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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第四章 ハーレム状態

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翌朝

「ずぅるぅいぃー。二人で昨日なにしてたのさぁ?」

 サァラがたいへんお怒りである。ほっぺを膨らませて、眉を吊り上げている。

 あんまり怖くないけど。

 言い訳のしようもない。面目ない。


「少しばかり深刻な話をしていたのよ、ね?」

 フォンがトーマに同意を求めた。意味ありげな視線に、心臓が跳ね上がった。

 ちょ、昨日の夜を思い出したら負けだ。踏ん張れ、俺。


「ん? お、おお」

 そう言われても、すぐに対応できない情けなさ。……冷や汗が出るぜ。


 俺が言葉に詰まる様子を、ルナは腕を組んでじーっと見つめている。

「大事なことは、情報共有してくれないと」

 普段、明るく大雑把な人が、理詰めで来る。

 やばい、やっちゃった、という言葉が頭の中を駆け巡る。

 ルナさん、意外と潔癖なお人だったりするんだろうか。ビキニアーマー着てるのに。いや、これは偏見か。


 そうなんだけど、昨日フォンに口止めされたというか、考えるなと言われたというか……。

 ちらりとフォンを見る。

 俺たちの視線が絡んだところで、サァラの機嫌を更に損ねたようだ。

「んもぉ! 仲間はずれはやめろにゃん!」


「実験結果の検証をしていましたのよ。まだ結論が出ないから、わかったら言いますわ」

 拗ねるサァラをフォンが宥めた。

 サァラはすかざず「甘味で手を打つ」とおねだりをする。

 あれ? 俺が焦っていただけで、「いつもの掛け合い」みたいな感じだったのか?



「今日は冒険者ギルドに顔を出してみません? 何か進展があったかもしれませんし」

 フォンが話題を変えた。

 ルナがじろりと食堂を見回すと、こちらの様子をうかがっていた宿泊客たちは急にまじめに食事を再開する。


 ああ、聞かれていたのかぁ。

 まるでハーレム状態だと、誤解される。いや、誤解……でもないか?

 いやいやいや、そういうんじゃない。

 俺は、真面目に冒険者をやりたいんだ。



 頭を振って、本題に戻る。

 確かに、俺の殺人未遂がどうなったかが気になる。

 口座凍結がどうなっているかも。あ、使い込みの件もあった。

 はぁ、いろいろありすぎだろ。




 朝食を終えてから、冒険者ギルドに顔を出した。

 今日の受付は怪我をして引退した冒険者っぽい。顔に大きな傷があった。


 すぐにギルドマスターの部屋へ通される。

 話が長くなりそうだからと、お茶を出された。


「指名手配犯、ビンゴだったぜ」

 ギルドマスターが渋い顔をした。


 つまり殺人犯が、本気で俺を射殺そうとしていたんだな。改めてゾッとする。

 自分に都合が悪いというだけで、セリアは人を殺しまくっていたんだろか。

 あまりしゃべらなかったから、どういう人間かよくわからないや。



「これから、冒険者ギルドとエルフの国とで交渉しなきゃならん。

 どっちの規則で罰を与えるか、身柄の拘束をどうするか。

 もう支店の手を離れて本部の案件になったが……俺の代でこんな大事が発生するなんてよ」

 目の下に隈ができている。


「なんか、すいません」

 俺が謝るのも違う気はするが、こっちのギルドに来なければ発生しなかった仕事だ。


「いやいや、生きててくれて良かったよ」

 ギルドマスターは愚痴を言いすぎたと思ったのか、慌てて訂正した。


「他の三人は往生際が悪くてな、エルフが主犯で自分たちは脅迫されてやっただけだと言い始めた」

 ギルドマスターはずずっと茶をすすりながら、報告書を半目で見下ろす。


「ええ? そんな言い分が通るとでも……」

 調子よすぎて腹が立つぞ。殺意はなかったとでも言うつもりか?

 心の中は知らんが、暴行の事実は変わらないだろう。


「供述を翻すということは、各人を隔離していなかったのですか? 

 状況を見て相談して、口裏を合わせているのですよね?」

 フォンが冷たく問い詰めた。


「……みてぇだな。あそこの支部はいろいろといい加減らしい。

 エルフの件が発覚して本部の人間が出張したら、ずさんすぎて呆れたってよ」


「俺、こっちの国で保護されてよかった」

 ため息混じりの言葉がでた。

 フォンが警戒していた、握りつぶされる可能性。あっちのギルドでは、充分にありそうだ。



 俺のつぶやきを聞いて、ギルドマスターがニヤリと笑った。

「おう、お前さんみたいな有望株は大歓迎だ。

 そうそう、使い込みの件な。あっちのギルド職員が『お前の嫁だから共同財産だ』って言ってるぞ」


 はあぁあ? 嫁? 誰の? 俺の?!



「嫁?!」サァラが叫んだ。

「嫁がいるのに?!」とルナ。暗に、昨日の行動を非難されている気がする。

「……嫁、ですか」フォンのじと目が怖い。



「いませんよ、嫁なんて!」

 はっきり、きっぱり断言する。心当たりもないぞ。


「そうか。盗人の苦し紛れの言い逃れか。

 んじゃ、『嫁じゃないから全額返金しろ』って返しとくぜ」


「よろしくお願いします!」


 冗談じゃない。

 架空の嫁に使い込まれるとか、ありえない。


 ん? 使い込み犯は女?

 ちらりと、ホテルで働き出した頃を思い出した。


 俺は休日に冒険者ギルドに顔を出していて、何度か声をかけられた受付嬢がいた。

 他の冒険者にもつきまとって、裏方に回された娘。

 二、三回女の子に人気の店に連れて行ってもらったが、ホテルのレストランに男と来ているのを見てから、距離を置いた。


 まさか、そんな程度の人間が嫁とか……ないよな?


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