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『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十四章 クランでの生活

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依頼受注

 冒険者ギルドに入ると、注目を集めた。体格のいいアーデンのせいか、特別扱いされているオンのせいか……。


「Cランクの依頼を見てみようか」

 ルナは視線に臆すことなく、掲示板の方へ歩いて行く。ルナも注目されやすいから、気にならないのかな。


「オンを連れて行くなら、魔法をぶっ放しても大丈夫な場所がいいぞ」

 アーデンが苦笑いした。


「そうなんですか。ちなみに魔法の種類は?」

 物騒なアドバイスだ。威力がすごいということだよな。


「火も水も風もいけます」

 口調は丁寧というかお淑やかなんだけど。皆の反応を見ていると、見かけと違うらしい。

 長所と短所を知らなければ、討伐の作戦は立てられない。本当なら、討伐に行く前に訓練場で実力を見せてほしいところだ、だが、アーデンに「オンは訓練場を壊しかねないからやめておけ」と忠告された。


「コントロールが良くないなら、素材を取るのは諦めた方が良さそうですね。とにかく倒せばいいという依頼で……沼地とか? 高い山の上とか?」

 被害が少なくてすみそうなところ……遠いけど、海もありかな。


「デッドフロッグの依頼があるね」

 早速、ルナが沼地の依頼を見つけた。前のパーティーで討伐したことがあるモンスターだ。

 体の表面を覆うぬめりが曲者なんだよな。


「沼地にいて人里に下りてこないなら、別にいいんじゃないか?」

 モンスターも討伐すればいいというものではない。そのモンスターが他のモンスターを抑えていることもあるのだ。


「増えすぎないように、数を減らして欲しいんじゃない?」

 サァラがそう推測する。


「地元じゃないと、そういう事情がわからないよね」

 ルナが唇を片側だけ上げた。トゥルメル領では彼女たちの知識に助けられていたと、改めて思う。

 俺たちは王都については知らないことが多い。

「受付で訊いてみるか」と、俺は受付の方を指差した。


 全員で受付に向かうと、職員がバッと立ち上がった。

「本日は、どのようなご用件でっ?」

 ちょっと声が震えている。


「この依頼のことを教えて欲しいんだけど」

 ルナが代表して質問する。

「み、皆様、一緒に行動されるのですか?」


 俺たち三人に加えて、アーデンとオンがいる。

 エドガーは冒険者ではなく、見学するだけなので後ろに控えていた。俺たちを観察しては、時々、何かを書き付けている。事情を知らなければ、彼は不審な人物だ。


「まだ決めていないけど、たぶん、一緒に行くことになると思う」

 ルナは断言せずに、言い訳めいた返事をした。


「ですが、Aランクと元Sランクでは過剰戦力かと」

 勇気を振り絞るように、職員が言う。


「俺は元Sランクって言っても、今は義足だからな。Cランクで通用するか試してみないとわからないぞ」


「Aランクの人の戦い方を見たいので、肩慣らし的な依頼を探しているんです」

 俺はそう付け加えた。


「そ、そうですか。では」

 詳細を訊いていないのに、職員は依頼受理の手続きに入ってしまった。


「どうする? まだ受注するか決めてないって言う?」

 ルナが俺たちを見て問いかけてきた。

「今さら断るのもめんどーだから、いいよ」

 アーデンがそう言った。


「あたしも、周囲に民家とか無ければ、問題ないと思います」

「それって、魔法の制御が下手だから?」

 サァラが半眼でオンを見た。


「はい、その通りです」

 悪びれもせずに、明るく返事が返ってきた。

 なんか、謎の多い子だな。


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