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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第六章 ハーレム生活

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油断

「トーマの件とか他にも色々あるんだが、今日はこの辺にしとくか」

 ギルドマスターが話を区切った。


 確かに……討伐依頼をこなして、そのまま動いている。

 勢いで働いていて自覚はないが、きっと疲労は溜まっているだろう。


 サァラがフォンの手をしっかり握り、立ち上がった。

「お風呂にゆっくり浸かって、暖まるにゃ」


「また何かあったら声をかけるから、よろしくな。

 ああ、明日、トーマだけ来るんでもいいぞ」

 ギルドマスターはぬいぐるみを手に持ったまま、その手を振って別れの挨拶をした。


 ルナがそれを注意する。

「ギルマス。そんな乱暴にしたら、ぬいぐるみが破けるぞ」

「お? おお、すまん」


 ルナはぬいぐるみがたいそうお気に入りのようだ。




 歩いてホテルに戻った。

 一泊ではあったが旅に出ていたのだ。その埃を落とすために浴場に向かった。



 かなりのんびりと湯に浸かってから部屋に戻ったが、女子三人組がなかなか戻ってこない。

 ゆっくりとフォンを労っているんだろう。


 ルームサービスで、冷たくなっても美味しく食べられそうなものを選んだ。


 こんな便利な生活が当たり前になってしまったら、怖いなとふと思った。

 今は、冒険者ギルド絡みの犯罪の関係者だから、身の安全のために資金援助してもらっているだけなんだ。

 Cランクの冒険者がこんな生活を続けるのは、ちょっと厳しい。

 危険で高額な依頼を受け続ければ可能だが、当然怪我をしやすいし、命を落としやすい。



 アーデンのクランで、贅沢のために財政を担当していた仲間を害した、醜悪な奴らを思い出す。

 快楽と贅沢。他人の報酬をかすめ取った卑怯者たち。

 自分の実力以上の富を追い求めた奴らへの、嫌悪を忘れるな。

 決して、同じ場所に落ちてはいけない。



「んなぁに? 難しい顔してるにゃ」

 気配を殺して部屋に忍び込んできたサァラに、眉間をつつかれた。


「うお!」

「あたいが刺客だったら、やられてるよ」

 軽く睨まれた。


「トーマって考え込む癖があるよな。哲学者か?」

 ルナにからかわれた。


「このホテルだから油断したってところもあるかも。入り口で怪しい奴を弾いてくれるからさ」

 ちょっと言い訳をしてしまう。


「ま、それもあるか。油断するよねん」

 油断……冒険者として恥ずかしい。

 でも、ずっと警戒しているのも疲れてしまうよな? 

 だから、仲間を増やしたり拠点を作ったりして、気を抜いて大丈夫な環境を作るのかもしれない。



「あ、美味しそうなのが並んでる」

 ルナがひょいっと一口サイズの瓜を摘まんだ。

 続けて、フォンの口に入れ「水分補給な」と言った。



 それから、ルナはフォンにうつ伏せになるよう指示を出した。

「先に食べてていいよ」

 と、俺たちに言ってから、フォンの腰の辺りに座り込む。

 フォンの背骨の両脇を親指でゆっくり押していった。


 ときどき、フォンの口から声が漏れる。


「あれさぁ、こりがほぐれて血行がよくなって、気持ちいいんにゃ」

 サァラが解説してくれた。

「ルナが言うには、心が疲れているときは体が硬くなるんだって」


 ふうん、そういうこともあるか。

 そういえば、俺もルナに頭をマッサージしてもらったことあるな。あれは気持ちよかった。


 サァラが俺に薄切りのハムを勧めてくる。

「頭を空っぽにしたいって言われたら、トーマの出番。体力をつけておくにゃ」


 んぐっ。

 ピクルスが喉の変なところに入ったぞ、馬鹿。


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