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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第六章 ハーレム生活

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身も心も軽くして

 ワイバーン討伐の件も遡って調査すると、ギルドマスターが請け負ってくれた。


 俺たちは、一旦冒険者ギルドをあとにした。

 ちょっと、俺が使いものにならなくなってしまったし……。



 ホテルに戻り、部屋の応接セットに落ち着いた。


「何日か、街を離れる依頼を受けましょうか」

「それもいいかもな。顔見知りでもないヤツに声をかけられるのウザいし」

「冒険したいにゃん」


 三人がおしゃべりしている。

 あの夜、多くの人に目撃されたことで気軽に外食ができなくなってしまった。

 食事中でも声をかけられるのだ。


 その中に、レスタール王国の者が混じっていないとも限らない。

 だがレスタール王国の住人でも、こちらに友好的な人もいる。

 その見極めに神経を使い、食事の味がしなくなる。



「じゃあ、あたいは良さげな依頼を探してこようかな」

 サァラが席を立った。


「私は……次の冒険に備えて魔石を買いに行ってくるわ」

 フォンがサァラと部屋を出て行った。

 唐突に。



 俺があまりしゃべらないから気分を害した……という感じでもないような?

 二人が出て行った扉を眺めていたら、カチャリとテーブルに物を置く音がした。


 ルナがビキニアーマーの胸当てを外したのだ。


「な、なにをしているんだ?」

 すごい、張りがあってきれいな……いやいやいや、そうじゃない。


「ここは、慰めるべき場面だろう」

 顔を赤らめながら、ルナが言う。


「そ、そういうものでも……ない、でしょう?」

 なんだ、なんだ。なんで、そうなった?


「トーマが弱ってる。

 あたしはサァラみたいにふわふわで癒やせないし、フォンみたいに深いことを言えないし」


「それぞれの、個性で……違うからいいわけで」


「だから、あたしは、体を動かして頭を空っぽにするのがいいと思うんだ」


 んんん? そういうことか? 違う気がする。

「だったら、訓練に付き合ってくれ」

 そうだ、そういう健全なのがいいと思います。

 パーティー内でそういう関係って、「鮮血の深淵」と同じじゃんか。乱れてるっていうか、ただれてるっていうか、よくなくないか?



 ルナは「むむ」と唸った。

「それはそれで、いいけど。

 今度はあたしの番だと主張したい」


「どういうこと?」

「まだ、あたしとだけしてないでしょ!」


「……この前、してない?」


「あのときはフォンとスキルがどうとか議論してた。

 あたしはサァラと酒盛りしてて。

 気がついたらトーマは寝てた」

 ルナはまくし立てた。言いたい文句を我慢して黙っていたらしい。



 そう言われて見れば、薄らそんな記憶が……。

 うわ、情けない。恥ずかしい。

 そ、そっか~。やってなかったか。ちょっと、ほっとした。

 記憶がない状態で、なにをやらかしたかと不安だったんだ。訊くに訊けないし。

 思い切って、フォンに訊いてみたら、「さて、なにがあったでしょう?」とごまかされたし。



「でも、複数とって、嫌じゃないのか?」

 一人を取り合う争いって、よくあるじゃないか。そんな、取り合われるほど自分に魅力があると思い上がるつもりはないけど。


「う~ん、今のところ別に?」

 スポーツじゃないんだが。何をするかわかっているのか、不安になるぞ。


「ここでしていいのかなぁ」

「あとで空気入れ換えて、シーツ取り替えてもらえばいいじゃん」

「それも、恥ずかしい……。あの二人は納得してるのか?」


「だから、出て行ったんじゃん。次はあたしに譲ってくれるって」


 ええ~? いつ、そんな話し合いをなさっていらっしゃったんですか?!


「んも~。いつも、いろいろ考えすぎ! シンプルに今何がしたいかでいいじゃん。

 あたしとはしたくないの?」


 いやいや、そういうことじゃなくて、ですね。

 あれ、じゃあ、なにが問題だ?

 倫理観、痴情のもつれ、性病とか妊娠とか、子どもを愛せるかとか……。



 村祭りの後に産まれた俺を、父親は不快に思っていた。

 狭い村で血が濁らないよう、祭の間は他の村の人間と交わっても許される。逆に、推奨されるくらいだ。

 だが、父は心情的に受け入れられなかったらしい。

 母親には「雰囲気を悪くする俺さえいなければ」という思いがあったようだ。


 許せないなら、村祭りに参加させなきゃよかっただろう。強制参加じゃないんだ。

 きっと、自分だって楽しんだことがあるだろうに。

 疑わしいというだけで、あんたの子どもという可能性だってあるだろうが。



 ――関係者が納得していればいい。


 その考えは、俺の心のつかえを取ってくれた。

 俺の生まれた家では、父が納得していなかった――それだけだ。

 母も、父を説得するのではなく、俺を疎んじて父の機嫌を取ろうとして……逃げた。俺に責任を押しつけて。



 あはは、確かに俺は考えすぎる傾向があるか。

 自分の行動に責任を持つなら、駄目なことなんかないのかもしれない。



「まあ、そっちがいいなら、いいか」

「うん!」

 にぱっと笑う顔が眩しかった。


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