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十国伝  作者: 魔神
蛇国編

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第六十六話 「神算鬼謀の将」

二万もの大軍に囲まれ、苦戦に追い込まれる優駿達……。蛇国軍の猛攻により優駿達五千の兵は、その数を更に減らしていた。


「くそっ!こりゃ、(いく)ら倒しても切りがねーぞ!」

「はぁ、はぁ……。」


後方の西門は黄牙が守っている為、何とか持ちこたえているが……。

東門から押し寄せる二万の軍に周りを囲まれ、優駿達は窮地に立たされていた。


刹那と士龍を中心に陣形を組み、砦内に居る蛇国二万の軍の猛攻を何とか耐え(しの)ぐ優駿率いる翔国軍。


東門に居る蛇国軍二万は勝利を確信してからか、後方に居る指揮官達は呑気に事を構えていた。


「…………。」

だが、それを見逃す張翼では無かった。張翼は騎馬隊を率い、手薄な蛇国軍の裏側から斬り崩して行く。


油断している所に突如、奇襲をかける張翼率いる遊撃隊三百。……たった三百と言えど、圧倒的武力と多彩な戦術を駆使する張翼を止める事は至難の技であった。


「シッ!!」

次々と指揮官を討ち取っていく張翼。


「ははっ!やるじゃねぇか、あいつ!」

張翼の活躍により、刹那達は士気を少し取り戻す。


「何とか、持ちこたえるぞ!優駿!」

「……うん、そうだね刹那。」


士気を取り戻し、一見何とか持ちこたえている様に見える優駿達だが……。

張翼は、それが時間の問題だと理解していた。


「…………。」

張翼は蛇国兵を斬り裂きながら、西門へと目を向ける。

張翼には分かっていた。自分達が何とか持ちこたえられているのは、全て西門を守る黄牙のお陰なのだと。


もし黄牙が討ち取られ、西門を突破される様な事になれば……。張翼は司馬晋同様、逃走を図る事を視野に入れていた。


「さて、何時(いつ)まで持つか……。」

張翼は蛇国兵を斬り裂きながら、鋭い目で黄牙の居る西門を見つめていた。


「くっ……。」

西門では、黄牙が苦戦へと追い込まれていた。圧倒的武力を誇る黄牙であっても、流石にこの大軍を一人で相手をするのは無理があった。


ぜぇぜぇ……。と、息を切らす黄牙。既に千人以上は斬っているだろう……。蛇国兵達は黄牙の恐ろしさに、足が止まり始める。


「怯むなぁ!奴は虫の息だ、一斉にかかれ!!」

足を止めている部下達を、怒鳴り付ける指揮官。


「流石に不味(まず)いな……。」

黄牙は息を切らし、よろけて膝を突く。


「全員で、かかれ!!」

(ひざまず)く黄牙の姿を見て、蛇国兵達は突撃を再開し一斉に襲いかかる。


──ドドドドドドドドドド!!

その頃、東門から出た司馬晋達は蛇国兵が手薄な北側へと回り込み、翔国のある西の方向へと馬を走らせていた。


「ははっ……。黄牙さんは頑張ってるねぇ。あははっ、頑張ってね。」


司馬晋達の目に蛇国兵の大軍に囲まれながらも、西門を守り奮闘する黄牙の姿が目に入る。


「何だ、あれは?一体何処(どこ)の隊だ?……敵か?」

「……構わん、たった五百程度だ。放っておけ。」


必然、蛇国軍に見つかる司馬晋達だが……。馬で逃げる少数の司馬晋達には、蛇国兵は見向きもしなかった。

……そして司馬晋達は、西の森へと姿を消して行った。


「まだ、翔国の将を打ち取れぬのか!?」


蛇国の将軍達は勝利を確信し、本陣をそのまま動かさず、砦を攻める本体二万四千とは少し離れた所に待機していた。


慢心(まんしん)し、(ただ)味方の兵が敵将の首を持って帰って来るのを待つ蛇国の将軍達。

伝説の暗殺者一族"剣竜"達も居るのだ。……自分達が決して負ける筈が無いと、安心し切って居るのだろう。


──ガサッ!

そこへ突如、茂みから飛び出してくる司馬晋隊五百。


「何だ、あれは……。一体、何処(どこ)の隊だ?」

「……敵、じゃないよな?」


突如現れた司馬晋隊に思考が追い付かず、混乱し戸惑う蛇国兵達。


──ザシュ、ザシュ!

油断している敵兵程、簡単に倒せる物は無い。一瞬で将軍を守る千の部隊を打ち倒す、司馬晋隊五百。


「ハハッ、蛇国軍は呑気な物だね。(いく)ら"剣竜"が居るからって、気が緩み過ぎでしょ。……その程度で、僕達に勝てる訳無いでしょ!」


"剣竜"が居る為、絶対に勝てると安心し切っている蛇国の将軍達。

まさか自分達の身に危険が及ぶとは、微塵(みじん)にも思っていなかった事だろう。……ましてや自分が討ち取られる等とは、夢にも思わなかったに違いない。


蛇国軍は二万七千の軍の内、一万四千を西門に向かわせ、東門からは一万の軍を突撃させていた。……その為、蛇国軍の本陣を守る蛇国兵の数は三千しか居なかったのである。


その三千の内、既に千の兵を司馬晋隊の奇襲により失い、蛇国軍本陣は二千の兵を残すのみとなっていた。


「予想通りで笑っちゃうよ。……その程度では、この戦場では生き残れないよ。」


司馬晋は西門が開け放たれたのにも関わらず、全く動かない蛇国本陣を見た瞬間。……その時、既に司馬晋の頭の中では戦況が、この形になる事を計算していた。


東門が開け放たれたのを見た蛇国の将軍は勝利を確信し、東門から軍を突撃させ隊を分けてしまったのである。

……つまり司馬晋の策に(はま)まり、軍を分断してしまったのだ。


肉を斬らせて骨を断つ。……司馬晋は必ず黄牙達が持ちこたえると信じ、この策に全てを賭け馬を走らせる。


「なっ!?馬鹿なっ、奇襲だと!?」

「相手は、たった五百程度だ!怯むな、貴様らぁ!!」

「千で迎え撃ち、撃退しろ!!」


(ようや)く事態を飲み込み、慌てて対応に走る蛇国の将軍達。

蛇国には"天覇十傑"は一人も居ない。強力な武力を誇る武将も居なければ、知略を操る軍師も居ない。


蛇国軍の強さは、そのほとんどが"剣竜"の強さに、そのまま直結していた。

その為、蛇国軍の将軍達は奇抜な策略を(めぐ)らす司馬晋隊に全く対応出来ず、恐怖に(おとしい)れられていたのである。


──ドドドドドドドドドド!

司馬晋隊五百に、新たな千の兵が襲いかかる。


「……そろそろ、あれを試そうかな。」

司馬晋は、そう言いながらニヤリと笑い()()()()()()()()


「じゃーん!……やってみたかったんだよね、これ。」


双剣を構え、戦場を駆ける司馬晋。千の蛇国兵に、司馬晋の二刀が容赦なく襲いかかる。


──ザシュウ!!

司馬晋は、その二刀で次々に蛇国兵の体を斬り裂いていった。千人の部隊を圧倒し、難なく突破する司馬晋隊五百。


その五百の隊の強さは圧倒的だった。……いや、先頭を走る司馬晋の強さが常軌(じょうき)(いっ)していたのである。


「ハハッ、弱いね蛇国兵は……。ほとんどが"剣竜"頼みだったんだろうね。この程度なら、僕でも倒せちゃうよ。」


蛇国兵を斬り裂きながら、笑う司馬晋。

その司馬晋の異常な(まで)の強さに、敵兵士だけでなく味方の兵士までもが恐れを抱いていた。


双剣を(たずさ)え無数の敵を斬り裂く、その姿は……。まるで伝説の暗殺者一族"剣竜"の様に映っていた。

武将紹介

優駿(ゆうしゅん)

武力 47

知力 87

主人公 オーラがあまり無い。


一応これでも主人公。

亡き国、優国の王子。

生き別れの妹を探している。

祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。

頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。

こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。


刹那(せつな)

武力 89

知力 54

髪型 95 かなり気合い入れてる。


村の自警団の一員。

剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。

でも頭の方は、お察し。

綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。


公孫翔(こうそんしょう)

武力 92

知力 99

髪型 98 美容院通ってるの!?


(おぼろ)の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。


黄牙(こうが)

武力 96

知力 77

自称 最強剣士。


公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。


劉士元(りゅうしげん)

武力 97

知力 67

暗殺 最強の一族


大陸最強の暗殺者一族、"剣竜(けんりゅう)"。


張翼(ちょうよく)

武力 94

知力 87

自分 大好き


翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。


士龍(しりゅう)

武力 85

知力 64

努力 家


志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える所もある。


司馬晋(しばしん)

武力 79

知力 91

糸目 開眼しないタイプの糸目。


掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。

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― 新着の感想 ―
司馬晋やるじゃーん!♪ 賢いうえに強い!これで戦局も変わるかな?? 黄牙もよく持ちこたえてくれたよね!一人で千人倒すって、凄すぎ〜!!
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