表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十一章 王都へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

157/284

四日目 俺の役割

 ダルグに斧で潰された敵は、もう立ち上がれないだろう。


 ホッとして立ち上がろうとして……立てなかった。

 まさか、腰が抜けたのか? こんなところで、恥ずかしすぎるだろ。


 ダルグに抱えられて、荷馬車の中に入れられた。犬獣人と人族の体格の差があるにしても、情けなくて悔しい。


「ポーションをかけて、動けたら出てこい。無理そうなら、次に来る奴の手当しろ」

 そう言って、ぱっと戻っていった。


 あれ、腰抜けたんじゃなくて、怪我か?

 ブーツに触ったら激痛が走った。自分の体のことだけど、戦闘中の興奮状態で気がつかなかったらしい。


 ブーツを脱ごうとしても、痛くて悶絶してしまう。指先が触れただけで、腰にまで電撃のような痺れが走る。

 ポーションを何口か飲んで、痛みが弱くなってからブーツを脱いだ。


 足首を握りつぶす勢いで掴まれていたらしい。

 骨や筋の辺りからシュワシュワと潰されたものが治っていく感覚がしてきた。

 ポーションを足首に直接かけたら、ジュワッと回復が早まった。


 一瞬、このままここに避難していたいという気持ちが生まれる。


 馬鹿か、俺。

 そんなことを考えるなら、冒険者なんか辞めてしまえ。

 自分を叱り飛ばして、荷馬車を出た。



 ダルグは長い斧の一撃で敵を馬から落とし、次の一撃できっちり動きを止めている。

 今まで俺はその二回目の攻撃に当たる部分を担当していた。だが、鎧の隙間を探すのに時間がかかるし、さっきは仕留め損ねた。


 俺よりも戦闘に向いている怪我人を回復させる方が、いいんじゃないか?

 さっきの激痛を思い出す。


「ダルグさん。俺、怪我人を探してポーションを配りたいんですけど、いいですか?」

 大声で尋ねる。タイミングを見計らって、敵を一人潰した直後に訊いた。


 ダルグが目を見開いて俺を見た。

 ちらりと前方の馬車を見て、考えているようだ。


「わかった。自分の分のポーションを確保してから動け。

 自分が誘拐される可能性があるって、忘れんなよ」

 あ、そっか。そうだったな。


 俺は荷馬車に戻って、ポーションの箱から瓶を半分くらい肩掛け鞄に突っ込んだ。


 敵は獣人と、フルプレートアーマーを着た奴だ。

 俺は奴らに比べて小回りが利く。


 味方は同じ制服を着ているので探しやすかった。倒れたり、蹲ったりしている制服の人にポーションを飲ませる。

 今日参加した獣人のパーティーも制服を着ていてくれて助かった。それがなければ、敵との区別がつかない。


 持っているポーションが少なくなった。

 どうする? もう残り三本だ。

 最後尾の荷馬車まで戻るか? だが、全て持っていったら、そっちで戦っている人が怪我したときに困るだろう。


「トーマ!」

 と俺を呼ぶ声がした。


 ぬいぐるみを積んでいる荷馬車からだ。カーテンを少し開け、グレタ婆さんが手招きしている。

 それに気付いて荷馬車の扉に手をかけようとした獣人を、後ろから斬った。

 太ももを狙って、獣人がバランスを崩したところにとどめを刺した。後ろからの卑怯な攻撃?

 仕方ないじゃないか。


 扉をさっと開け、グレタ婆さんが布の包みを俺に押しつける。すぐに扉を閉め、カーテンも引いた。


 中身はポーションだ。四つの馬車に分けて乗せていた分の、お裾分け。

 ありがたい!


 俺は再びポーションを配り始めた。


 他に制服で倒れている人は……金髪のポニーテール。ルナだ!

 駆け寄る足が、なぜか、もつれそうになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ