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乱れしこの世で夢見たり  作者: 泰兵衛
第1章 ここは戦国!!
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第3話 明智十兵衛光秀

上様の家臣になってから二ヶ月が過ぎた。

まあ、幕府には兵がいないから、戦もない。幕府なのにな…

だから、この間におれは馬に乗れないから、馬術の訓練をうけたり、馬にのれないといったら上様に笑われたけどな。あと佑光に軍学を教えてもらったりした。宣言通り、佑光の教えは厳しかった。すぐに鉄拳がとんでくる。んで、それにおれがやり返すということが頻繁におこなわれ、あまりにもやりすぎて、管令の細川晴元様の部屋に乱入、部屋をぼろぼろにし、細川様にこっぴどく叱られたこともあった。

ま、でも鉄拳が飛ばないときは真面目にやって、おかげで軍学のことは少しわかった。


今は部屋でごろごろしている。小姓だが上様は自分のことは自分でやるから、正直おれの仕事は、ほとんどない。


「太郎左。上様がお召しだ。」


「一宮殿。上様が?」



おれの部屋に、幕府弓衆頭である一宮随波斎殿がやってきた。


「ああ。なんでも至急殿中にくるようにとのお達しじゃ。」


おれはそれを聞くと急いで殿中に向かった。


走って向かっていると、佑光に会った。佑光も走っていた。


「佑光。なんでお前、走っているんだ?」


「はっ。上様の至急のお召しだからな。」


「なにっ!佑光もか」


おれは正直驚いた。佑光も上様に呼ばれていたとは。


「ということは、信勝。お主もか?」


「ああ。じゃあ」


おれがこういうと、佑光も頷いた。


「競争だ!!」


おれたちはスピードをあげた。だが散々だった。


室町幕府の足利館は、大きいがぼろい。すぐに床がぬけ、佑光が、それに落ちた。


「へっ!運が悪いな!お先にいくぜ!じゃあな!」


おれは手を振りながらだっといく。いや、いこうとした。佑光のバカがおれの足を持った。


「ハハハッ。お主だけ先にいかせるか!」


「ひっぱんな!落ちる落ちる落ちる!うわあー」


んで、落ちて、どうすんだって話しになってどっちかを踏み台にしてでて、そのでたほうがもう一人を助けるっていう話しになったが、ここでも


「佑光!お前が踏み台になれ!お前にはふさわしい!」


「はあ?この沼田様が踏み台などありえんわあ!信勝!貴様こそ踏み台となれ!」


「うるせえー!!」


てな風に争っていたら、突然


「太郎左。佑光。なにをしている?」


って声がしたから、見上げると、上様がいた。


「そんなとこにいたのか。まあかまわん。主命を言う。」


え!?引き上げるとかじゃなくて!?

おれはびっくりした。


「この戦国の世は、この足利幕府が鎮めるべきだ。だがこの時勢、すっかりと勢いを失った。だから、お主らふたりは旅に出て、優秀なる人材を探し、幕臣としてまいれ!よいな!」


「は、ははあー」


おれたちは声がそろっていた。


「あのー?上様?」


「なんじゃ?太郎左。」


「ひきあげてくれませんか?」


おれたちは上様にひきあげてくもらうといった最も恥ずかしい方法でここから脱出したのだ。悲しすぎる…



「おい。佑光。近江国友にいかないか?」


「国友?なぜ?」


「火縄銃がたくさんあるからな」


おれは後の歴史を知っている。だから、火縄銃の大事さも知っている。


「これから火縄銃は大事だと思うんだ。だから生産地の国友にいったら、火縄銃がうまい人がいると思うんだ。」


佑光は反対すると思ったが


「いいと思うぞ。では参るか」


と、あっさりと賛成。そうしておれたちは国友に向かった。



国友に入ったとき、酒場に人が溢れていて、しかもその溢れる人々の目線はすべて奥のひとりに集まっていた。


「なにかあったんでござるか?」


佑光が溢れている一人の女に聞いた。すると女が


「ああ、あのお方!さっき山賊が襲ってきたの!

そしたら、あのお方が火縄銃で、山賊の親玉を一発で殺して!そして山賊は逃げていったの!いや、かっこいいわあー」


女は、手を前で組み、目をきらきらさしている。


おれは、その火縄銃名人をみるために、顔を覗かせた。


おれは、ぎょっとした。なぜなら、異様だったんだ。男の出で立ちが。


まず、髷を結っていない。後ろ髪が長く、肩までかかっている。さらに前髪は長く、髪は左目を完全に多い、唯一見える右目は、黒目が大きい。さらに、口も大きい。しかし、上等の着物を着ている。さらに、このような出で立ちが異様だが、いちいち村人の酒の勧めを


「いや、拙者、下戸にござる。申し訳ありませぬが、酒は勘弁を」


と、礼儀正しいのだ。


それは佑光も感じてるらしく、なにかぼそぼそ言っている。


「まあ、いこうぜ。佑光」


「お、おう」


おれたちは人波をかきわけていった。


「申し訳ござらぬ。拙者、足利幕臣、沼田三朗兵衛、横にいるのは、山田太郎左衛門と申すものでござります。」


こういう口上は佑光のほうがうまい。


「ほう。幕臣。」


その男は大きな口をゆっくりと開け、にやりとした。


「幕臣の方が浪人の拙者になにようで?」


「 は。上様の主命で、優秀なる方を幕臣に推挙せよとのご命令。貴方は優れたお方とお見受けする。上様にお仕えいたしませぬか?」


「願ってもないいい話にございます。」


「おお!では!」


「いや、お待ちを」


その男は、手で制止した。


「あなたがたに我が火縄銃の腕前を披露したい。そのほうがよろしいのではありませぬか?」


「これは、ご配慮を。お願い致しまする。」


男はゆっくりと歩きだした。


その男が、おれたち二人の前にいったとき、おれは、名前を知らぬことを思い出した。


「失礼ですが、お名前は?」


「ああ、申し上げることを忘れておりました。」


その男は、体は前を向いたまま、首だけ後ろをむけて、肩越しに言った。


「明智十兵衛光秀」


この光秀像は、ルイスフロイスの日本史を参考にしました!


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