第六十三話 「不敵な笑み」
少数の見張りを立たせ、優駿達は明日の戦いに備えて体を休める事にした。
──翌朝。
優駿達は城壁の上から、砦を囲む蛇国の大軍を眺めていた。昨日の三万から多少数は減らしているものの、まだ二万七千もの大軍で砦に迫る蛇国軍。
「それじゃ配置に着け。死ぬんじゃねーぞ、テメーら。」
「おいおい、誰に言ってんだ?そりゃ……。」
「……へっ。」
「…………。」
幹部達は皆、階段を降りて配置に着く。城壁の上に残る優駿と司馬晋の二人は、迫り来る二万七千の蛇国軍を眺めていた。
「よし!」
頼れる仲間達を信じ、もう一度戦う決意を固める優駿。
進軍を始める蛇国軍二万七千。しかし蛇国軍はすぐに突撃をせず、城門の前に兵を固め、城門が開くのを只待っていた。
──シュッ。
それと同時に高い城壁を軽々と飛び越えてくる九人の"剣竜"達。"剣竜"は城壁の兵士には目も暮れず、ある一点を目指し飛び降りていく。
砦の門は全部で二ヶ所。優駿は先ず"剣竜"が向かう場所を二ヶ所の城門と予測し、西門に張翼と刹那と士龍を、東門に黄牙を配置していた。
九人の"剣竜"が向かう、その先は───。黄牙の居ない西門だった。
──!?
一番腕の立つ黄牙を警戒し、東門を避けたのだろうか。黄牙の居ない西門を守る三人に、伝説の暗殺者一族"剣竜"が襲いかかる。
「不味い!奴等、全員西門に来やがった!」
──ガキィン!
何とか"剣竜"の攻撃を防ぐ三人だが、残り六人にすり抜けられ内側から門を開けられてしまう。
一応念の為に城門の内側にも兵士を配置しておいたのだが、襲いくる"剣竜"の前では無に等しかった。
──ギィィィィ。
開け放たれる城門、そして砦の中に雪崩れ込んでくる大量の蛇国兵達。
「不味いっ!」
「あー、これは流石にヤバいね……。」
慌てて階段を駆け降り、下に向かう優駿。……しかし司馬晋は雪崩れ込む大量の蛇国兵を見ても、只黙っているだけで一歩も動かないでいた。
──!?
「何してるの、晋!?急がなきゃ、大変な事になるよ!手を貸してよ!」
「…………。」
司馬晋は、すぐには答えなかった。……只冷ややかな目で、階段の下に居る優駿の姿を見下ろしていた。
「そっちは任せるよ、優駿。……僕は他に、やる事があるからね。」
……他に、やる事?
司馬晋の言葉に疑問が頭を過る優駿だが、今は急がねばならないと諦め、優駿は一人階段を降りて城門へと向かい走り出した。
「……さぁて、面白くなってきたね。」
城門を突破され、砦内に雪崩れ込む蛇国兵を見て司馬晋は笑っていた。
そして次に司馬晋は、砦の外に居る蛇国軍の様子を確認する。
砦内に敵兵の侵入を許し、味方の兵士は苦戦へと追いやられる中、勝利を確信し後方で余裕の笑みを浮かべる蛇国の将軍達……。
「…………。」
この状況で……。この様な絶望的な状況の中で、司馬晋は不敵な笑みを浮かべていた。
「ははっ……。流石に、これはヤバいね。優駿達には悪いけど、これ以上戦っても、追い込まれているのには変わりないよ。」
そう言い残し、司馬晋は笑いながらゆっくりと階段を降りていった。
武将紹介
「優駿」
武力 47
知力 87
主人公 オーラがあまり無い。
一応これでも主人公。
亡き国、優国の王子。
生き別れの妹を探している。
祖国の復讐の為、蛇国と戦う決意をすが。諦めて物乞いや盗みを働いている。
頭は悪く無いのだが、使い方を知らない。
こんな治安の悪い、しかも圧政に苦しむ翔国に来た事を少し後悔している。
「刹那」
武力 89
知力 54
髪型 95 かなり気合い入れてる。
村の自警団の一員。
剣の腕は相当な物で、盗賊百人を平気で蹴散らす実力を持つ。この大陸でも屈指の実力を誇ると言えるだろう……。
でも頭の方は、お察し。
綺麗な長髪の黒髪が特徴。毎朝一体何時間掛けているんだ?って位に気合いが入っている。
「公孫翔」
武力 92
知力 99
髪型 98 美容院通ってるの!?
朧の団の若きリーダー。義賊。これでもかって程、髪型に気合いを入れている。え?毎日、美容院通ってる?ってレベルに気合いが入っている。後、仲の良い妹が一人居る。
「黄牙」
武力 96
知力 77
自称 最強剣士。
公孫翔の相棒。非常に腕の立つ剣士。最強を自負しているのだが、実際は……。
「劉士元」
武力 97
知力 67
暗殺 最強の一族
大陸最強の暗殺者一族、"剣竜"。
「張翼」
武力 94
知力 87
自分 大好き
翔国、臥龍配下の部隊長。その実力から、将来を有望視される人物。野心家で、自信過剰な所がある。
「士龍」
武力 85
知力 64
努力 家
志願兵の一人。刹那にその実力が認められ、一隊を任せられる。槍の使い手で、実力はそこそこ。割と勘が冴える事もある。
「司馬晋」
武力 79
知力 91
糸目 開眼しないタイプの糸目。
掴み所の無い、何考えて居るのか良く分からない糸目。……その糸目が、開眼する事は無い。




