クローン
―――とある路地裏―――
「全く、役たたずが。」
その女の人は下に転がる女の人を蹴った。
蹴られている女の人は血だらけで息をしていない。そして腕がもげている。
「なんで私なのに惨敗なワケ?ありえないわ。あんたの技術のせい?」
尚もコツ、コツとリズム良く蹴り続けている女の人は、隣に座って何か手を動かしている男の人に話しかけた。
「は?俺の技術舐めンな?大体、クローン作るだけでも結構力使うのにこんだけ作んの疲れんだっての。」
其の手の先には女の首が見えた。最も、首だけだが。
「まあ、8体分の給料は渡すから、ね?しっかり私を作ってね?こっちだって楽してないのよ?身体検査で何度地獄見たか~。」
「アレは痛いよな~。でも腹ぱっくり開けないと中が違う物になっちゃうからな。」
「まぁ、戦えればいいのよ。でなんで私のクローンは短気で直ぐ殺す殺すぅっていうの?あと、喋り方も違うわよ」
「俺得だ。」
男の人は女の人に手でグッとサインした。
「変態ね。」
女の人が外に出てった後、男の人はとても小さな声でぼそっと呟いた。
「興奮気味になると、お前はああなるんだよーとは口が裂けても言えねえや(笑)」
ーーー
「さてと!!Sクラスの依頼成功おめでとう!!」
「いやぁ・・・・死ぬかと思いました。」
俺はカズマよりも一足先にそう言った。
「まあ下手すりゃ死ぬよね(笑)」
「冗談に聞こえないッスよ先輩・・・・」
カズマが少し怯えたような口振りでしゃべった。
すると横からイサミが話しかけてきた。
「あんどぅー。褒美の噺はいいのか?」
「あー忘れてた!」
褒美と聞いて少しテンションのアガる俺といつもの状態のカズマ。
「まず報酬金がねぇーSだったから15,000円ー。んで・・・・なんだこれ(笑)」
袋から取り出されたのはストラップ二つ。
「おーよかったな君たち、あのおじさんがご好意でお揃いストラップをきみたちにくれたみたいだぜ。」
「どんなやつですか?」
あんどぅーに「ほいー」と渡されたのは・・・
『いらないですッ!!』
くっつけるとハート型になるストラップだった。
それを見たあんどぅーは一人爆笑していた。