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最1話  古門家の日常と深淵からの逃亡者

お久しぶりです・・・・・・・といってもここで始めたのぞかれた方もいるかも知れませんが。

あたらしいしシリーズを始めさせていただきます。


なにしろ駄文ですので、読みづらい部分が多々あると思いますが。どうかご容赦ください。


なにか、気になる点がありましたら、遠慮せずにコメントしてください。



「というように、わしらの一族は古くから、おのれの信念に従い戦い続けた名誉ある一族ある・・・・って聞いておるのか護!」護り屋一族『古門家』の首領、古門正造は目の前で、座りながら眠りかけている孫をしかりつけた。


「だって、じいちゃん。この話は幼稚園の頃から聞かされているから、いい加減覚えてるって・・・・それに過去の一族がどうであり今の一族にはあまり関係ないし・・・・・これからどうするかとか考えた方が・・・・・ひっ!」

語尾がしゃくりみたいになっているのは正造がブチ切れ寸前になっていたからだ。


「ほうほう・・・・いつからお前はそんな偉そうな口を叩くようになったかのう。そういう偉そうな口を叩くガキはしっかりお仕置きせないかんのお・・・・」

ぶち殺し確定とばかりに、顔を真っ赤に染める正造に護はとっさに正座して、どけざ態勢に突入する。


「ごめんなさい!十分反省して2度と同じことを繰り返しませんから、頼むから僕に祖父ちゃんの『攻撃術』を向けないで!ちょっと前にも父さんにブッ飛ばされて死にかけたのに・・・・・」

「それは貴様の怠慢が原因だろうが!前日にさんざん言われとったのに、よりにもよって次の日の儀式で寝坊しおって・・・・・」「いや、普通寝坊したからって風の氏神の力を使って、50メートルも吹っ飛ばす親なんかいないって・・・・」


「また、口答えするきかの?・・・・」本気で『術』を使おうとしている正造を見てさすがにやばいと感じたのか、もうダッシュで逃走を始まる護。

「わしが逃がすとおもっとるのか!いでよ『建雷命の矢』!」正造が叫ぶと同時に空中に無数の電気を帯びた矢が出現する。


「ええええええ!ちょっとやりすぎだって祖父ちゃん!こんなのまともに喰らったら大けがどころじゃすまない・・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」庭の方に逃げていた護にむかって一斉に矢が襲い掛かり、断末魔の叫びが響き渡る。


そこから少し奥まったところにある今では、護の妹、古門美希と母親、古門静が表から聞こえてくる爆発音を聞きながら、ゆったりとお茶を飲んでいた。

「おにいちゃん、また吹っ飛ばされたんじゃない?」

「そうね・・・・・こりゃあ後で治癒の術式を使わなきゃならないわね・・・・こうしょっちゅう力を使う、バテてしまうわ。」

「仕方ないじゃない。お兄ちゃんは全くと言っていいほど『防御術式』が使えないんだから。長男のくせに。」

「もともと父さんもお爺ちゃんもスパルタだけど、私が『癒し手』だからといって遠慮なしでやりすぎじゃないかしらね。」

「でも、お兄ちゃんが今のままじゃいけないんでしょう。なにしろお兄ちゃんは・・・・」」「ええ、護には一族でまれな『神宝使い』としての素質があるからね。」


『神宝』とは護り屋の一族がはるか昔に神から与えられた宝のことで、『神宝使い』とはそれを自在に使いこなす人のことをさす。

神宝使いはごくまれな素質をもったものしか扱えないというのは、護り屋の者にとっては常識である。


「たしか、誰にも抜けなかった家の『神宝』をお兄ちゃんが軽く抜いて見せたんでしょ。」

「そうそう。それで家じゅう蜂の巣をつついたような大騒ぎになって。それ以来、父さんとお爺ちゃんによるスパルタ訓練が続いてるのよ。いまではあの子も『攻撃』に関してはかなりの力を使いこなせるようになっている。でも『防御』がね。」

「だから、事件のときには私がお兄ちゃんのサポートをしてるんだよね。」

「そうね、あなたは防御の術式に長けているからね。これからも頼むわよ。」

そんな和やかな会話が交わされているとはつゆ知らず、護は次々と放たれる雷の矢から必死に逃げ回っていた。


「ふうふうぜえぜえ・・・・・・冗談じゃないよ・・・・いくらスパルタだって言ってもあれはないだろ・・・・・まあ、お陰で逃げることは得意になったけど。」護は『建雷命の矢』で攻撃された後、なんとかその射程からのがれ家の近くの河川敷まで逃げてきていた。

「さすがに、外で不可視の術式を使わずに術ぶっ放すことはないだろうし・・・・まあ、ここまで逃げれば大丈夫だろうな。」一息ついた護は河川敷の上に座り込む。

この場所には芝生が引かれていて座るのにはもってこいなのだ、この河川敷は大きな広場になっており

『第一公園』などと呼ばれているが、実質広場である。


「この川の近くにベンチが置いてあるのは気が利いてるな。ここから景色をボーっと眺めるのが好きな僕にとっては最高のロケーションだ。」目の前に川が広がるベンチに座りながら護は家族のことを考えていた。


「祖父ちゃんは、一族最強の術者。まあ、最近は体力弱ってるから『霊器』は使ってないけど。父さんは術式の技術は普通だけどあらゆる『霊器』を使いこなすスペシャリスト。母さんは一族でもまれな強力な『癒し手』。美希はまだ半人前だけど『防御術式』に長けている。ばあちゃんは、今は実家で寝たきりだけど。あの人もすごかったな。なにしろ一族最後の『神獣使い』だったんだから。」


護は昔、実際に祖母である『古門みさえ』が神獣を呼び出すところを見たことがある。村を襲っていた強大な化け物『ヤマタノオロチ』。

日本神話に登場する、神話の中でも著名な化け物。それが復活した時、みさえは、おのれの力によって神龍『オカミノカミ』を呼び出し、その強力な水をつかさどる神龍をもって一撃でヤマタノオロチを打ち滅ぼした。


「ようするに、うちの家族はだれしもがすごい人なんだけどさ・・・・。ぼくは例外なんだよね。なにしろ『防御術式』を使えないんだから。」護り屋として一人前と認められるには『攻撃術式』と『防御術式』をバランスよく使えることが条件とされる。

だが、護の場合『攻撃術式』『霊器による攻撃』は得意。つまり特化しているのだが。

それと比較して『防御術式』が全く使えないのだ。ある程度なら『霊器による攻撃』を利用して押し返せば済むのだが、『護り屋』の敵はそう甘くない。


「だから、祖父ちゃんと父さんはスパルタ訓練してるんだけどな・・・・・

僕に『神器使い』の素質があるっていっても持たせてもらえるのはまだまだ先だろうな。」

はあとため息をつき、川を眺める護。その眼に奇怪なものが映った。


「ん?女の子?」護の座っているベンチから10メートルほどはなれた川岸に女の子がたおれている。

「やばい!まじで水難事故?119番を・・・・・えい!くそ、家を飛び出してきてるからケイタイ持ってなかった!」悪態をつきながら護は川岸に降りる階段をフルダッシュで降り、女の子のもとに向かう。


「おい!君!しっかりしろ大丈夫か?返事をしろ!」肩を揺すってみるものの反応なし。完全に意識を失っている。

「たしか、こういうときは心臓の音を確かめて・・・・っつ!」護の言葉の最後が舌打ちになってるのは『心臓音』がしなかったからだ。


「やばいやばいやばい!とりあえず誰かに助けを・・・・・ってなんでこんな日に限って河川敷に人がいないんだよ!」全く不運なことに河川敷には護以外人はいなかった。

時間がもう夕方だったこともあるかもしれないが、『心臓停止した女の子』の処置など

護1人でできるはずがない。


「くそ!ここに『癒し手』の母さんがいてくれれば。なんとかなるかもしれないのに!」

だがここから家までは近いといっても15分はかかる、それまでこの女の子が持つかわからない。

「まずい・・・・くそ、どうしたらいいんだよ!?」頭を抱える護。もう少し真面目に保健の授業聞いとけばよかったなどというくだらない考えまで現れる始末で、頭の中はあっという間ににパンク寸前になる。その時だった。


「うう・・・・・」女の子の口から声が漏れた。

「生きてる!意識が戻ったのか?!」

あわてて駆け寄る護。確かに女の子はうっすらと目を開けはじめている。

「ふう・・・良かった。でも、まさか死後硬直とかいう奴じゃないよな?」

念の為もう一度、女の子の胸に耳を当ててみる護は凍りついた。

「心臓の音がしない・・・・・・じゃあやっぱり死んでるのか?」

信じられなくて、何度も心臓音をたしかえる護。だが、何度やっても結果はおなじだ。


「くそ!動けよ・・・・動け!!」

護は無我夢中になって心臓のある部分を押した。

「苦しい・・・・・・」

突然、女の子の口から意味のある言葉が飛び出した。


「えっ・・・・・嘘だろう・・・・生き返った!?おい、大丈夫か?」

「あなたは?・・・・」

「僕の名前は古門護。君の名前は?」

「私はクリス・エバーフレイヤ。それより、あなた古門っていたよね。もしかして『護り屋』の?」「え・・・・・うん、そうだけど。なんで君が『護り屋』を知ってるの?」

護の疑問の声を無視してクリスは護の手を握った。

「お願い、助けて。私はあいつらに捕まるわけにはいかない。捕まったら2度とここに来られない。」「ちょっ・・・まってよ、あいつらってなに?!」


先ほどまでは混乱していて確かめる余裕すらなかったが、近くで改めてみてみると、なかなかの美少女だ。年のころは16歳ぐらい。金髪、碧眼なのだが身長は護と同じぐらい。体つきは女の子らしくスらっとしており出ているところは出て、引っ込むとところは引っ込んでいる。つまり女性として理想的な体つきをしている。そんな女の子に手を握られれて心臓爆発寸前

の護なのだが、クリスの目は真剣だ。


「『深き者ども』私がかつて従えていたクテュルフの歩兵たちよ。今の私は力が封じられて戦えない。ここなら、そう簡単にクテュルフの支配も及ばない。だから逃げてきたの。おねがい私を助けて!」

「クテュルフ?深き者ども?良く分からないけど、そいつらは、もしかして『人ならざる者』?」

「そうよ、『人』ではないわ。私のような『亜神』の命令で動く『人ならざる者』たちよ。」

クリスの言葉に護は眼を剥いた。

「じゃあ・・・・君は・・・・」

「そう、私は人じゃない。旧支配者にて深淵の支配者。水をつかさどる神『クテゥルフ』の倦族であり、それを信仰する『深き者ども』をしたがえる女神、それが私。」

いったいそれはどういうと護は聞こうとしたのだが、言えなかった。


なぜなら、その答えと言える光景が目の前に突如広がったからだ。

「うそだろ・・・・・。なんなんだよこいつら!」目の前の川から次々と上がってきた

化け物たち、2足歩行のカエルのような形相の怪人は護とクリスを交互に見て、ゆっくりと口を開いた。


「ハヤク、クテュルフサマノモトニモドッテクダサイ。キョヒサレルノナラバ、カツテノシドウシャデアルアナタデモヨウシャハシマセン。」

なんかアニメに登場する典型的ロボットのしゃべり方だがそんなことに気をまわしてはいられない。


「あれが『深き者ども』よ。かれらは水辺での闘いに長けている。それに水属性の技にも優れてる。はやく岸辺から離れて!」

『深き者ども』たちは、余裕を感じているのかゆっくりと近づいてくる。


「くそ!こうなったら仕方ない。おい!クリスって言ったっけ?お前の頼みはわかった。後で事情をゆっくり聞いてやる。」護は空中に手を伸ばし何かをつかみ取るしぐさをする

『この地に宿る氏神よ、汝が名によって、この場を戦地とすることを許したまえ。汝が力をもってしてわが手に力を授けたまえ!』護の言葉にこたえるかのように突如護の手の中に真っ黒な弓が現れる。


「それは?・・・・・」「破魔弓。一般の家庭では正月の飾り物なんかに使われているやつだよ。でも氏神の多くはそれぞれの破魔弓を持っているのさ。まあ、日本神道系の氏神に限られるけど。」護は破魔矢をくるくると上で回し、ピタッと正面に向けて構え弦を引く。


「やつらが本当に人ならざる者だってんなら。これでダメージを与えられる。」次の瞬間、信仁の指が弦から離れ、弦が音を立てるのと同時に炎に包まれた矢が放たれ、『深き者ども』

のうちの一匹の腹につきささる。


「グギャァァァァァァァァァァァ!!」すさまじい断末魔と共に燃え上がる仲間を見て

他の『深き者ども』はじりじりと後ずさる。


「彼女から話を聞かなきゃいけないんだ。だから、ここで彼女を取り戻させるわけにはいかない。」護の手が再び弦に触れる。

「だから、悪い。本来は君たちの方も守るのが僕らの仕事なんだけど・・・・」

護の手が弦を引く「悪いけど、ここで追い払わせてもらうよ。」護の手が弦から離れ

再び火の矢が放たれる。

「ナニヲシテイル!ヒルムナ、アイテハヒトリダ!イッキニタオセ!」リーダーらしき

『深き者ども』の指示が飛び、飛びかかる彼らを護は間一髪でよける。


「なめるなよ、化け物。ぼくはこれでも一族で最も『攻撃術』に特化した男だぞ!」

護の手が再び弦に触れる。

「力を上乗せすれば、こんなこともできる・・・名づけて『流星炎群』!」引き絞った弦から放たれたのは、巨大な炎の矢。


「オチツケ!アレニシュウチュウシテ、ジュツヲツカエ!」深き者どもは一斉に何かの呪文を唱えた。すると空中に無数の水で構成された剣が現れた。

その剣は集まって、一つの巨大な大剣となる。


「ソノヤモロトモ。フンサイシテクレル!」高らかに宣言したリーダーは直後に護の口元が歪んでいることに気づく。そう護は笑っていたのだ。


「僕がなんで『流星群』をもじった名をこの技に付けたのか理解できなかった?」その直後、空中を進んでいた巨大な炎の矢が突如分裂した。

「流星群の名称を付けたのは『分裂』を意味させたかったからさ。いくら頑張って

防御しても・・・」分裂した炎の矢は一斉に彼らに降り注ぐ「1万の炎の矢は防げない。」

次の瞬間、深き者どものいた場所はとてつもない光と爆風に包まれた。


「すごい・・・・これが『護り屋』のちから・・・・・」クリスは目の前で繰り広げられる闘いを呆然として見つめていた。

彼女が日本に逃げてきたのは『クテュルフ』が直接入ってきにくい地域だというのが理由だった。だが、目の前の少年の強さを見て、いろんな意味でここに逃げて正解だったと

思うクリスだった。


「終わったよ。大丈夫だった?」『深き者ども』を全滅させた護は、クリスが逃げていた河川敷の真ん中まで戻ってきた。

「あの・・・・あれだけ派手にやったのに。周りが騒がしくないのはどうして?」クリスの素朴な疑問に、護は自らが手にする破魔矢を前に出す。

「さっき、これを手にする前に唱えただろう?『汝が名によって、この場を戦地にすることを許したまえ』って。あれによって氏神の力であの場所は『不可視の場』つまり普通の人間には見えない場所となったんだ。だから誰も僕が闘っていたことに気づかない。」


「すごい!人なのにそんなことできるのね。」素直に驚くクリスに護は当たり前のように

首を振る。「家の奴ならだれでも使えるさ。別に自慢することじゃない。」

「それより、くわしく聴かせてくれよ。何のためにここまで逃げてきたかを。」

「わかった・・・・私は・・・って危ない!」突然クリスが叫んだ警告にあわてて後ろを振り返る護。その眼に映ったのはさっき『深き者ども』が作り上げた大剣が制御を失って

地面に向かってまっさかさまに落ちてくる光景だった。




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