表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第六章 ハーレム生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/110

油断できない

「さて、どんな依頼があった?」

 ルナがサァラに問いかけた。


「魔石減少の原因を調査するやつ。これは他のパーティーと合同で鉱山を手分けする感じ」

「坑道を調べるんじゃなくて?」

 訊いた後に、ルナは揚げ芋を口に放り込んだ。


「採掘できる量が減るっていうのが普通でしょ? 前日に見かけて、明日採取しようと思っていたのが消えるらしいん」

「それは、盗掘されてるってことか」

 俺は麦酒をくぴりと飲み、揚げた肉の余韻を流し込んだ。


「その可能性もある。人かモンスターか、それとも魔法が関係しているか……謎なんだにゃ」

 こんな依頼は、さすがCランクだ。Dランクでは受注できないだろう。


「それから、ワイルドベアの討伐。今年は多いらしくて、募集枠は五パーティー。行き先も五カ所で、それぞれ別行動」

「場所は早い者勝ちなのかしら」

 フォンが何かを考えながら訊いた。


「ん~、冒険者ギルドの方で、応募してきたパーティーを見て行き先を決めたいみたいだったにゃ」

 サァラは照り焼きのタレがついた手を、ペロリと舐めた。



「おい、お前らワイルドベア討伐に名乗りを上げるのかよ」

 突然、割り込んできた男たち。

 かなり酔いが回っていて、ニヤニヤといやらしい目つきでこちらを見ている。



「いい女を独り占めっていうのは、ないよなぁ」

「こんな、ちんちくりんの兄ちゃんがよぉ」

「俺たちみたいな先輩に譲るのが筋ってもんだぜ」


「そーゆーの、聞き飽きてんだよね」

 サァラが珍しく、突き放した冷たい言い方をした。こういう姿を見るのは初めてかもしれない。


「酔った勢いがないと声もかけられない小心者……そういう自己紹介かしら?」

 フォンが不快感を露わにして、鼻で馬鹿にする。

 こんな表情もするのか。女王様のようだ。


「見かけねぇ面だな。どっから来た?」

 ルナの目が鋭く射貫くように光る。だが、席を立たずに、ゆったりと足を組んでいる。


 男たちのうち一人が一瞬ピクリとしたが、他の男たちはヘラヘラと笑い続ける。

「俺たちに興味があるなら、ベッドの中でじっくり教えてやるよ」


「気持ち悪ぅ~い」

 サァラが煽るように言った。


「気持ちよくしてやるって言ってんだろ」

 リーダーらしき男が、ずいっと前に出た。


 なんだか、違和感がある。冒険者の格好をしているが、本職は違うような……?

 よくいるタイプなら、同じ台詞でも舌なめずりをするし、「なんだと?」と激高してすぐに殴りかかってくる。


 それに、ルナの胸の谷間や太ももを見るんじゃなく、半月刀を見ているのも怪しい。



「トーマ。ここはあなたの出番じゃないかしら。

 店に迷惑かけずに倒すなら、あなたが最適だと思うわ」

 フォンが店中に聞こえるように言った。


 ルナは流血、フォンはテーブルや椅子に被害が出る。サァラが殴りつけたら、他の客を巻き込むか。



「まあ、けっこう馬鹿にされたしな」

「思いっきりやれよ」

 ルナに励まされて、腰から短剣をさやごと外した。

 刃を出して切るのではなく、鞘で殴るか、急所の近くを突けばいいだろう。


 でも、正直、こいつらの強さや戦い方の見当が付かない。

 場数を踏んでいないのは、こういうときに不利だ。



 フォンが作戦を耳打ちしてくれる。

 さらに相手が魔法を使いそうになったら、風の魔法で邪魔してくれると。


 酔っぱらいたちが、どちらが勝つかの賭けを始めた。

 体格で負けているせいか、相手に賭ける人が多くて、ちょっとへこむ。



 だが、フォンの作戦が見事に当たり、あっと言う間に三人を倒す。

 サァラに習った柔軟性。低く屈んでスネを狙ったり、脇をすり抜けて背中を攻撃したり。

 ルナが重量のある半月刀を遠心力で操るように、自分の手足に振りをつけて一撃に重さを加える。

 振り抜ききったら店の備品を壊すので、効果があったらスッと手足を引っ込める。この戦い方は、技巧派と言われるかもしれない。


 俺には、こういうのが合っている。久しぶりに戦っているという高揚感があった。



「こんなふうに叩きのめして大丈夫か?」

 喝采と賭けに負けた連中の野次を聞きながら、汗を拭った。

 やったのは俺なんだけど、フォンの指示で気を失うまでって言われたんだよ。ちょっと、やりすぎでは?

 冒険者同士の喧嘩は、基本的に自己責任だ。そうはいっても、半殺しにしてしまうと罰金刑を課せられることもある。


「風の防音結界を展開していたのよ。単なる『身の程知らず』の冒険者じゃないわ」

 フォンが、倒れている男たちに目も向けずに言い放った。



 サァラが飲食代に上乗せして、「冒険者ギルドが引き取りに来るまで、預かっててくれる?」と店主に交渉していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ