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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第六章 ハーレム生活

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過去にしがみつく者 sideブルーノ

 冒険者パーティーから追い出したトーマが、隣国のファルガン共和国で生きていることがわかった。

 てっきり死んだと思って、手続きをしちまった。

 半殺しにして逃げられたなんて、言えるわけがねぇ。あんな森の奥に入っていったら、駄目だと思ったんだけどな。



 持ち帰ったブロンズタートルが高く売れた。

 あいつが試算していた額よりは安かったが、五等分じゃなく四等分になったから、まあいい。

 すぐにCランクに上がった。これで一流の冒険者だ。



 あいつを追い出してから、うまくいかないことが増えた。

 雑用をする人間がいなくなって、いろいろと面倒くさいんだな。

 依頼も失敗が続き、Dランクに下げられた。



 活躍したらすぐにCランクに戻れると思っていたのに、そこでも失敗して、違約金を取られることすらあった。


 Dランクの仕事を任せられないと判断され、屈辱のEランクに……。

 納得がいかないと受付で粘ったが、

「実績を積めばDランクに戻れますよ」

 と、受付の女に素っ気なく言われた。




 そんな時にトーマが生きていると聞いたから、連れ戻しに行こうという話になった。

 だが、旅費はどうする?

 Eランクの報酬では、全て野宿することにしても、まとまった保存食を調達することすら厳しい。


 焦っていたら盾の持ち手が壊れるし、ヴェリーに火球を当てられて大火傷するし……冒険者活動の継続も厳しくなってきた。




 そんな状況の中で、弓使いのセリアが冒険者ギルドに呼ばれた。


 それっきり、セリアは戻ってこなかった。

 大昔の殺人事件で指名手配されているエルフだと言うのだ。

 え、そんなババァだったのか。

 まず浮かんだのは、そんなことだった。ちょっと、嫌な気持ちになった。


 仲間の一人が犯罪者だってことで、俺たちへの風当たりが一段と厳しくなった。



 弓使いがいなくなった穴をどうるすか話し合っていたら、俺たちもトーマへの殺人未遂で取り調べを受けるハメになった。

 ギルド職員は面倒なことをしてくれたという感じの奴と、金づるを逃がしやがってという感じの奴がいる。

 荒っぽく事情聴取された。火傷で火が怖くなっている俺の目の前に、火球を出して脅す奴もいる。

 仲間同士の喧嘩だと言っているのに、聞く耳をもってくれない。

 他の連中は殺意があったかもしれないが、俺は蹴っただけだし。




 トーマをレスタール王国に連れ戻したら、俺たちの容疑をうまく誤魔化してくれるという話が来た。なんと、国王からの依頼だという。




 隣国への旅はキツかった。ボロい馬車だと、すぐにケツが痛くなる。

 火傷で肌が引きつってしまった所に、ズキリと痛みが走ることもあった。



 目的の街に着きトーマの情報を集めると、なにやら美人のパーティーについて回っているらしい。

 許せん。トーマのくせに。


 冒険者ギルドの前で張り込んでいたら、美女に囲まれてやってきた。

 くそ。なんだあれ。

 ギルドに入ったきり、なかなか出てこない。


 ようやく出てきたから、トーマを呼び止める。

 ガルドが土下座した。

 え、なんで?

 仕方なく、俺も倣う。いてて、背中が引き攣れた。

「……お前が役に立つってことは、認めてやるから」

 最大限の譲歩だ。これで、トーマも感激するだろう。


 ところが、金の話を蒸し返された。

 美女たちがあいつの肩を持つ。よろしくやっているのか。羨ま……許せん。


 交渉は決裂。

 トーマに火傷の心配をされた。

 なんでこいつは、人の心配なんかするんだ。余裕を見せつけやがって。



 俺は冒険者として、お前より上だ。

 またすぐにCランクに駆け上がる。


 実は、ガルドと離れてもいいかと考えて、他のパーティーに移籍を打診したことがある。

 やたらトーマを評価するんで「あんな役立たず」って嗤ったら、話も聞いてくれなくなった。

 今に見ていろ。



 ガキの頃は、俺が虐められているとガルドとトーマがかばってくれた。

 だが、十歳でスキルをもらって、トーマと俺は逆転したんだ。

 トーマを好きだった女の子たちも、俺の方がカッコいいって。

 十二歳で意気揚々とハロルの街に出たら、もっと強い人がいて俺は埋もれてしまった。


 だが、「下ごしらえ」なんてしょぼいスキルのトーマよりは上なんだ。

 絶対に。

 スキルをもらった直後の栄光は、俺のモノだ。



 その日の夜、奴がいるホテルで言い合いをした。こんな高級ホテルにと、腹が立つ。

 もう、何を言ったか覚えてないけど、あんなヤツに馬鹿にされて、野次馬にも詰られて散々だ。


 宿で寝込んでいたはずのヴェリーが引っ立てられて、俺たちも拘束された。



 ギルド職員がいいって言ったら、通る世界のはずだろ。

 その上、領主様のお墨付きで、トーマを引き取りに来ただけだ。

 何も間違ったことは、していない。



 なんで、俺たちが犯罪者扱いなんだよ。

 トーマは生きてるだろうが。

 馬鹿力の獣人が怖い。あいつは猫耳娘とイチャついてるのに、俺は猛獣とか爬虫類に取り調べを受けている。理不尽だ。



 どうして、いつも、あいつばっかり。

 素晴らしい戦闘系のスキルをもらって、体格も良くなって、活躍するのは俺のはずだ!


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