第九章 夢の終わり
「佳奈…」
「てへへ、なんか恥ずかしいなー、好きって言っちゃった。」
佳奈が全部を語り終えた頃、もう東の空が明るみ始めていた。
「夢はもう終わりだよ。明けない夜はないもんね。」
「お前…そんな大事なこと、なんで今まで黙ってたんだよ。」
俺は声を荒げた。
「だって、言ったら信二君、普通の女の子と同じように接してくれなかったでしょ?私はありのままの信二君と一緒にいたかったの。」
「それは、そうだけど…」
「それにね、信二君、目が覚めたらこの夢のことなんてさっぱり忘れてるから。覚えてるとしてもぼんやりとだけ。だからね、安心して。」
夢だからね、と佳奈は付け加える。忘れる?佳奈のことをか?この報われない少女のことをか?
忘れたくない… それは確かな感情だった。
「あ、信二君、もうお目覚めみたいだよ。ほら」
と、佳奈が俺を指さす。見てみると俺の身体が透け始めていた。このままここから消えて、次に気づくのは自宅のベットの上なのだろう。その時はこの少女の存在を跡形もなく忘れ、またいつもの日常に戻るというのだろうか。
「信二君、ありがとうね。」
そんなの嫌に決まっている。
「俺、忘れないから。佳奈のこと、絶対忘れない。さっきの告白の返事、まだだっただろ?あの返事聞かせてやるから、だから…」
突如、あたりが眩しく光り始めた。
「だから…生きろ!! 生きて俺が返事をしにいくのを待っててくれ、絶対行くから!!」
もう眩しくて目が開けられなくなった。最後に見た佳奈の顔は…泣いているような気がした




