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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第八章 意外と知らない世界

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職人たちの視線

 職人たちは、ルナに話しかけた。

「ネエちゃん、じろじろ見て悪かったな」

 代表で一人の男が詫びると、他の男たちも一緒に頭を下げる。


「あ、いや……まぁ」

 ルナは珍しく口ごもった。

 スケベ心で見てくる男たちは蹴散らせばいいが、今回はそういう話でもないのだ。


「でさ、それ作るときに採寸したんかのう?」

 反省したと言うより、開き直ることにしたということか。

 ずいっと上半身をルナの方に傾けてくる。


 ルナは仰け反りながら、俺のコートの前を合わせて体を隠すようにしている。

 いつものように堂々としていないのは、流行遅れと言われたからか。

「……してないけど」

 ぶっきらぼうに答える。


 その様子を気にすることもなく、オッサンたちは盛り上がった。

「やっぱり量産品の、型落ちだよ」


 オッサン、何言ってるんだ? デリカシーって言葉、知らないのか?


「それを安く買って、付与をがっちがちに重ねてるんだろ。見事なもんだ」

「トータルでは、普通のオーダー品よりグレードアップしてるぜ」

「頭おかしいよな。さすが、ビキニアーマーの開祖だ」

「開祖じゃねぇだろ。けど、すげぇことには違いない。一度、じっくり話を聞きたいねぇ」

 オッサンたちは好き勝手にしゃべり、ぷるぷると震えているルナを一顧だにしない。



「あんたたち、いい加減にしな!」

 おかみさんの怒鳴り声が食堂に響いた。


「女の子に恥かかせて、どういう了簡だい。

 それに、この子たちは商業ギルドの紹介でうちに来てくれたんだ。無礼なことしたら、チクってやるからね」


「見事だって褒めてただけじゃねぇか」

 叱られて、オッサンたちはシュンとなった。


 本当に、何が悪かったか理解できていないのかと思う。

 工房に籠もりきりで、家族や仲間としか接触がないとこうなるのかもな。

 他人の事情や心情に興味を持たない職人たち。それが俺には心地良かったけれど、興味ある素材と見なされたルナにとっては、ずかずか踏み込んでくる不躾な連中にすぎないだろう。



 わからない、知らないことがあるのは仕方ない。

 問題は、理解しようとしないことだ。


 彼らには「盛り上がったところをおかみさんに叱られた」、その事実しか見えていない。

 どの言葉が彼女を傷つけているかは、どうでもいいのだ。



 正直、俺だって今日のルナの反応はよくわからない。

 冒険者たちにいやらしい目で見られても、蹴散らして、気にせず堂々としていたのに。

 だけど、こんな傷ついた顔をされたら、自分が失言した可能性を考えて一旦立ち止まるべきだろう?

「傷ついた方が悪い」と言わんばかりの雰囲気に、なんだか腹が立った。



「おかみさん。申し訳ないけれど、料理を部屋に運んでいただけるかしら」

 フォンが丁寧だが、拒否を許さない口調で告げた。


「あ、ああ。もちろん。落ち着かない雰囲気になっちまって、悪かったね」



「そんな……褒めてるのに」

「見られるのが嫌なら、着てこなきゃいいのによぉ」

「俺たちが悪いみたいじゃないか……なぁ?」

 後ろから、懲りない声が聞こえてくる。悪気がなければ許されると思っているんだろうな。



 サァラが耳をピクピクさせた。

「フォン。防音魔法かけて」

 低い声でサァラが言った。


「ごめんなさい。歩きながらは難しいし、私も怒っているから魔力を集中できないわ」

 フォンはルナの肩を抱いて歩きながら、答えた。


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