表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『下ごしらえ』で冒険者を目指す ~地味スキルなのに、なぜかモテる件~  作者: 紡里
第十一章 王都へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

150/191

三日目 心の傷の影響

 分岐点で右と左のどちらに進むか。

 話し合いで左の道を選ぶことになった。


 決め手は、襲ってきた相手を殺したときに問題になるか否かだった。


 右の道でこの土地の領主関係者に襲われた場合、迎撃して死亡させたら、領主から苦情が出る可能性がある。

 弱みに付け込んで交渉しようと考えているかもしれない。


 一方、左の道で、そちら側の他領から襲撃者が来たとする。生け捕りにできなくて殺してしまったとしても、その背後にいる者たちは騒ぎ立てられないだろう。

 不当に物を奪おうとして他人の領地で暴れ、返り討ちにあったなど恥の上塗りだ。


 話し合いの途中で冒険者パーティーのリーダー、ダルグが呼ばれて参加した。

「そりゃ、気を遣わずに戦えるほうが絶対に楽だ。

 致命傷を避けて戦闘不能にするなんて、圧倒的に戦力差がある場合のお遊びだからな」

 ダルグは苦笑いした。

 ご令嬢を護衛する場合、そのような要望がよく出るらしい。


「こちらの領主は獣人です。

 ご挨拶に寄りたいというようなご希望はないのかな?」

 エリオットが質問した。


「いや、獣人は種族によって性質が違うから、不用意に近づかないようにしている。

 東の方にある獣人国ってのも、国というより『獣人エリア』という感じだ。

 それぞれの獣人の縄張りがある地域と考えた方がいい。国としてまとめようなんていう意識もない」


 へえ、獣人国って、そういう感じなのか。

 面白い話に惹かれて、聞き入ってしまう。



「ねえ、トーマ君。訓練しないの?」

 メルティナが槍を持って立っていた。


「すみません。話し合いがとても勉強になるので……」

 目が離せないというか、「耳が離せない」とでも言いたい状況だ。


「ふうん、そう」

 と、気分を害したように背中を向けられた。


 なんだろう……メルティナとはタイミングが悪いというか、些細なことですれ違っているな。

 ああ、ルナたちは誰かが拗ねても、誰かが慰めるから上手く回っているのか。


「光牙の道標」のパーティーには慰め役はいないのか……あ、女性はメルティナだけ。

 逆ハーレムパーティーじゃん――唐突に、それに気がついた。



 次の馬車の配置を決めるとき、メルティナはわかりやすく機嫌が悪かった。

 ベルーフが彼女に荷馬車の中の護衛を割り振った。


 俺は屋根で護衛し、ベルーフが御者をする。


 ベルーフが小声で、「商業ギルドの荷物係とおしゃべりでもして、メルティナの機嫌が直るといいな」と言った。

 思わず、「頼りになる先輩だ!」と感謝しそうになった。不機嫌な女性って怖い。



 見晴らしのいい場所を通るとき、少し警戒を緩めて、馬車の屋根と御者台で会話を交わす。


「メルティナは、ダークエルフということで一方的に嫌われることがある。

 休憩中の訓練を断られて、それが理由かもしれないと落ち込んでいるんだろう」


「え、そんなつもりはないです。

 ブロンズタートルの討伐のことを訊かれて、前のパーティーで殺されかけたのまで思い出して言葉が出なくなっただけで……」


「じゃあ、トラウマをつかれて苦しかっただけって言ってやってくれ。

 連携に支障が出ると困る」

 ベルーフはなんでもないことのように、さらりと言った。


 自分の傷を抱えたままでいることで、他の人も傷つける……?


 昼に近づき、陽ざしが強くなる。

 馬車の上で太陽に焼かれ、じわりと汗が滲んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ