第11話 ついにオレの力を見せる時が来たようだな
予約投稿にて投下。無事に出来てますかね?
予想外に多くの皆様に読んでいただいているようでとても嬉しいです。
今後のアンドリュー君も宜しくお願いします(`・ω・´)キリッ
<第11話>
やあ、オレの名前はANDREW!
アンドリューだ!
二度目の予防接種も耐えきった。
去勢される危険からも逃れた。
これでしばらくは、オレの生活も平穏無事なものになる・・・と信じよう。
さて、季節はもう夏。
オレが住んでいる北海道十勝の夏は暑い。
湿度が低いので、暑いことは暑いが我慢できる・・・そう思っていた時期がオレにもありました。
「暑いんじゃああああああっ!!」
7月末。
焼け付くような日差しと乾いた熱風。
畑の見回りも楽じゃねぇぜ。
「ちっ、早くエアコンの効いた部屋に帰って、おやっさんと一緒にビールで一杯と行きたいところだねぇ・・・」
オレの目の前の畑には、小麦が金色の穂を揺らしている。
もうすぐ刈り入れの時期だしな。
最後の追い込みで、植物の生長を促進する魔法を施しておく。
今年の収穫は完璧だな!!
オレの目の黒いうちは収穫量減なんぞ許さんぜよ!!
「にゃうあ~」
家に帰り着くと、居間に備え付けられたオレ様専用のひんやりシートの上にごろんと寝っ転がる。
「いやいや、今日はとみに暑いな~」
「んだなぁ」
ちょうど昼時だったので、おやっさんもお袋さんも偶然家にいた。
冷たい麦茶と軽い昼飯のようだ。
「いやいや、昼間っからビールで一杯と行きたいとこだべさ」
「にゃあにゃあ」
「なぁ。トラもそう思うよな」
「ダメだよ、父ちゃん。夜までお預けだ」
ま、そりゃそうだよな。
ちょうどそのとき、大地が家に駆け込んできた。
「親父、お袋! 花子が産気づいた!!」
「ホントか!」
花子ってのは若いホルスタインの雌で、出産に備えて乾乳期に入っていたヤツだな。
「こんな昼間にゆるくないわ~」
「そんなこと言ってる場合じゃないべさ、親父」
「それもそうだなあ」
みんなで牛舎に。何となくオレもついていく。
「いかんな、逆子だ」
「ホントかい?」
おやっさんが状態を確認してそういった。
逆子か・・・。
人間の子どもでも逆子はとても危険だ。
こいつは最悪の事態も想定しなくちゃダメだな。
「スピード勝負だな。大地、そのへんの連中呼んでこいや」
「分かった」
何人かの連中が駆けつけてきてくれた。
「よし、いきみに合わせて一気に引っ張るからな」
「分かった」
「いくぞ・・・せーのっ!!」
仔牛の足にロープを結びつけて一気に引っ張る。
花子もきつそうだ。
どれ、少しだけ助けてやるか。
「にゃあ~(【筋力増大】)」
おやっさんに筋力を一時的に増強する魔法をかけてやる。
もともとおやっさんはいい体してるけどな!
「せーのっ!」
よし、仔牛が出てきた!
「親父、息してねえ!」
「ほんとか! 人工呼吸!」
頑張れおやっさん!!
その間に仔牛のステータスをチェックする。
死んじゃいないが、ステータスが【仮死状態】だ。
「自発呼吸こねえ!」
「もっかいだ!」
ちっ、おやっさんたちでも無理か?
しょうがねえなぁ。花子も仔牛が死んだら可哀想だしな。
「うにゃっ!!」
トテトテとぐったりした仔牛に近づいていくと、顔に猫パンチ!!
と同時に、意識を覚醒させる魔法【覚醒】を掛ける。
「にゃにゃっ!!」
さらにもう一発猫パンチ!!
そのついでに治癒魔法を掛ける。
「ぶふうっ!!」
仔牛が息を吹き返した。
ふう。死んでなけりゃ低級の魔法でもどうにかなるんだよな。
死んでたらどうしようもないけど・・・。
「おおっ!! すげえじゃん、トラ!!」
「トラの猫パンチの方が効くんか~」
みんなが笑っている。
オレも気分がいい。
敵を殺すだけが魔法じゃねぇ。
大魔術師はこんなこともできるってことさ。
夜、ご褒美にビールをもらった。
ツマミもめちゃ豪華だった。
肉も美味いよな!!
今日はいいことしたぜ。
お読みいただきありがとうございます。
さすがにまだ死者蘇生は不可能なので・・・。




