませんわ」

「そっか。そんなら別にいいや。で、お前、名前は?」

「お、お前!? 初対面でそんな・・・ごにょごにょ」

「どうした? 暑さで参ってるのか?」

「ち、ちがいますわ!! 私、浅黄と申しますの。浅黄と呼んでいただいて結構ですわ(むしろ呼んで!)」

「おう。浅黄だな。ま、そんなに会うこともねえだろうけどさ」

「そんなことありませんわ! みどり様とソラ様は小学校の頃からのご友人ですもの。これからも機会はありますわ、きっと」


 ふーん。みどりって女とソラは友だちなのか。


 友だちってのはいいもんだよな。

 そういや、ロバートのヤツ元気かな。

 飲み友だちのオレが消えちまって、誰と飲みに行くんだろ。王様だし、気軽に飲みに誘うヤツなんかいねえだろうになぁ。

 マーフィーでも捕まえてるかね。


「そっか。お前の飼い主とソラは友だちなのか」

「ですからお前だなどと・・・つ、番でもありませんのに・・・ごにょごにょ(そういうのはキチンと番ってから・・・)」

「どした、さっきから。挙動不審だぞ?」

「そ、そ、そんなことありませんわっ!!」

「暑いからな。体調には気をつけろよ。アイスミルク飲むか?」

「!!(何て大胆なアプローチ! ワイルドですわ!)」


 なんかさっきから面白い反応するな、こいつ。

 血統書付きってことは、あっちの世界でいえば貴族のお嬢様ってとこか。

 からかうと面白えのはどこの貴族様も一緒だなw


「で、では、遠慮なく・・・(し、心臓が・・・)」

「いいのか、雑種のオレと同じメニューで」

「も、もちろんですわっ! 高貴な私はそのような些事など!」

「ふーん。じゃあ、召し上がって下さいよ、お嬢様」

「おっ、お嬢・・・!?」


 わはは!

 面白え、こいつ!w


 なんてオレが浅黄をからかっている間に、ソラとみどりは楽しそうにおしゃべりしてたようだ。

 楽しいのはいいことだよな、うん。


「ねぇねぇ、うちの浅黄とトラちゃん、いい雰囲気じゃない?」

「そう? なんかトラが悪そうな顔してるんだけど」

「トラ縞だからそう見えるだけじゃない?」

「うーん、そうかなぁ・・・。でも、うちのトラ、雑種よ?」

「別に私は気にしないけど。お父ちゃんがカッコつけて買ってきただけだし?」

「まぁ、みどりちゃんがそういうなら・・・」


 ん?

 まてまて、オレにはそんなつもりは全然ないんだけどな?

 もしかして、オレ、ちょっとまずい状況?


 確かに今は猫だけど、猫のまま子作りしたくはねえぞ!?

 よし、逃げよう。そうしよう。


「うにゃ~」


 ソラにすり寄っていく。


「あら、トラ、浅黄ちゃんと仲良くしてたんじゃないの?」

「にゃにゃ~」

「ごめんね、みどりちゃん。トラ、帰りたいみたい」

「あらそう。じゃあね、トラちゃん。また浅黄のお相手してあげてね?」

「にゃ~」

「じゃあね、ソラ」

「じゃあね、みどりちゃん。またね。今度は家にも来てよ」

「うん。気の向いたときに連絡するよ~」


 よし、とりあえずこの場は切り抜けたか!?


「ま、また今度遊んであげてもよくってよ!?」


 浅黄がつんとそっぽ向きながらオレに言ってくる。

 やべえ、これが噂のツンデレってヤツか!?


「ま、また、今度な?」


 三十六計逃げるにしかずってヤツだな!!

お読みいただきありがとうございます。

よければ評価などお願いいたします。

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