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最終章 約束
佳奈の病状はその後順調に回復し、目覚めから2週間経ったある晴れの日、晴れて退院を迎えた。
佳奈にとっては2週間ぶりのこの町、俺は佳奈と鷹神家の墓前にいた。
「母さん、母さんのおかげで、こうやって佳奈と2人でここに来ることができました。本当にありがとう。」
「おばさん、私、頑張ったよ。おばさんの変わりに、私がずっと信二君の傍にいます。」
その後、墓を2人で綺麗にして、俺たちはある場所に向かった。
その場所というのがここ、2人が出逢った、お袋に出逢わせてもらったこの公園だ。
「ねー信二くん、私との約束覚えてる?」
ああ、覚えているとも。忘れるわけがない。
「私ね、信二君のこと、本当に大好き。信二君もそうだったら嬉しいな。」
お袋が、人生を投げ出した俺を救うために出逢わせてくれた1人の少女。数々の苦行のなかにあった年齢よりちょっと幼くみえるこの少女を、俺は心から愛して いた。これから、どんな苦難が襲ってこようが、この少女となら乗り越えられる気がした。だから、堂々と胸を張って言ってやったさ。
「大好きだぞ、佳奈。」