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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第七章 どんな冒険者になりたいか

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ワイルドベア討伐へ

 ワイルドベアの討伐では、冬眠し損ねた個体を狩ることになる。

 適度に他のモンスターを狩ってくれるので、全滅は求められていないのだ。


 腹が減って村に降りてきて、村民に被害が出るのが困るというわけ。

 それから、ワイルドベアの肉は、冬の貴重な食料として期待されている。

 つまり、現地で狩って売ってしまうので、帰りは身軽な状態だ。



 この討伐では、自分たちの食料は持参する。村民の貴重な備蓄には手をつけない。

 いや、多分、俺たちくらいなら食事を出してもらえるだろう。けど、冒険者パーティーによっては、すごい大食らいがいる。

 過去に、備蓄を食い荒らした奴らがいたんだろうなぁ。


 到着した日に歓迎の宴などもないだろう。


 しっかりと食料を買い込み、四人で分担して背負うことにした。

 以前のパーティー「鮮血の深淵」では、食料をほとんど俺が持っていたから、こんなことでもありがたいと感じる。



「今までは、食料持参って、堅い保存食ばっかりだったけど、今はトーマが美味しいの作ってくれるからいいねん」

「食事休憩が楽しみだな」

 サァラとルナが嬉しいことを言ってくれる。


 街にいるときのような食材は揃えられない。けれど、依頼を受けたときに、途中で採取できる草や実の情報をもらった。それを収穫しながら進む。


 毎年ある依頼だから、情報を蓄積しているそうだ。

 冒険者ギルドってそういうこともしてくれるのかと、驚いたし、感動した。

 エレッサ支部ではこういうサービスなかったなと、ふと比べてしまう。



「同じ速度で走るのではなく、スピードを上げたり、歩いたりするのも面白いわ」

「三日くらいかかるから、次の日に疲労を残さないよう工夫しないとな。

 しゃべる余裕があるくらいの速度の早足で、安全な区間は軽く走る。食事休憩だけじゃなく。時々休憩する」

 資料で読んだんだけど、多分、これが一番効率がいい。




 村に着くと、子どもたちが寄ってきた。

「村長さんの家、こっち」

 と手を引っ張られる。


 訪れる者が少ない集落では、外の人間は珍しい。好奇心旺盛な子どもたちに囲まれながら歩いた。

「尻尾に触っちゃ駄目!」

 サァラが苦戦していたので、背後に回って尻尾をガードする役目をした。

「兄ちゃん、邪魔」ってクソガキに蹴られた。



 滞在中は村長の家に泊まり、翌日から狩人に案内してもらうことになった。

 ある程度、モンスターの行動範囲を把握しているそうだ。

 こちらとしてもありがたいが、村も滞在日数が少ない方が予算的に助かるというところだろう。



 台所を借りて自分たちの食事を作っていると、すごい視線を感じた。

 村長の孫たちだ。

 一角ウサギの燻製を一口だけあげたら、「おいしー」と叫んで家中を走り回っている。

 大人たちも集まってきたので、一口だけ。

 村長に、肉が不味くならない血抜きの方法を教えてあげた。



 翌日。狩人がチラチラとルナを見ている。あ~、男として気持ちはわかる。

 防寒のマントは羽織っているんだが、その下がビキニアーマーのままなのだ。

 金属部分が冷たくなっているんじゃないかと心配だ。

 本人は膝上までのブーツを履いているから問題ないと言っている。ホントかよ。


 今年は二頭のオスがうろついているらしい。


「今までは、ワイルドベアをどう倒してた?」

 予め聞いておいて、自分がどう動くか考えておきたい。


「フォンが枯れ葉とかで視界を遮って、サァラが胴体に拳を入れて、あたしが首か心臓を狙う感じかな」

「おお、さすが。きれいな連携だ」

 三人が誇らしげに微笑む。

 それを見た狩人が、頬を染めた。



「でも、せっかく加入したんだから、トーマが作戦を考えてくれてもいいのよ?」

 フォンが期待していると言ってくれる。


 そっかぁ、俺ならではの……ね。

 嬉しいな。何かいいのを思いつきたいぞ。


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