第9話 魔法使いの素質って
第9話、アップします。
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<第9話>
やあ、オレの名前はANDREW!
アンドリューだ!
あれからさらに2週間が経過した。
その間、オレは清水家の畑のガーディアンとして、自主的に自分のレベルアップを兼ねた巡回と警備を欠かさず行っていた。
この世界と国について知れば知るほど、
「平和な国なんだなぁ・・・」
と思わされた。
清水家は、裕福ではあるが、別に貴族でも地方領主でもないということはすでに理解している。
広大な土地と家畜を所有してはいるが、それは農家だかららしい。また、清水の家には親戚が結構いて、上手く助け合いながら農業を営んでいるそうだ。
農業法人(元の世界で言えばギルドみたいなもんか?)を作ろうなんて話もしていたが、そのへんはさすがにオレには関係のない話だ。
自主的な訓練と巡回警備のおかげで、オレのレベルも順調に上がっている。
今では最大HP/MPも増えたし、能力値も上がって中級魔法のスキルも使用可能になった。覚えていたスキルが条件解放で使えるようになっていくのはレベルアップの楽しみだな。
昔を思い出すぜ!
野鳥を追い払い、小動物を撃退する。
中にはオレの忠告を無視したり、警告を無視して逃走するようなヤツもいるが、オレはそういうヤツらには全く容赦しない。
別に「ヒャッハー! 皆殺しだぜ!」なんて思ってる訳じゃないけど、命を奪うのがどうしてもいけないことだ、とも思わない。
警告しても従わないのであれば、後は戦うしかない。
結果、相手かオレかが命を落とすことになっても、それは闘争の結果なのだから仕方ないと受け入れるしかないだろう?
他にも、畑の作物の状態をチェックして、害虫がつきそうなら駆除するし、植物特有の病気にかかりそうなら魔法で治療する。
これだけでも相当収穫量に差が出るはずだぜ!
オレ、いい仕事してるよな!
なんせ恩返ししないとな、ソラには。
ひいては清水家にも。
「うーん、今年はずいぶん病気と虫が少ないなぁ」
「なにさ、父ちゃん。少ないんだからいいべさ」
「そうなんだけどよ」
「毎年こうならむしろ助かるんだけどもなぁ」
「んだなぁ。薬の量も少なくていいしな」
夜に、そう言ってビールを飲みながら親父さんがお袋さんと話してるのを聞いて、ちょっとうれしくなっちまった。
しかし、このビールってのは旨いな!!
元の世界にも麦酒ってのはあったけど、こんな風に飲み口が軽くてキンキンに冷えた酒なんてなかったからな!!
「おお、トラ。いい飲みっぷりだな! うちの大地と大空も見習ってほしいもんだべ!」
「にゃあ~」
オレは今、親父さんのご相伴にあずかっている。
いやあ、旨い。
ついでにツマミにくれる魚がまた旨い。
なんだっけ、こまい?
この国の食いもんはホント旨いわ~。
「あー!! 父さん、またトラにビールなんか飲ませて!!」
「トラも好きなんだからいいじゃねえか。なぁ、トラ?」
「にゃにゃん~」
そうだそうだ!
オレはもっと飲みたいぞ~!
「子猫にビールとか悪影響でしょ!」
「人間と同じでそれぞれあるべさ。個性だ、個性!」
ガハハと笑う親父さん。
全くその通りだ、頑張れ親父さん!
なに、いざとなったら魔法で治すから大丈夫だぜ!!
「大地と大空が全然飲まねぇから悪ぃんだべさ」
「美味しくないもん、しょうがないでしょ。せめてビールやめてくれたらいいのに」
「仕事上がりに冷えたビールがいいんだべさ。分かってねえなぁ」
「まだ学生ですよ~だ。っていうか、お兄ちゃんは?」
「まーた部屋でなんかやってるわ。農作業サボるわけじゃないからだけど、もう少し経営関係のこともやってくれんかねぇ・・・」
お袋さんがぼやいてる。
さっきから話に出てくる「大地」ってのはソラの兄ちゃんだ。
ソラよりも十歳年上で、29歳つったかな。
「またアニメでも見てるんでしょ。29だから、魔法使い目前だね」
「魔法使い? なんじゃそりゃ」
「あはは。そういう笑い話よ、気にしないで」
ソラはそういって笑うが、今のは聞き捨てならないな!
魔法使いだと。
大地は魔術師になるのか?
幼い頃から素質に磨きをかけて一流になるのが魔術師だと思っていたが、この国では魔法の素質は晩年にならねぇと開花しないって事なのか?
むむ、新たに情報収集しなくちゃいけねぇことが出てきちまった。
オレの他にも魔法を使うヤツがいるかもしれねえってことは、正体がバレちまうかもしれねえって事だからな・・・。
用心しないとだぜ!!
お読みいただきありがとうございます。
良ければ評価等お願いいたします。
アンドリュー君には色々勘違いしたままでいて欲しい気もするのですがw




