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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第六章 ハーレム生活

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フォンの事情

 ホテルに戻ると、フォンは大きなため息を吐いた。

「少しお話ししてもいいかしら」


「もちろん。逆に気になって、眠れねぇって」

 ルナがフォンの背中を叩いた。


「酔い覚ましに……リラックスのカモミールとスッキリのミントがあるにゃ。どっちがいい?」

 サァラがフォンに問いかける。


「え、そ、そうね……」

 フォンが珍しく言いよどんでいる。あまり頭が働いてないのか。


「よかったら、俺がブレンドするよ」

 お茶は専門家じゃないが、両方の効果があったら話しやすいんじゃないかな。


 ハーブティーを淹れて戻ってきたら、ルナがフォンの髪の毛をくしけずっていた。

 フォンは目を閉じて、されるがままになっている。



 フォンはハーブティーを一口飲んでから、話し出した。

「先ほどは言葉を濁したけれど、妖精の国から追っ手が来てもおかしくないと思っているの。

 ただ、それを聞いてしまったら、あなたたちにも追っ手がかかる可能性があるわ。そんなことになったら……」


 まだ、心を決めかねている様子。どんな秘密を抱えているんだ?


「あれだろ、例えるなら穴に籠もるタイプのモンスターで、正体不明だけど討伐しないと危ない奴。

 まずは、正体を知らないと良いも悪いも判断できないって」

 ルナが気楽に考えろと言う。

 サァラも、うんうんとうなずいた。


「話しても話さなくても、パーティーを組んでいたメンバーは『聞いているはず』と狙われるかもしれませんしね」

 三人が、ギョッとした顔で俺を振り返った。

 話しやすくなるように言ったつもりだが、失言だったか……。


「そ、そうね。今さらかもしれないわね」

 フォンはこほんと咳払いをした。


「私の父はダンジョンの有効活用を研究していたの。その時に、ダンジョンがこちらの戦い方を学習していることに気がついた」


 あ、俺も気がついたやつ。それで、フォンは「それ以上考えるな」って言ったのか。

 で、口止めするように……むにゃむにゃ。今思い出すのは、やめよう。



「妖精族の国は、魔族の国と近いの。

『ダンジョンを閉鎖すべし』と主張して、ダンジョンに領地を持つ貴族に陥れられたらしいわ」

 ダンジョンで栄えている都市なら、ダンジョンを閉鎖すべきなんて主張されたら困るだろう。死活問題だもんな。


「最初は、それ以上発言するなと脅された。そこで止めてくれればよかったのにと思うわ。

 だけど父は、『世界のために黙っていられない』と主張を曲げなかったの。

 研究所をクビになり、都にいられなくなっても、父は諦めなかった……」


「正義感の強い人だったんだね」

 サァラが相槌のように言った。


「そう、世界のためにね。

 でも、そのために家族の幸せを犠牲にしたわ。

『世界』の中に『家族』は含まれないとでも言うの? こんなことを考える私がひどいと思う?」


 フォンは長いこと葛藤してきたのだろう。表情が、苦しい。まるで助けてと叫んでいるようだ。


「……ごめんなさい。話が逸れたわ。

 つまり、このことを広められたくない妖精族が、私のことも消そうとしているのかもしれないということよ」


 だから、俺たちも危険だという話か。


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