三日目 休憩の宿場町
真昼と日の入りの中間である「昼中」に休憩する予定だった宿場町、そこに予定より遅く到着した。
その町の警備担当に襲撃を受けたことを伝えた。
頑張ってくれた馬たちを、商業ギルドの荷物係と兵士が労っていく。
好物をやり、怪我がないかの確認をしていく。
商業ギルドの会計担当と魔法使いのオルドは、馬車が壊されていないかをチェックしていた。
いつもの休憩なら、警戒担当を残して宿場内の店に散っていく。だが、今回は待機命令が出た。
代わりに兵士が、買いたいものがあるか訊いて回っている。
……なんだろう?
エリオットと騎士のトゥラン、商隊長のロイ、冒険者のリーダーのダルグが集まっている。
「駄目だな。出発しよう」
エリオットがそう宣言した。
商隊長のロイが編成の変更を説明する。
「ダルグと兵士一名はここに残り、宿場の警備担当を襲撃現場まで案内し、のちに合流。
ダルグが警護していた商隊用荷馬車はオルドだけでいけるか?」
「物理攻撃に弱いので、メルティナをこちらに移動させてほしい」
オルドの要望で、槍術士のメルティナが俺たちの馬車から移動した。
「では、日暮れまでに次の宿場町に着きたい。速度を上げることになるので、気を引き締めていくぞ」
ロイが丁寧な言い方をやめ、鼓舞するような声をあげた。
「おう!」「はっ」
返事は入り乱れたが、みんなの気持ちが昂揚した。
ダルグが苦笑いして、自分のパーティーメンバーに話しかけた。
「ここの奴らがちんたらしてるから、いつ襲撃現場に向かえるかわからねぇな。
夕飯、ちゃんと俺たちの分を残しとけよ」
「この宿場で夜光石と馬上で食べられる携帯食を買ったら、経費として報告していいですよ」
ロイがダルグと兵士に微笑んだ。
「ええ? 日が暮れるの前提かよ」
ダルグが眉をしかめた。
「宿場町の警備隊の動きが鈍すぎます。
危機感がないのか、足止めをしたいのか……案内したら、現場検証に付き合わずに離脱してください」
ロイは声を潜めて二人に告げた。
少し離れた場所からやりとりを見ていた俺に、ロイは意味ありげに微笑みかけた。
別に盗み聞きしようとしていたわけじゃないぞ。
疲れた体に鞭打つように、周囲に注意しながら一行は進む。
先ほどのように襲撃されるかもしれない――そんな緊張感が拭えない。
「無駄に緊張するのは、疲弊するぞ」
ベルーフが、屋根の上から御者台の俺に声をかけた。
「そう言われても……どうしたらいいのか。気を抜いて、何かを見落としたらどうするんですか」
簡単に言われて、少し腹が立った。
「注意するところと緩めていいところを見極めるんだ。
そうだな……笑って肩の力を抜け」
ベルーフはそう言って、くだらない親父ギャグを連発した。
……まったく笑えない。苛立ちが募るだけなんだが?
「ユーモアを解さないのは、人生損しとるぞ。
ならば、スケベなことを考えるのはどうじゃ?」
「はあ? なんでそうなるんですか?」
「リラックスできて、ちょうどよく力が抜けるだろう?
ちなみに、三人の中で誰が一番いいんじゃ?」
「ふざけるな、クソ爺!」
思わず怒鳴ってしまった。
「がははは、緊張がほぐれただろう」
え、ホントだ。だけど……だけどさぁ。ちょっと、なんなんだよ。クソが。




