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Parasite Dreamer  作者: 晴彦
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アァーイスピッィィィクゥ!

 何事もなく教室に辿り着いた僕ですが、まだ時間は早く、教室には誰もいません。僕は席替えをしたばかりの無駄にキッチリと並べられた机の中から、自分の物を見つけ出すと、それをイスと一緒に蹴り飛ばしました。

 ……別にカルシウムが足りてない訳ではありません。これはおまじないのようなものです。今日一日平和に暮らせるように……ってね。

 さて、日課のおまじない(やつあたり)も終わったことですし、座って今日の授業の準備でもしておきましょう。準備が終われば……まあサッカーでもしておきましょうか。

 ……ふう。しかしかって知ったる自分の家ならぬ、かって知ったる我が教室は落ち着くなあ。何だか凄く久し振りな気分です。もはやクラスの風景全てが懐かしい。

 『アイラブユー』と無駄に達筆に書かれた壁の落書き。何故か教卓の上に置いてある週刊少年ジ○ンプ。おそらくクラスの女子生徒が忘れていったのであろう、ピンク色のブラジャー。

 ……ん? ブラジャー?

 確認します。……黄色で……所々にフリルがあしらってある……甘い匂いのする……ブラジャーじゃあああぁぁぁァァァ!(ちなみに僕とブラジャーの間には二メートル近くの距離がありますが、気にしてはいけません。性欲は国境を越えます)

 ……やっぱりさ、下着を教室に忘れるなんてさ、女の子にとってはすごく恥ずかしいことなんだと、僕は思うな。だからこれは……僕が保護するっ!

 僕はブラジャーたんめがけて走り出しました。二メートルしか離れてませんけど。

 おほぉ。これはいい。何とも言えない達成感がありますぜよでござる。興奮しすぎて語尾もおかしくなっているのだわ。

 しかし女子の下着って凄いですね。保温性が違う。おそらく昨日の放課後から今現在まで放置されていたはずなのに、まだ温かいです。これってまるで脱ぎたて……。


 トンッ。


 ……おいおい、またですか。僕が興奮している隙に暗殺してやろうと、包丁でダイレクトアタックをかましてきたり、アイスピックを心臓めがけて投擲してきたり。


「……隠れてないで出てこいよ、俺はまだぴんぴんしてるぜ」


 胸に刺さったアイスピックを抜くと、それをゴミ箱に放り投げながら俺はそう言い放ちました。

 ……あれ、僕カッコよくね?


「く、くくく……くははははは! やっぱりそう簡単にはいかないなあ!」


 想像していたよりも幼い容姿と姿をした暗殺者(アイスピッカー)が僕の前に現れました。……ゴミ箱の中から。


「何故心臓を貫かれて生きている?」

「え? あっいや、えーと……それはただ胸ポケットに生徒手帳とおっぱいマウスパッドがあったからで」

「おっぱいマウスパッド!? 何でそんな物を持ち歩いてるの!? てかどうやったらその狭っくるしい胸ポケットの中におっぱいマウスパッドが入るの!? ただでさえかさばるのに……」

「簡単だよ、ホラ」

「おおーすごい! まさかそんな収納方法があったとは……」


 頭に刺さったアイスピック(僕がさっきゴミ箱に放り込んだアイスピックです。ゴミ箱の中に隠れているんですもん。そりゃあ刺さりますよ)に気付いていないのか、ゴミ箱から現れた少女(略してゴミ処女)はしきりに自分の服の胸ポケットをいじくり回しています。

 いや……抜けよ。


「あのー、ゴミ処女?」

「誰がエ○ァンゲリオン初号機のパイロットだ!」


 そんな事一言も言ってませんよ。何ですか、エヴァン○リオン初号機のパイロットって。シ○ジ君馬鹿にしてんですか?


「お前……俺の命を狙いに来た未来からの刺客?」

「まあね、よく知ってるねえ」

「……とりあえず頭」


 「頭がどうかしたの」と、ゴミ処女は頭をペタペタとさわりますがまだ気付きません。早く気づけよ。


「オデコー! アァーイスピッィィィクゥ(無駄に発音よく)」

「?」


 こいつ、アホかもしれません。僕が最大で最高のアドバイスをしてあげているのに、欠片も気付きません。

 仕方が無いのでもうストレートに教えてあげましょう。


「おでこにアイスピック刺さってますよ」

「……ふっ、さっきから意味の分からない事ばかり言っているけど……あれでしょ? 私を混乱させようとしてるんでしょ? その手には乗らないよ!」


 訂正します。こいつアホだー!


「……もうシラネ。ところでお前、やっぱりお前も僕を狙っているんだよな」

「そうだよ。夢喰い使徒八号パラサイトドリーマーエイト『杉浦猫美』(すぎうら ねこみ)、君を殺しに来ましたー☆」


 ……はあ、もてもてだな僕。昨日までは考えもしなかったよ。まさかこんな可愛い女の子に追いかけ回されるなんてね。て言うかパラサイトドリーマーって何ですか。突然新しい設定出したら読者が混乱するじゃないですか。

 ……なーんて、くだらないこと考えてる暇はないですね。


「まあとりあえず」

「とりあえず?」


 僕はジリジリとゴミ処女改めて杉浦から離れ……。


「逃げるが勝ちだろ?」


 教室から飛び出した。

 ちゅらさんと合流しないことには、僕に生き残る道はありません。

 背中の方から杉浦の声と共に、廊下を走る音とアイスピックが飛んで来ます。


 さあ、地獄の鬼ごっこの始まりです。

 ……生き残れるのか、僕。

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