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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第一章 冒険者への下ごしらえ

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冒険者に……なる?

 半年経ったころ、オヤジさんに冒険者登録に行くんだろと言われた。


 そうなんだけど……そのつもりだったんだけど。



 ようやく宿屋の仕事に慣れてきて、なんか昔の情熱が薄れている。

 なんで、冒険者になりたかったんだっけ?

 かっこいい? 贅沢しているのが羨ましい? いざというときに誰かを守れるように?



 村にいたときは時々小型のモンスターが出て、自警団や狩人がやっつけに行った。

 取りこぼしが村に来たらとヒヤヒヤしながら集会場に籠もったりしたけど。


 街の外壁の中にいれば、そんな心配もない。

 なにより冒険者がいて、我先にと飛びかかっていくのだ。



 あんなに意気込んでいたのに、今更「冒険者になるのを止める」というのはかっこ悪い。

 でも、登録料も年会費もかかるんだよなぁ。



 とりあえず、オヤジさんには登録前の講習に行くので、休みをもらった。

 月に二回ほど、講習会が開催される。


 宿屋の先輩は「なにお前、バカじゃねぇの」と、嫌味を言ってきた。

 毎回、毎回、ご苦労様だ。逆に、律儀な人と言えるのかもと、心の中でくさす。


「すんません、あざっす」

 こちらも雑に対応しても、許されるだろう。

 休んだ分の仕事をしてもらうので、「ありがとうございます」と感謝すべきだというのはわかってる。

 わかってるんだけど、そっちが休むときは「当然の権利」みたいな顔をするじゃん。


 お互い様って、思えないのは、相手が一言多いから? 俺の心が狭いから?




 そんな経緯があるので、休むのもダルいと思わなくもない。


 言っちゃった手前、行かないとなぁと、正直、気が重い状態で参加した「冒険者登録の講義」。


 めっちゃ面白かった。

 孤児院の子どもたちは、十歳で冒険者を始めるらしい。

 外壁の外に畑がある農家の人も来ていた。

 しっかりした装備の、金持ちっぽい子もいたな。



 模擬試験場で的を攻撃するのも、ワクワクした。

 剣や弓、槍など色々試して、自分に合ったものを選ぶように言われたときは、盛り上がったよ。

 スキルで武器が決まっている子はすぐ終わるけど、俺は片っ端から全部試した。


 結果、短刀が一番しっくりきて、ちょっとガッカリ。

 なんか、普通。もっと冒険者っぽいのを期待していた。


 まあ、日常的に持ち歩けるし、宿屋の仕事中にも役立ちそうだけどさ。



 スキルが判明する前は、剣の素振りをしたり、走り込みをしたりしていたな。

 とりあえず、それだけでも再開するか。



 そうだ、村の集会場で震えている自分が不甲斐なくて、外で戦いたいと思ってたんだよ。


 どうせ専業の冒険者みたいになれないからと、気が乗らなかった。

 村に帰ったときに役に立つとか、外壁を出たときに自分の身を守れるようになるとか、そういうのでもいいじゃん。



 講習が終わって、登録する人は残るように言われて、そのまま登録をした。

 一瞬、本当に必要か迷ったけど……趣味と考えればいいかと自分の背中を押す。


 冒険者のタグをもらい、商業ギルドのタグと重ねて首にかける。

 ささやかだが、冒険者への第一歩だ。


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