第10話 必死の戦い
おおお、気がついたら大変なことに・・・。
皆さん、本当にありがとうございます!!
<第10話>
やあ、オレの名前はANDREW!
アンドリューだ!
地道な警邏の甲斐あって、オレのレベルも12まで上がった。
ようやくHPもMPも三桁に乗り、能力値は軒並み12を超えた。
ちなみに、HP/MPはレベルアップ毎に10~20の間でランダムに上昇するし、能力値は1~3の間でランダムに上昇する。
恐ろしいのは、各能力値に関しては「下がる」可能性があることだ。
HP/MPに関しては下がることはない。
だが、能力値は「下がる」のだ。
特に、年を取って老化していくと、下がる確率が上がる。
要するに老いるのだ。
そして、能力値が下がり続け、0になったとき。
そいつは「消失」するのだ。
死んでも、魔法やアイテムで復活することはできる。
肉体がなくなり、魂だけになってさえも、肉体から作り直せば復活できる。
だが、「消失」した者は、二度と復活しない。
完全なる死。
カ○ト寺院に運んだって無理なんだ。
ま、オレはまだまだ若いし、運の値が超高いから、まず下がることはないけどな!
とにかくレベルアップだけは頑張ってやらないと。
上級魔法が使えるようになるまでにはあと18レベルは上げなくちゃいかん。
先は長いなぁ。
さて、オレが拾われてきてから三ヶ月経った。
要するにどういうことかというと・・・
「トラ~。病院行くわよ~」
「うにゃあ・・・・・・・・・」
2回目の予防接種の日が来てしまったのだ。
くっ、1回目の屈辱がやっと癒えてきたというのに・・・。
「寄生虫と病気は大丈夫だったんだから、お注射だけよ」
あの奇妙な薬を注入されるのか・・・。
やだなぁ・・・。
だが、仕方ない。オレも伝説の大魔術師と呼ばれた男だ。
我慢・・・するか。
車に揺られること30分。
病院に着いた。
着いちまった・・・。
「にゃああ・・・」
「どうしたのトラ。前の予防接種のこと覚えてるのかしらね。賢いから」
「うにゃあ・・・」
くっ、はっきり覚えているさ!
「清水さーん、トラちゃーん。診察室へどうぞ-」
「はーい」
診察室に入ると、オレは早速「斉藤さん」に連れていかれた。
うう、注射だ・・・。
「はい、じゃあ、お注射しますよ-」
「にゃあ・・・」
諦めて我慢するんだ!
オレとて大魔術師と呼ばれた男!!
しかし、痛いものは痛いのだ。
「ところで、清水さん。去勢はどうしますか?」
「えーっと・・・」
「にゃ?」
去勢・・・だと!!
いくら猫の姿とはいえ、それは御免被る!!
「どうする、トラ?」
「にゃにゃにゃにゃにゃっ!!!」
本気でイヤだ!
伝われ、オレの心!!
ついでに暴れておこう。
「うーん、何だかもの凄く嫌がってるんですよね~」
「トラ君は、ホントに人間の言葉が分かってるみたいな反応だよね」
「にゃっ!」
分かってるからな!!
「うーん、もう少し様子見てもいいですか。よその猫ちゃんに悪さするようなら考えますから」
「まぁ、まだ三ヶ月だからね。ちょっと早いでしょ」
「なー♪」
いいぞ、ソラ!
それでこそ我が飼い主よ!!
スリスリしちゃる!!!
「あら、トラったら。喜んでるのね」
ふう。予防接種だけで済んだぜ!
「じゃ、帰ろっか、トラ」
「にゃん」
そうしてオレの二回目の予防接種は終わった。
良かった、○○ちょん切られなくて・・・。
side:病院
清水さんとトラが帰った後。
「ねぇ、先生」
「なんだい、斉藤さん?」
「トラちゃん、本気で人間の言葉を理解してると思うんですけど、どうですか?」
「うーん、そう見えるだけかも知れないからねぇ・・・」
そう言って院長先生はあごに手をやる。
「でもね、斉藤さん」
「はい?」
「理解してる、そう思った方がロマンチックじゃないかい?」
そういって、悪戯っぽい笑みを浮かべて院長先生はウィンクした。
「・・・ですね♪」
斉藤さんはとても可愛い笑みを浮かべた。
お読みいただきありがとうございます。
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少しでもほっこりできるとよいのですが(≧∇≦)キャー♪




