第七十一話 「奪還作戦」
先程の砦での活躍もあり、優駿は今回の作戦の全てを司馬晋に委ねる事にした。
優駿は街を守る蛇国兵の数を千人程度と予想し、それを一万の軍で一つずつ落としていく予定だったのだが……。
その作戦に少し手を加え、司馬晋は軍を二つに分ける。
八千の兵を残し、残り二千の部隊で街の奪回に向かう優駿達。
慣れない城攻めに苦戦する優駿達だが、戦力差もあり順調に街を解放していった。
千人程度の蛇国側に優れた将や軍師が居る筈も無く、圧倒する張翼や周衛将軍の武の前に戦意を失っていった。
しかし、たった二千の兵だけで街や城を奪回するのは少し無理な話である。……そして、残している八千の別動隊。
その事を考慮し、司馬晋の狙っている事に漸くの見当が付く優駿。
「僕の考えている事が分かったかい?優駿。」
「……うん、何となくだけどね。晋の考えている事が、僕にも分かってきたよ。」
「そうかい?じゃあ後は任せたよ、優駿。」
そう言って司馬晋と張翼の二人は隊を抜け、何処かへ消えていった。
街を占領する蛇国軍を打ち倒し、優国の街を解放した優駿達。
街の人達は優駿と周衛将軍の二人を、まるで英雄の様に歓迎していた。
九年と言う長い歳月が過ぎ去っていた為、優国の人数はかなり減少し、国民達もかなり貧しい生活を強いられていた様である。
……しかし優駿達を暖かく迎え入れてくれる街の人達の笑顔に、生まれ故郷に帰ってきたと言う事を実感し、優駿の目から涙が零れ落ちそうになっていた。
「どうしたんだ?優駿。」
「あ、刹那。ちょっとね……。祖国に戻れた事が嬉しくて。」
「そうか……。」
「暫く、この街で籠城するよ。」
「あ?何だ、攻めねぇのかよ。もっとガンガン攻めて行こうぜ、優駿。」
どうやら刹那は、まだまだ暴れ足りない様である。
「……そういう作戦なんだよ、刹那。」
司馬晋の考えた策とは───。
優駿率いる一万の軍を翔国から攻めてきた翔国軍ではなく、翔国軍の動きに乗じた周衛将軍による小規模な反乱に見せ掛けると言う物だった。
上手く事が運べば、わざわざ城攻めをする必要も無く、戦い易い籠城戦に持ち込む事が出来るかも知れない。
「優国軍の残党が立て籠っていると言うのは、あの街か!?」
「はっ!奴等は二千程の兵で反乱を起こし、あの街で立て籠り抵抗を続けております。」
「馬鹿な奴等だ……。貴様らは最早、袋の鼠よ!」
蛇国の将軍はニヤリと笑い、余裕の表情を見せていた。
優駿達が街を解放した、翌日の朝……。周衛将軍による小規模の反乱だと思い込んだ蛇国軍は、反乱軍を鎮圧する為にまんまと誘い出され、五千の兵を率いて街に攻め込んできたのである。
それを難なく、二千の兵で撃退する優駿達。その二日後……。痺れを切らせた蛇国の将は二万の兵を挙げ、優駿達が籠城している街まで大軍を率いてやって来たのだ。
籠城していれば良かった物を、司馬晋の掌で踊らされた蛇国の将達は、城の外へと誘き寄せられたのである。
「皆殺しにせよ!全軍突撃!!」
しかし誘き寄せられたと言っても、兵の数は蛇国軍が圧倒しているのだ。籠城している分、有利と言っても苦戦は免れないだろう。
突撃を開始する蛇国軍二万。十倍と言う大軍に四方を囲まれ、至る所から攻め立てられ……。二千しか居ない優駿達は、必然的に苦戦へと追い込まれていった。
「何とか持ち堪えるよ、皆!」
「おおよ!任せておけ、優駿!!」
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 87
知力 65
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える所もある。
「司馬晋」
武力 89
知力 93
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。
「蓋亞」
武力 92
知力 64
蛇国 三連星
蛇国三連星の一人。三人揃えば必殺技、乱気流攻撃が可能。蛇国で一、二を争う猛将である。
「雄流手我」
武力 90
知力 46
蛇国 三連星
蛇国三連星の一人。三人揃えば必殺技、乱気流攻撃が可能。趣味は犬のエサやり。
「松朱」
武力 88
知力 72
蛇国 三連星
蛇国三連星の一人。三人揃えば必殺技、乱気流攻撃が可能。焼き芋大好き。
「周衛」
武力 92
知力 78
忠誠 100
今は亡き優国、最強の将。九年の時を経て再び優駿と再会を果たす。猫より犬派。




