表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第八章 意外と知らない世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/111

職人街の宿

 俺たちは、冒険者ギルドのギルドマスターに押さえてもらった宿に向かった。

 そこは職人ギルドの客にもよく紹介される、信用できる宿だそうだ。


 先ほど日の入りの鐘が鳴った。街は家路を急ぐ職人や酒場に向かう職人で、落ち着いた賑わいを見せていた。


「へぇ、冒険者街とは雰囲気が違うね」

 ルナが目線だけで周囲を観察する。顔ごと動かしてキョロキョロするのは、部外者だと宣伝するようなものだ。


「あはは、冒険者街だとこの時間には酔っ払いが管を巻いてるからな」

 この国の職人街には初めて来たが、どこの職人たちも似た雰囲気を持っている。

 明日も生きているかわからない冒険者に比べて、堅実な生活をしていると思う。

 この落ち着いた雰囲気が、俺は好きだ。


「あの看板にゃ」

 サァラがいち早く宿屋の看板を見つけた。


 木造の、どこか懐かしい感じのする宿だ。

 昔働いていた山猫亭を思い出す。



「ああ、あんたたちが冒険者ギルドの紹介ね」

 恰幅のいいおかみさんが、カウンターで顔を上げて俺たちを見た。


「お世話になります」

 ルナが代表して挨拶する。

「よくお越しくださいました」

 おかみさんはにかっと笑うと、ルナに宿帳に記入するよう促した。


「あ~、何泊する?」

 ルナは振り返って、俺たちに尋ねた。


「今後の予定は、立てづらいわよね。明日、いい依頼が出ていたら遠征するかもしれないし……」

 フォンが顎に手を当てながら、返答した。


 それに気付いたおかみさんが明るく笑い飛ばす。

「ああ、なら空白で良いよ。職人は技術交流で長期滞在が決まってることがあるからさ」

 そして、ちゃらっと音を立ててカウンターに鍵を二つ置いた。


 ルナが一つ取り、もう一つを俺が取る。


 宿屋の息子さんが部屋に案内してくれた。

 まずは、ベッドが四つある部屋だ。

 ホテルのでかいベッドが一つある部屋より、こっちの方が落ち着くよな。

 この後三人で、誰がどのベッドにするか、わちゃわちゃしながら決めるんだろう。


 微笑ましく思いながら、俺は息子さんと部屋を出た。


「……何か他にご用がありますか?」

 息子さんは一瞬怪訝な顔をしたが、すぐに客向けの笑顔を作った。


「え? 俺の部屋はどこですか?」

 俺は鍵を見せながら訊く。


「四人部屋なので、別行動する場合に備えて鍵を二つお渡ししていますが」

「え、四人部屋?」

「はい。そう承っておりますが」


 ギルドマスターか!


「ど~したの?」

 サァラが顔を出した。

 木造だから、扉を挟んでも声が聞こえてしまうんだな。


「男部屋と女部屋に分かれるつもりだったんだけど、四人部屋だって……」

「ああ。じゃあ、ベッドはどこがいい? まだ決まってないから、早く参戦するにゃ」

 サァラに手を引っ張られた。

 思わずよろけたのは背中の荷物が重いからか、倫理観がどうなってるんだと目眩がしたからか……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ